リモートワーク導入企業

【イギリス】世界との距離を縮めたい!バーチャルスタッフ JPが目指す国際的―リモートワークジャパン・ワールド・リンク

2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催や外国人観光客の増加に伴い、さまざまな施設や店舗で国際化が求められています。またグローバル化が加速する中で、国境なき“ボーダレス”なビジネス展開も視野に入れなければいけない時代となりました。

そのような時代にあって、英語に堪能なオンラインスタッフを企業などに紹介する会社バーチャルスタッフ JP (Virtual Staff JP)(*現在は「ジャパン・ワールド・リンク」に改称)立ち上げたのが宮地アンガスさん。リモートワーカーと一緒に仕事を進めるうえで心がけていることや、海外クラウドソーシングと国内事情との違い、自身もオフィスレスな働き方を実践しながら日々考えていること、などについてお話をうかがいました。

宮地アンガス(Angus Miyaji)
栃木県出身。英スコットランド出身の母と、日本人の父を持つ。川崎医療福祉大学で臨床心理学を学んだのち2002年に渡英。会社勤務を経て、2004年に「Access Student Pack」、2006年には日系企業を中心に印刷やデザインの仕事を請け負う「Access Ideas」を起業。2015年5月に、バーチャルスタッフ JP (Virtual Staff JP)を設立し、英語のできるオンラインスタッフを日本の企業に紹介している。2016年には「ジャパン・ワールド・リンク」として新しいスタートを切った。
母が宮城県七ケ浜町に住んでいることから、東日本大震災の被災者をイギリスから支援するチャリティー団体「Seven Beach Aid」の代表も務めている。

ジャパン・ワールド・リンク:https://www.facebook.com/JapanWorldLink/

 

英語に堪能なオンラインスタッフがビジネスをサポート

―バーチャルスタッフ JP (Virtual Staff JP)を立ち上げた経緯について教えてください

宮地:2006年9月に在英日系企業のための印刷やデザインを手がける「Access Ideas」を起業しましたが、仕事を進めるにつれてオフィスを持たない「オフィスレス」の働き方ができないか、模索するようになりました。当時、話題になった『The 4-Hour Work Week』(日本語版『「週4時間」だけ働く。』)の影響も大きかったと思います。

ちょうどそのころ、3.11東日本大震災が起こり、何か自分にもできることはないかとチャリティー団体「Seven Beach Aid」をイギリスで立ち上げました。写真展や募金活動など、いろいろ企画はあったのですが、なかなか自分たちでは手が回りません。それで、クラウドソーシングを使ってリモートワークでアシスタントをしてくれる女性を探しだし、実際に仕事をお願いしたのです。

彼女は大分県在住で、やりとりはSkypeやメールなどで行いました。当然、最初はお互いに不安があったと思いますが、だんだん信頼関係ができてきて。僕にとっては「こんなバーチャルな働き方も可能なんだ」ということを知る、最初のきっかけになったんです。

―なるほど。そこからどのように展開していったのでしょうか?

宮地:その後は本業の「Access Ideas」でも管理業務やデザインの分野で少しずつリモートワークできる方に仕事をお願いするようになり、ますますオフィスレスの働き方は可能だ、という思いは強まっていきました。

ただ「これから自分は何をしたいんだ」ということを考えると、「日本と海外の距離を縮める仕事がしたい」ということになって。海外進出したり、また訪日する人向けのサービスを展開したりするときにお手伝いできるような、英語力に堪能なスタッフを企業に紹介してはどうかと考えたのです。それがバーチャルスタッフ JPの始まりでした。

―具体的にはどのような業務を行っているのですか?

