リモートワーク導入企業

子育て支援のインフラを作るために選んだリモートワークは、 高齢化社会日本を救う、救世主?―AsMama前編

「全国に子育て支援のための『インフラ』を作りたい」--。代表の甲田恵子さんが強い思いで立ち上げた知人間共助を育むための場づくりとネットを使った仕組み、「子育てシェア」の普及に取り組むAsMamaは、「リモートワーク」という働き方がメインという「リモートワークを実践している会社」。

これまでリモートワークが実現可能とされてきたのはエンジニアやデザイナーなど、「専門職」で働く人々でしたが、AsMamaではなんと「非エンジニアのママたち」が、リモートワークで会社を運営しているといいます。

そこで今回は、リモートワークマガジン編集長の大﨑が、「甲田さんの考えるこれからの女性の働き方、そしてリモートワークの未来」についてお話を伺いました。

甲田 恵子(Keiko Koda)
株式会社AsMama 代表取締役CEO1975年大阪府生まれ。フロリダアトランティック大学留学を経て、関西外語大学英米語学科卒業。大学卒業後の1998年、省庁が運営する特殊法人環境事業団に入社。役員秘書と国際協力関連業務を兼務する。2000年、ニフティ株式会社入社。マーケティング・渉外・IRなどを担当。2007年、ベンチャーインキュベーション会社、ngi group株式会社に入社し、広報・IR室長を務める。2009年3月退社。同年11月に子育て支援・親支援コミュニティ、株式会社AsMamaを創設し、代表取締役CEOに就任。 著書に『ワンコインの子育てシェアが社会を変える!! 』(合同フォレスト刊)がある。

 

出産を機に確信に変わった「通勤に対する違和感」

ーリモートワークに出会う前はどういうお仕事をされていらっしゃたんですか?
甲田:
私は大学を卒業して、環境省の外郭団体で働いていました。当時は戸塚から職場のあった霞ヶ関まで片道1時間をかけて毎日満員電車で通勤。はじめは人が多すぎて乗れないこともしばしばあり、いつまでたっても慣れないなかどうにか通っていました。

本当に「朝の満員電車って基本的人権すら守られていないんじゃないか」と当時でも思っていましたね(笑)

それから3年経ってだいぶ満員電車通勤にも慣れた頃、私が大学3-4年生の時期に米国では当たり前だった『1人1台パソコンを使う時代』がいよいよ日本にもくるぞ、と感じはじめました。そのときに「インターネットは今後必ず世の中を変える。今こそインターネット時代の波に乗りたい」と思ったんです。その想いからニフティに転職し、海外事業部の立ち上げにかかわらせていただきました。

具体的には日本のニフティ会員さんが海外でもネットを使えるように回線開通の交渉や日本と海外、相互のコンテンツの共有とローカライズ交渉などを担当しました。そのとき頻繁に海外の方と時差をあわせながらオンラインミーティングでやりとりしていたので、今思うとそこが私とリモートワークの出会いだったのかもしれません(笑)

asmamaインタビュー

ーたしかに海外の人と毎回直接会って仕事をすることは不可能に近いですもんね(笑)
甲田:そうなんです。しかも海外の人とやりとりをしていると、どうしても時差の関係で日本時間の朝4時とか、夜23時とかに打ち合わせをすることもありました。

さすがにその時間は在宅のSkypeでも会社としてOKがでていて実践していたのですが、仕事のクオリティ的には何の支障もなくて、そこから段々「なんだ、在宅でも仕事できるんだ」と確信して『通勤ありき』の働き方に疑問や違和感を持つようになっていったんです。

ただ当初は『満員電車で毎日通勤するなんて不便だ!』と強い感情を持っていたというよりは『なんか変だなぁ』とか、『人間として無駄な動きをしているなあ』と思っていた程度でした。

