栄養士・管理栄養士の潜在資格をリモートワークでよみがえらせたい!

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結婚・出産で仕事から遠ざかった栄養士、管理栄養士を活躍させたいと、一般社団法人NSLabo(栄養サポート研究所)を立ち上げた岡田明子さん。リモートワークが管理栄養士の仕事をどう変えるのか、お話を伺いました。

岡田明子(Akiko Okada)
管理栄養士。特別養護老人ホーム、ダイエットサプリメント会社勤務を経て独立。健康や美容関連のレシピ提供や商品開発、講演や執筆、メディア出演など予防医学分野を中心に幅広く活躍中。個人への食事サポートも行い個々の生活習慣に合わせた的確な指導に定評がある。
2014年一般社団法人NSLabo(栄養サポート研究所)を設立。栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康事業のサポートとヘルスケア分野で活躍できる人材の育成を行っている。

HP:http://www.ns-labo.jp/

岡田さんトリミング

せっかくの国家資格が活かせないのはもったいない!

ー栄養士・管理栄養士とはどんなお仕事なのか、あらためて教えてください。

岡田さん(以下敬称略):栄養士も管理栄養士も食と健康の仕事をしているのは同じです。大きな違いは栄養士に比べて管理栄養士は、健康な方はもちろんのこと、その他ご病気の方やお年寄りなどの食事に関わったりと、医療に近い分野での仕事ができることでしょうか。

多くの管理栄養士は、学校給食や医療の現場、社員食堂などで献立を作ったり、栄養計算をしたりという仕事をしています。さらにダイエット食品の会社でレシピ開発をしたり、スポーツジムで栄養指導をしたりなど、食と健康に関係するあらゆる分野で活躍しています。

ー食と健康のスペシャリストなんですね。女性が多いイメージですか、実際はどうですか?

岡田:男性もいますが、やはり女性が多いですね。管理栄養士の有資格者は現在20万人ほどで、毎年1万人ずつ増えています。

ーやはり妊娠・出産で仕事を辞めてしまうケースもあるのでしょうか?

岡田:結婚、出産などで仕事か家庭かという選択に直面してしまうと、家庭の方を大切にしたいという方が多いですね。資格は持っていてもフルタイムで働けないから活かしきれない、家事・育児との両立を考えると仕事ができない、という話をよく聞きます。働きたくても働き方が分からない、資格の活かし方がわからない、という声も大きいですね。

ーそれはもったいないですね。

岡田:非常にもったいないです。何とかこの状況を変えたいと思っています。

ーそれでNSLabo(栄養サポート研究所)を立ち上げたのですね。栄養士・管理栄養士さんが多く登録されているということですが、何名くらいの方がいらっしゃるのですか?

岡田:現在500名の有資格者が登録しています。30代の女性で未就学のお子さんがいるという方が多いです。働きたくても働き方が分からない、資格の活かし方がわからない、という声が大きいです。

 

リモートワークでなら働ける人を活用できる環境づくり

 

ー栄養士・管理栄養士さんは登録するだけですぐ仕事ができるのですか?

岡田:資格はあっても「何が自分にできるのか、どのようにしたらいいのか」と不安に感じている人がとても多いので、どういう働き方を目指すのか、管理栄養士専門のキャリア相談をしています。

また、栄養に関する研究は日々進んでいますし、5年ごとに法改正もあります。現場を離れてから現在までの情報のブランクを埋めていただくための通信講座で知識のブラッシュアップをしていただいています。

さらに食やダイエットなどについて書くコラムの仕事も多いので、管理栄養士のためのライティング通信講座も実施しています。

ー仕事の具体的な流れについて教えてください。

岡田:企業からの案件の依頼が来たら、登録者全員にメールマガジンにて告知、募集をかけています。

ー応募者が多くいる場合は?

岡田:応募者が多数いる場合は、選考を行って採用しています。報酬は案件によってまちまちですね。

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ー登録したみなさんは具体的にどんな仕事をしているのでしょうか?

岡田:栄養計算など自宅でできる仕事は多くあります。栄養士・管理栄養士としてのコラムの依頼などもそうですね。それからアプリの開発や運営をお手伝いすることもあります。

とある企業サポートの例ですが、利用者がオンラインでアップロードした食事写真に対して、栄養士・管理栄養士が個別にアドバイスするという形で協力をしています。このやり方でしたら、子育て中であっても隙間時間を活用して対応ができますし、自宅でもスマホひとつで仕事をすることが可能です。

岡田さんアプリ画像合成
WEB:https://mealthy.me/
アプリ:https://itunes.apple.com/jp/app/wai-shi-konbinidedaietto!/id945615907

ーなるほど。ほかにはどんな事例がありますか?

