リモートワーク導入企業

育児や介護でキャリアが途切れないように―Be-Working

働きたい人が、働き続けられる社会をつくりたい。育児や介護を理由に、その人がこれまで積み重ねてきたキャリアが途切れないよう支援したい――。

その願いを叶えるべく2015年9月、育児・介護休暇取得サポートと業務代行サービスを行う「Be-Working(ビー・ワーキング)」は誕生しました。立ち上げたのは、特定社会保険労務士の渡辺明子さん(Anna人事労務サポート代表、写真左)と女性の起業支援を行っている池田範子さん(またたび企画代表、写真右)という2人の女性。

育児や介護と仕事をどう両立させるかは、誰もが直面しうる問題です。そのときどう働いていけるのか、リモートワークの可能性も考えながら、渡辺さんと池田さんにお話をおうかがいしました。

渡辺明子(Akiko Watanabe)
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。Anna人事労務サポート代表。
正社員、時には派遣社員として一部上場から中小企業までの人事・労務の仕事に携わった経験を活かし、2011年4月独立。様々な規模の企業に合わせた労務管理サポート及び就業規則の作成などを行っている。

池田範子(Noriko Ikeda)
またたび企画代表。
コンサルティング会社で10年間、経営支援・システム導入に携わった後、2010年8月に女性起業家を応援するまたたび企画株式会社を設立。2011年には、自宅で教室を開業する女性支援サービス“お教室開業支援ミスト”を開始。毎年約300名の女性起業家の集客サポートを行っている。

Be-Workingホームページ:http://be-working.net/

 

育児・介護休暇取得サポートと業務代行サービスを提供

―Be-Workingを立ち上げたきっかけについて教えてください。

池田さん(以下敬称略):普段、中小企業の方々とお仕事をさせてもらう機会が多いのですが、人手不足で手が回っていなかったり、介護や育児休暇制度に大企業ほど対応できていなかったり、という実情を肌で感じてきました。そういった中小企業が抱える問題を解決する新しいサービスを立ち上げられないかと思ったのがきっかけです。

さらに介護や育児が理由で離職せざるをえなかった人にスタッフとしてお手伝いしてもらい、再就職や独立を応援できたらいいなと。

私たち自身、それぞれ独立して5年ぐらいになるのですが、何か新しい切り口で一緒に仕事できればいいね、という思いがありました。それで2015年の9月にBe-Workingをひとまず私の会社の一サービスとして立ち上げ、いまは2人でそれぞれ自分の仕事をしながら徐々に育てていっている段階です。

―中小企業の育児休暇や介護休暇をサポートというのは?

渡辺さん(以下敬称略):社労士として中小企業と接していると、法律で定められている育児や介護の休暇制度について具体的にご存じない社長さんがほとんどです。たとえば女性社員から「育休取れるんですか?」、「産休あるんですか?」と尋ねられて初めて「あっ、どうしたらいいんだろう」と思われる方が多いので、大企業と比べるとまだまだ情報が足りないんだな、というのをよく感じます。

池田:まずは啓蒙活動というか、社労士として中小企業の社長さんに使える制度や助成金の案内などをしながら、育児や介護休暇の制度作りを一緒にしています。とはいえ、社員が休暇に入っている間の業務は誰かがカバーしないと仕事がまわらないですよね。それでBe-Workingとして将来的には代わりになる人材の派遣をしたいと思っています。ただ今は派遣業を行っていないので、何か外注でお手伝いできることはないですか、と提案しているのです。

―そういった面のサポートがあれば企業の側も心強いですね。

渡辺:今までは妊娠したら会社を辞めてもらう、という風潮がありましたが、何しろ人手不足ですし、そこまで経費をかけて育てた社員が妊娠を理由に辞めていくのはとてももったいないですよね。それで私たちが育児休暇制度を整えるお手伝いと、抜けた人材の仕事を外注でカバーする、みたいに両面からサポートしたいと思っています。

Beworking2

何か困ったら声がかかる存在になりたい

―具体的にはどのような仕事を外注でお願いできるんでしょうか?

池田:いまはフリーランスや小さな会社を立ち上げている方から領収書の整理など経理面での仕事を中心にお受けしています。

―色々とオンラインで使える外注サービスがありますが、なかなか、痒い所に手が届くサービスまではいっていない感じもします。

池田:その点、私たちは“人の顔が見える経理”を心がけていて、多少の融通は利くのが強みです。

渡辺:フリーランスの方も、月末の請求書発行や経費精算が結構ストレスですものね。

池田:実際、みなさん、Be-Workingへ外注に出すようになって「すっきりした」と言ってくれるんです。それで本業の方に力が入るなら、より良い事ですよね。きっと経理だけでなく、もっとほかに外注できる仕事ってあるはずです。HPやブログの更新や、SNSでの情報発信などのIT関係や人事関係など、何か困ったら「Be-Workingさんに頼もう!」みたいな関係を作っていきたいです。

 

信頼関係を大事にしたリモートワーク

―そういったお仕事をスタッフはリモートワークで担当することもできますか?

渡辺:最初は一緒にやるんですが、慣れてきたらご自宅でリモートワークできる環境づくりを進めています。

―リモートワークを勧める理由はどうしてですか?