宮地:自分の苦手分野に時間をかけるのはもったいないと思います。もし英語が苦手なら「できる人にお願いしちゃえば?」と思うんです。たとえば、英文でメールのドラフトを作ってもらったり、海外とのメール対応を任せたり、代わりに英語の電話をしたり。そういった部分ができるチームメンバーを増やせたら、もっと別の業務にフォーカスできるようになります。

また、海外で事業を展開したい、というとき、日本であれこれ考えてプラニングするのには限界があります。売りたいものが本当に現地で売れるのか、マーケティングリサーチをするには現地の人に聞くのが一番。世界のニーズを知り、世界の情報にアクセスするために英語は必要不可欠ですが、もし語学力に不安があるなら、インターネット上で会社のチームの一員として働けるオンラインスタッフを紹介できます。

バーチャルスタッフJPでは、そういった仕事を担う語学に堪能なスタッフ、世界事情に通じているスタッフを、日本の企業にどんどん紹介することを業務としています。

―海外在住など語学に堪能なオンラインスタッフ、というところに目を付けたんですね。

宮地:たとえば海外の小さな街で、現地の方と結婚して暮らしている日本人女性の中には優秀な方がたくさんいます。彼女たちの多くは日本語を活かす仕事がしたいと思っているし、責任感も強い。英語にしてもネイティブ並みの語学力を持っているわけです。それに、もし英語の表現に迷うことがあっても、現地に住んでいれば周囲にいくらでも相談できる人がいるのは強いですよね。

そのような人たちがリモートワークできるようトレーニングすれば、日本の企業にとって心強いオンラインスタッフになると信じています。
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―トレーニング、というのはどのようなことをするのですか?

宮地:その人がある分野においてスペシャリストであったとしても、インターネットスキルが高いかどうか、は別問題です。秘書なら秘書、デザインならデザインといった、それぞれの職種のスキルを持っていることはもちろんですが、そのスキルだけ高くてもダメ。オンライン人材にはインターネットスキルが必要不可欠です。

そのため、もしその人のインターネットスキルをもう少し延ばす必要があるなら、業務で使うアプリやソフトの使用方法についてトレーニング動画やマニュアルを作ったり、Skypeで直接説明したり。ドキュメントの共有方法やプロジェクト進行ツール、オンラインタイムシートの使い方など、ある程度教えないといけないものは一通り最初に説明します。

それからバーチャルスタッフ JPでいま一番フォーカスしているのは、訪日旅行者が多い宿泊施設に英語が堪能なオンラインスタッフを派遣すること。今後は宿泊業界のスペシャリストを育てていくつもりです。

オンラインの付き合いだからこそ大切にしたい信頼関係

―スタッフの採用にあたって重視していることはありますか?

宮地:現状のクラウドソーシングでは、何か具体的に依頼したい仕事があったときに利用するような関係がほとんどです。継続して同じ人に仕事を依頼することもできますが、基本的にはその都度、その都度の関係になってしまいます。それは、すごくもったいないこと。長い付き合いを前提としていない、ということは戦力にならないし、どうしても中途半端な関係になってしまうからです。

だから僕はそんな関係ではなく、会社のこと、雇用主のことをもっと深く知ってもらったうえで働いてほしいと思っています。そして受注者からも、会社にどんどん提案できるような関係が理想的だと。

どのような仕事でも普通は最初、面接して、お互いに信用を得ることから始めるでしょう? ところがオンラインだと気軽に採用できるから、「わざわざ面接なんて不要じゃないか?」と考えられがちです。

でも僕は、オンラインだからこそSkypeなどを使って話すことが重要だと思っていて、最初は必ず30分以上、時間をかけて、どのような会社で、なぜこの仕事をしていて、これから世界をどういうふうに変えていきたいと思っているか、といったことを話すようにしています。イギリスにいる、ってことが嘘じゃないと証明するため、外の景色を映して見てもらうこともしているんですよ。

そうやって、ちょっとお小遣いを稼ぎたいから、という理由よりは、僕の考えに共感や賛同してくれる人と一緒に働きたいと思っています。そういう意味では、日本のクラウドソーシングではほとんどがみんなペンネームで、信頼関係を築くのが難しいですよね。会社が副業禁止にしているとか、何か理由があるんでしょうが、仕事を依頼する方としたら「ふざけるな!」と思うこともありますよ。