もちろん出社の必要を感じない日など、「今日はリモートワークで仕事ができたらなぁ」と思うときもありましたが、当時20代だったこともあって会社に打診することもなく、なんとなく会社のきまりに従って過ごしていた感じだったと思います。 ところが子供が産まれて、私自身働き方に対する考え方を決定づける転機を迎えました。それまでは『通勤しなくてもいいんじゃないか』というくらいの問題意識だったのですが、実際に子育てをしていると、「今日子供が具合が悪そうで、保育園に連れて行くと間違いなく明日から1週間体調を崩す」みたいな状況が多々あったんですね。

ただ先ほど述べたように、私の仕事は海外の人との仕事が多かったので特段通勤を必要としない仕事内容は多々ありました。そうすると、出産前とは違って、「どこにいようと、会社にいるときと同じクオリティが出せれば仕事として問題ないんじゃないか」と強く思いはじめました。

むしろ、子供が体調を崩している時や崩しそうな時、出社しなければいけない用事がなくても無理矢理保育園に預けて、その後子どもの体調不良で出社の必要性があるときに出社できないような状況になるくらいなら、はじめから出社しないほうが自分や子供、会社にとって好ましいことなのではないかと本気で思い始めたんです。
ーなるほど…。ではAsMamaを立ち上げたときは経営者として、『通勤』についてはどのように考えられたのですか?

甲田:私としては最初から、社会課題解決と事業成長に対して成果さえきちんと出せば、働く場所やライフステージにも全くこだわるつもりはありませんでした。ベンチャー企業にとっては交通費負担も、無駄なのであれば減らしたい出費ですしね。

それに、私たちの会社が求めるような、”社会を変えたいというパッションを持っていて、なおかつ今まで誰もやったことがないようなビジネスに挑む忍耐力とスキルがある人”をオフィスから半径数kmという通勤可能な範囲に限って募るなんてことは不可能だと思ったんです。

さらにいうと、私たちは「社会を変える共助インフラをつくりたい!」と思っているのに、横浜市にオフィスを構えてオフィスからせいぜい半径20km程度の範囲内だけで人を募り、そこから徐々に全国に事業を拡大させるなんて、なんだかすごくスピード感や効率が悪く、ナンセンスだなと感じました。

また、経営者としては働いてくれるメンバーにはぜひとも1分1秒事業そのものにコミットしてほしいと思うのは当然です。通勤自体が生産性をあげるものではありません。だからこそAsMamaとしては、「リモートワークでもOK」という打ち出し方ではなく、「効果・成果を最大化させるような働き方をしてください、そのためには、通勤や子連れなワークなど条件・手段は問いません」という打ち出し方をしました。その1つの選択肢がリモートワークだったというだけですね。

 

「楽に働くため」の手段として捉えられたリモートワーク

ー実際、今リモートワークをしている方って基本的にエンジニアやデザイナーさんみたいな専門職の方が多いイメージなんですが、リモートワーク未経験のママさんたちがリモートワークをしてみて、難しかったこと、課題になったことはありましたか?

甲田:AsMamaを立ち上げて間もない1-2年目頃は「社会を変えたい!」という志が強くて、インターネットを使うことが苦ではない人が一緒にやってくれていたこと、少人数だったこともあって、コミュニケーションも取りやすくスムーズにいっていました。リモートワーク自体を特に難しいと思うこともありませんでしたね。

でも設立から3~5年くらい経った頃、ありがたいことにメディア露出も増えて、AsMamaのことを知ってくださる方が増えていくにつれ、『AsMamで働きたい!』という応募が月に100件以上くるような時もあったんです。その頃の応募には、事実として言葉を選ばずにいうと、「『楽に働くために』リモートワークをしたい、だからAsMamaに応募した」いう方も中にはいました。
ー『楽に働きたい』とは例えばどんな感じでした?