岡田:商品に対してのマーケティング調査や栄養面での監修など、商品に管理栄養士の付加価値をつけて販売戦略につながるサポートもしています。商品を弊社の登録メンバーに試してもらいアンケート調査に協力してもらうのも在宅でできるお仕事のひとつです。「500名の管理栄養士が選ぶ○○」となれば、信頼や安心感につながるので企業側の販促になり喜んでいただいております。

ーどれも、家事や子育てと仕事を両立したい人にぴったりですね。

岡田:さらに企業側にも、わざわざ専属の管理栄養士を雇う必要がないので大幅なコスト(人件費)削減になるというメリットがあります。

フルタイムで働くことは無理でもスキマ時間で少しでも働きたい有資格者と、食と栄養のプロの力を借りたい企業をマッチングすることで、もっと社会全体に貢献できると思っています。企業にはニーズに気づいていただけるようもっと積極的に働きかけていきたいです。

 

食を通して女性の健康・働き方を応援したい

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ーところで、会社ではなく、一般社団法人にしているのは理由があるのですか?

岡田:儲け、というビジネス的なことよりも、世の中に食で貢献したいという気持ちが大きいからです。「食べること」は人が生まれてから亡くなるまで一生続くものです。活躍できるフィールドや仕組みを作って、資格を持っているのに活用できていない栄養士・管理栄養士の地位向上に貢献したいのです。

ーそう思うようになったルーツはどこにあるのでしょう? 岡田さんが管理栄養士を目指したきっかけは?

岡田:子どもの頃、アトピー性皮膚炎があり、両親が「食事でなんとかしたい」という思いで、玄米食を取り入れたり、家庭菜園で野菜を作って食べさせてくれたりといろいろしてくれました。それで食べることが大好きになったのと同時に、健康な体作りのためにはいかに食が大切かという事を知りました。

そして「食べることは誰でも一生関わるから」という母のすすめで、大学進学の際に栄養士を目指すことを決めました。大学を卒業後、管理栄養士として5年ほど、病院や高齢者施設などで働いていました。献立作成や栄養計算、食事指導などですね。仕事は大好きでした。

ー岡田さんにとって、食の仕事は天職なんですね。

岡田:でも高齢者施設のため亡くなる方もいらっしゃって、「病気になってから栄養に気をつけても遅い」ということにジレンマを抱えていました。いくつかの施設で働くうち「病気になる前に食で予防するという仕事をしたい」という思いが強くなって、独立を目指すことにしました。

ーそれで、いきなり独立したのですか?

岡田:いえ、独立する前に勤めていた会社に仕事を在宅でできるよう切り分けてもらって、仕事をいただいた形で独立しました。フリーランスになって7年。法人化したのは2年前です。

ーリモートワークを経て、独立されたのですね。

岡田:リモートワークをしていたからこそ独立できたし、妊娠・出産後もずっと仕事を続けられた、と思っています。まだ子どもが小さくて外勤できない方や短時間しか働けない方には、自宅にいながら資格を活かして、自分のライフスタイルに合わせて働けることが大きなメリットだと思います。

私自身も子どもが産まれてから、働き方を見直し在宅ワークの比率を大きくしました。在宅で働くことは、メリットも大きいですが自身のスケジュール管理や家族の理解も必要になります。

このような働き方を理解して、案件を依頼してくださる企業、在宅で資格を活かして働きたいと登録してくれるメンバーがいるからこそ継続できています。私自身もそんなクライアントや登録メンバー、また家族に支えられてこの仕事を続けられていると思います。

ーご自身がリモートワークで働いていたからこそ、リモートワークの女性を活用する方法が見えてきたのですね。

岡田:私自身はスーパーウーマンではなく、女性で子どもがいて普通の社長さん、というスタンスですが、多くの優秀な栄養士・管理栄養士が結婚や出産を機に仕事を退くのを見ていたので、やるならばそんな人たちに活躍してほしい、という想いもありました。

企業の方に感謝されるのも嬉しいですが、それ以上にやりがいを感じるのは登録している方に「子どもが小さくても社会に役立っている」「資格を活かせる」と喜んでもらえることですね。

ーこれから、どんな仕事をしていきたいと考えていますか?

岡田:栄養士・管理栄養士は、高齢化、健康志向、ダイエットブームなどで、これからますます出番が多くなる職業です。食の仕事は無限大なので、環境さえ整えば、もっともっと活躍できるのです。働くか、働かないかではなく「資格を持っているから家で自分のペースで仕事ができる」と言える世の中にしたいと思います。そのためには、まずは企業や一般の方に栄養士・管理栄養士の必要性を知ってもらうことが大事だと思っています。

ーありがとうございました!

2016年5月に『30代からの妊活食』という書籍を出版した岡田さん。お話ししていると、女性の健康、働き方を、食と働くことの両方から支えていきたいという熱い思いが伝わってきました。

生まれてから死ぬまで、どんな人にもついてまわる「食べること」。食のスペシャリストにリモートワークが広まることで、社会全体の健康意識が底上げされていきます。これからも応援していきたいと思いました。

 

この記事の著者:曽田照子(Teruko Soda)

ライター。広告プロダクションでコピーライター経験後、1992年よりフリー。書籍、広告、WEB、フリーペーパー、情報誌など、多彩な媒体に執筆。得意分野は子育てと生活、女性の生き方。著書「ママが必ず知っておきたい!子どもに言ってはいけない55の言葉」メイツ出版、「『お母さんの愛情不足が原因』と言われたとき読む本」中経の文庫、「お母さんガミガミ言わないで!子どもが勉強のやる気を失う言葉66」学研パブリッシングなど。


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by caster-biz