日本と海外のクラウドソーシングを比較して

―そのようなところが、国内のクラウドソーシングの課題かもしれないですね。

宮地:日本でもクラウドソーシングが随分、浸透してきましたが、海外のクラウドソーシング事情とはずいぶん違うと感じています。発注されている仕事のレベルも、仕事を請ける人のレベルも海外の方が相当高い。海外のクラウドソーシングでは普通に弁護士や、一流大学・大手銀行出身の人が登録していたりしますから。

でも日本のクラウドソーシングでは、お小遣い稼ぎの感覚で働いている人が多いし、発注されている仕事も、たとえばライティングなら口コミ投稿やアンケート回答など簡単な内容のものが数多く見受けられますよね。国内のクラウドソーシングもこれからどんどん変わっていくんでしょうけれど、現状では海外の事情とギャップを感じざるを得ません。

―日本と海外のクラウドソーシングを比較して気づいた点を教えてください

宮地:ちょっと実験してみたくて、英語から日本語に翻訳する仕事を日本と海外のクラウドソーシングサイト、それぞれに全く同じ仕事を依頼したことがあります。日本の方では翻訳業をしている、という20~30人の応募があり、数名を採用したんですが、海外のクラウドソーシングから出てきた原稿の方がはるかにレベルの高いものでした。

日本人はしっかりしていて信頼できるのは確かですが、残念ながらオンラインでの付き合いになるとそうではない人がたくさんいます。いろいろな海外の人と仕事をしてきましたが、途中で音信不通になる人は日本人の方が断然多いです。クラウドソーシングで発注されている仕事に対して、あまり真剣でないのかもしれません。

いま東南アジアの国々などでどんどん英語を話せる人が増えています。海外経験が豊富で英語もペラペラ、どんな国の人ともうまくやれるような人材です。たとえばフィリピンは日本より労働力が安くて、英語を使いこなして世界中の企業と仕事をしています。このままだと日本はどんどん置いて行かれるのではないかと危惧しますね。これからは、もっと国内でオンライン人材のクオリティーを上げないと世界とは勝負できないと思っています。

オンライン上でチームを作って仕事ができる、というのは、クラウドソーシングというシステムがあるおかげで、今までなかったこと。だからこそ、クラウドソーシングはスキルの高い人のたまり場であってほしいと思いますね。
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日本と世界の距離を縮めることを使命として

―ご自身のHPには、“You can have everything in life you want, if you will just help enough other people get what they want. By Zig Ziglar(日本語訳:他の人が望むものを手に入れる手助けを充分にするだけで、あなたはこの世で自分が望むものをすべて手に入れることができる。by ジグ・ジグラー)”という言葉を引用されています。これはご自身の座右の銘みたいなものでしょうか?

宮地:そのような想いを強く持つようになったのは最近です。日本は色々なシステムがそろっている国ですが、海外とビジネスをする、という意味では、僕のやろうとしていることを必要としている人がいます。

日本で暮らしていたころから「日本とイギリスの懸け橋に」と言われることが多かったんですが、僕自身は「懸け橋をかける」のではなく、「日本と世界の距離を縮めたい」と思ってきました。僕のモットーは「世界人になりたい」なんです。

だから言語の壁を埋めて、世界との距離を縮めていくことが僕の使命だと思っています。

―オリンピックの開催を控え、これからますます国際化が進む日本でバーチャルスタッフJPが果たす役割は大きいと感じました。またクラウドソーシングの課題などについても大変貴重なお話をお聞きすることができました。ありがとうございました!

この記事の著者:吉岡 名保恵(Naoe Yoshioka)

和歌山県の地方新聞で記者をしたのち、国立大学の非常勤勤務を経て夫の転勤のためリモートワークに移行。2児の子育てをしながら在宅での仕事を10年以上継続し、子どもの小学校入学を機に2014年からライター業も本格的に再開。記者出身の女性ライターユニット smart sense を立ち上げるなど活動の幅を広げている。

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