甲田:例えば、誰からも見られてないから自由な仕事が出来ると思い込んでいたり、毎日子供と一緒に遊びながら仕事が出来ると信じているような感じです。でも実は、リモートワークはオフィスに集まって働くより、ずっと難しい面も多々あるんです。

誰からも見られていない分、集中すれば15分で終わるようなドキュメントをダラダラと丸1日かけて作ることだってできるわけですが、それでは成果が上がらず、やがては自分でもやる気を失います。

この「モチベーションを含むセルフコントロールができ、自立していること」はリモートワーカーの絶対条件ですね。例えば、自分からすすんで今月の目標から今週の目標、今日の目標に落としこんで計画的に業務をすすめたり、一つ一つのタスクの目的を意識しながら仕事ができる人でないと、リモートワークは難しいかもしれないです。

リモートワーク自体は目的ではなく、手段なので、「成果や結果にコミットする」ということが、顔が見えない分、より大事になってくると思います。

 

リモートワークではITリテラシーよりもメールリテラシーの高さが重要

ー「セルフコントロールができること」はリモートワークをうまくやるための秘訣としてよくあげられますよね。逆に、ITリテラシーが高い方はリモートワークがスムーズにできていらっしゃいますか?

甲田:そうですね、ITリテラシーというよりは、コミュニケーション能力が高い人、特に「メールリテラシーが高い人」がスムーズにリモートワークができているような気がします。

というのも、オフィスにいれば、「資料送っといたから確認してね」「了解」、といった何気ない会話も、リモートワークではメールやチャットなどがベースになるので、毎日100通を超えるメールがくることもざらにあります。先ずはそれだけ大量のメールがくること自体にアレルギー反応がないこと(笑)や、パパッと返信できる処理能力が極めて大事になります。

asmamaインタビュー

ー分かります(笑) 私も以前、「リモートワークでは即レスが鬼のように大事だという話」という記事を書いたらすごく多くの人から共感していただいたことがありました(笑)他にリモートワークのなかで大事になることってありました?

甲田:「離れて一緒に仕事をしている人のことを思いやることができるかどうか」っていうのがとても大事になるなと思います。『この言い方相手に失礼じゃないかな?』とか、『今相手はどういう状況かな?』をどれだけ想像できるかどうか、ということですね。

例えば感情的になってしまったとき、メールに自分の言いたいこと全部を書いて送ってしまうと言い過ぎてしまったり、相手を思いの傷つけてしまうこともあります。直接顔をあわせていれば「ちょっとちょっと落ち着いて」って言えることも、メールだからこそ読み手のことを想像できる力、思いやる力が大事になります。

あとは、基本的なことなのですが、分からないことがあったら積極的に自分から『聞く力』『頼る力』が、リモートワークではとても大事だと思います。

AsMamaでは選考期間中に、「一定期間に30名を集めてAsMamaの事業説明会をする」という課題があるのですが、そのときはあえてほぼ放置状態で、自分で考えてリモートワークを疑似体験してもらう機会を設けています。

すると、その人のセルフコントロール力や想像力、聞く力がよくわかるんです。例えば、説明会用のチラシ一つでも「事業説明会用のチラシのひな型はありますか?」と聞けるか、来場者の満足度を高めるために「説明会でのトークチェックをしていただきたいのですが、どなたか時間はありますか?」と他のメンバーを頼れるかは、結果にコミットしようとする人であれば大切な適正行動なのです。

リモートワークはお互いの仕事の進捗やそれぞれがどういう状況かが分かりづらい働き方である分、相手のことを考える想像力と同じくらい、自分の現状を報告したり、質問しながら少しでも無駄を省き、待機の状態をつくらずに仕事をする心構えも必要だと思います。

—前編はここまで!後編では甲田さんの考えるリモートワークの未来、リモートワークがさらに広まるために必要なことについて深くお伺いしました!こちらもお楽しみに!

 

この記事の著者:大崎 祐子(Yuko Osaki)

キャスタービズブログ編集長。大学3年次から、リモートワークという働き方で東京や海外とのプロジェクトに参画。秘書業務から企画・広報などをリモートワークで実現してきた。本人が運営する「リモートワークを頑張る女子大生のブログ」ではlivedoorブログランキング1位に。リモートワークや女性の働き方などを中心に発信している。
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