池田:私の会社「またたび企画」でも子育てをしている女性に働いてもらっているのですが、夏休みなどは出社ができません。私自身も一児の母ですが、子育て中のママが働くのって本当に難しいんだな、と日々実感しています。きっと世の中にはそのような女性がたくさんいるんだろうな、と思ったとき、もっとリモートワークできる仕事を紹介する必要性を感じました。そこで、さらにすそ野を広げて、さまざまなスキルを持っている女性が仕事できる場が必要だと考えているんです。

渡辺:リモートワークだったら通勤時間はないですしね。私自身、通勤で往復2時間かかっているのですが、もったいないと思っています。通勤時間をリモートワークや別のことのために使えれば、もっとワークライフバランスを保ちやすくなるはずです。

―リモートワークで必要なスキルはどのようなものだと考えますか?

池田:当たり前のことですが、納期を守ることとか、報告をきちんと行うこととかでしょうか。Be-Workingの場合は一緒に働いて、お互いにある程度、分かりあってからリモートワークにうつります。スタッフの性格とか癖とかはだいたい把握できているので、在宅でのお仕事もお願いしやすいです。

―どのような方にスタッフとして登録していただきたいですか?

池田:いま領収書整理を担当しているスタッフは昔、経理をやっていた人です。ほかにも職業訓練学校などに通って基礎的な知識がある方たちにも、より実務的な仕事をご紹介していきたいと思っています。その方が持っているスキルと、これから伸ばしたい方向性をうかがって、なるべく希望に沿うお仕事をお願いしたいですね。そのための面談や研修を行うので、スタッフにとっては最初の拘束時間が多少、長いと感じられるかもしれません。

渡辺:でもお互いに分かりあったうえで仕事をする安心感って必要ですよね。経理の仕事は必ずニーズとしてあるんです。資格がなくても、Be-Workingで実務のやり方を身に付けてもらえるといいかな、と思いますね。

Beworking3

育児や介護でキャリアを途切れさせない

―これまでのキャリアを活かせる仕事が見つかりそうですね。

渡辺:何年も前に経理をやっていた、と言う人でも、実際に領収書整理をやっていただくと、昔の勘ってすぐに取り戻せてスムーズに作業できるんですよね。いま子育て中の方、または子育てが一段落して社会復帰したいと考えているけれど、「いきなり外で働くのはちょっと……」と思っている人に、Be-Workingを活用して仕事の勘を取り戻してもらえたらうれしいですね。

―でも主婦で仕事をしようと思うと、近くでパートの求人を探すパターンが多い気がします。

池田:一日のうち数時間だけ働きたい、と考えると、どうしても近所でパート、という流れになりますよね。その方が今まで勉強や仕事で積み重ねてきたキャリアが活かせるパートだと良いのですが、なかなか見つからないのが現状ではないでしょうか。でも、全く経験のないパートについて新たにキャリア形成をしていくのは大変ですし、過去のキャリアが完全に途切れてしまうのはもったいない。そうではなくて、昔やっていたことに何か少しでも関係する仕事でキャリアを伸ばしていっていただきたいなと思うんです。

それにパートとは言え、思い通りにはなかなか休めず時間的な拘束がありますよね。Be-Workingはある程度、納期に余裕をもった仕事をスタッフの事情に合わせてお願いするようにしているので、家庭との両立もしやすいはずです。

―介護中の離職を減らすためのリモートワーク、というのも新しい視点と感じました。

渡辺:介護を理由に会社を辞めてしまう人が多いのですが、その後、再就職しようと思ったって40代、50代だと厳しいのが現状です。特にシングルだと収入が途絶えるのは大きな問題ですよね。だからこそ、介護と両立しながら短時間でも仕事できる環境があって、完全に仕事から離れず、何かしら社会とつながっていられる仕組みが必要です。どうしても会社はブランクを嫌いますから、介護中でも「こういう仕事をずっとやってきました」って言えた方が再就職の強みになりますよね。そういうときにBe-Workingで働いてもらえたらよいですし、今後、独立して起業する人の手助けにもなればうれしいです。

池田:今後より増えていくのは介護による離職者の方かもしれません。人材としてはこれまでたくさん経験を積んでこられた方たちなので、Be-Workingとしてはより期待したいところです。

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―今後はどのような展開をお考えですか?

渡辺:いまはスタッフの対象を女性メーンに考えていますが、いずれは男性にもお仕事を紹介できるようになれば、と思っています。実際、介護に携わっている男性も多いですし。

池田:「同じ会社で定年までずっと働く」という感覚も薄れてきていますよね。男女を問わず、働き方の選択肢のひとつに、Be-Workingを入れてもらえればうれしいですね。

渡辺:そのためにも人材派遣ができるようになっていきたいと考えています。

池田:一般的な派遣だと人を紹介して終わり、というイメージがありますが、その人が成長できる場所に絞って派遣していく、というスタイルが理想です。

―育児や介護で大変なときでも、どのような形であれキャリアを継続させていったほうがよい、という意見には心から賛同します。そこにリモートワークというチョイスが入れば、きっと育児や介護との両立がしやすくなって救われる人が増えるでしょうね。これからの展開も楽しみにしています。今日はありがとうございました。

この記事の著者:吉岡 名保恵(Naoe Yoshioka)

和歌山県の地方新聞で記者をしたのち、国立大学の非常勤勤務を経て夫の転勤のためリモートワークに移行。2児の子育てをしながら在宅での仕事を10年以上継続し、子どもの小学校入学を機に2014年からライター業も本格的に再開。記者出身の女性ライターユニット smart sense を立ち上げるなど活動の幅を広げている。

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