リモートワーク導入企業

【アメリカ】世界10ヶ国以上のリモートワーカーと言語学習アプリを開発!―スカイライト・ゲームス

2015年11月に音楽で言語を学べるアプリ「Lyriko(リリコ)」をリリースしたSkylight Games LLC.(スカイライト・ゲームス、本社アメリカ・ボストン)。創業者であるDan Roy(ダン・ロイ)さんと夫婦二人三脚で頑張っているのが日本出身の塩谷雅子さんです。プログラマーをはじめ翻訳者、マーケター、アーティストなど、さまざまな人材を世界中から採用し、全員がリモートワーカーという同社。言葉も文化もさまざまな中でコミニュケ―ションを図るための工夫やワーキングスタイルはどのようなものでしょうか。3月、日本に一時帰国されていた塩谷さんにインタビューさせていただきました。

塩谷雅子(Masako Shiotani)
鳥取県出身、早稲田大学卒。Skylight Games(スカイライト・ゲームス)プロデューサー。大学卒業後、(株)ベネッセコーポレーションで小学生向け教材編集や、CSR事業、海外向け新規事業等開発を担当。ハーバード社会起業大会スタディーツアー参加を経て、2014年、結婚を機に渡米。夫とスカイライト・ゲームス社を立ち上げ、音楽で英語を学ぶアプリ「Lyriko(リリコ)」の開発に携わっている。米国ボストン在住。

Lyriko紹介ページhttp://www.lyriko.com/

 

全員がリモートワークで成り立っている会社

―まずはスカイライト・ゲームスについて教えてください。

塩谷さん(以下敬称略):2012年にボストンで創業したスタートアップ企業で、言語学習アプリの制作を手がけています。夫のダンが創業者なのですが、ボストンに居るのは私たち夫婦だけ。ほかのプログラマーや翻訳家は世界中にいて、全員がリモートワークで成り立っている会社です。

―どのようなアプリを作っているんでしょうか?

塩谷:2015年11月に音楽で言語を学べるアプリ「Lyriko(リリコ)」をリリースしました。リリコは英語の歌を聞いて歌詞に合う絵を選んだり、抜けている歌詞を見つけたり、といったゲームをしながら楽しく自然な英語を習得していくことを目的にしています。たとえば文章中の「on」や「the」を抜かしてしまう日本人は多いのですが、歌詞としてリズムで覚えれば忘れないようになるんです。ほかにも単語をタッチすれば意味が分かる辞書モードの機能も備えています。

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―語学系のアプリはたくさんありますが、違いはどういったところですか?

塩谷:語学を学習するアプリではフラッシュカード形式で単語が出てきて、発音や意味を覚えていく方法が多いのですが、つまらなかったり、飽きてしまったり、ということもあるかもしれません。その点、音楽やゲームと組み合わせた学習法なら、何回もやってみたくなる面白さがあるので、より楽しく言語が習得できると考えています。

―なぜ教育アプリを開発しようと思ったんでしょうか?

塩谷:前職も教育関連の企業で、歌で算数のポイントが学べるようなウェブサイトや、九九を覚えるための歌や、ストーリー性を持って取り組める計算マシーンなどを担当していました。「楽しさ」の中に「学び」があるものって飽きないですし、気づいたら自然に学習できていた、ということがありますよね。夫とはそういった要素を大事にした教育アプリを作ろうということで意見が一致したんです。

 

ジョークや恋愛話でワーカーの心をつかむ

―スカイライト・ゲームスは全員がリモートワーカーということですが……。

塩谷:今のところ「リリコ」は英語やスペイン語、ポルトガル語、フランス語、日本語、インドネシア語に対応しているので、それぞれの翻訳家が世界中にいます。具体的にはフランス語はカナダ、ポルトガル語はブラジル、スペイン語はコスタリカとアメリカのニューヨーク、インドネシア語はインドネシア、といった感じです。

そのほかにもプログラマーはスペインとアルメニア、アメリカの西海岸に。アーティストはインドネシアとアルゼンチンにいて。日本にもマーケティングや翻訳をお願いしている方がいますし、だいたい10数か国、20人ぐらいのチームで動いています。

―そのようなチームの中で塩谷さんが担当される業務はどのような部分なんでしょうか?

塩谷:代表を務めている夫がデザインやプログラム関係のコミュニケーション、私はプロデューサーとして翻訳、イラスト関連やアーティストとのやりとり、バグチェックなどを担当しています。

―ワーカーさんに指示を出すことも多いお立場なんですね。たくさんの国にメンバーが分かれていると、ご苦労もありそうですね。

塩谷:お国柄の違いはありますね。夫とは「国民性と性格のかけあわせだよね」とよく話をするんです。中には「自分の範疇のことしか絶対にやらない」というスタンスで仕事をしている人もいますし、ミーティングの時間が守られなかったり、仕事をふると逃げられたり、ということもありました。

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―そこはどのようにして解決しているんですか?

塩谷:なるべく雑談をはさみながら、良いタイミングで仕事を依頼するよう心がけています。リモートワーカー同士って用件だけ伝えて、どうしても雑談が少なくなりがちです。だから、そこは意識してジョークを言ったり、恋愛の相談につきあったり。プライベートな話をすると気持ちのうえでぐっと距離が近くなりますし、何となく普段の生活の様子が見えると、仕事をふるタイミングも分かりやすくなるんです。

―時差の問題は気にされたりしませんか?

塩谷:基本、タスクを投げて、何かあれば連絡を取り合って……というスタイルなので、あまり時差は気になりませんね。

―メンバー間でうまくチームワークが取れるように工夫していることがあれば教えてください。

塩谷:担当以外の仕事の情報も共有するようにして、全体の状況が何となく分かるようにしています。その方がモチベーションも上がりますし。

―リモートワークにはツールも欠かせないですよね。

塩谷:そうですね。私たちの会社では主に「Slack」と「Skype」、あとプロジェクト管理・タスク管理ツールとして「Asana」も使っています。

―語学面での苦労はありませんか?

塩谷:英語が第二言語という立場同士だと、ミスコミュニケーションが発生しやすいですが、その分お互い間違いに寛容に、助け合うことができています。英語は直接的な表現なので、私自身、相手の言葉に傷ついて落ち込むこともありました。でも、あるときからその言葉をやわらかく解釈するようになったんです。例えば、あるワーカーさんから「それは私の仕事じゃない」っていう言葉が返ってきたら、「それ私の仕事だったの?知らなかったわ」というように表現を置き換えるとか。そうすれば私も優しい言葉で返答できるようになって、英語でのコミュニケーションに慣れてきた感じがします。

―リモートワークでチームを組んでいて、難しいと思うことはありますか?

塩谷:いろいろな考え方のワーカーさんがいるので、思うような仕事ができないという理由で辞めていく人もいるんですね。こちらとしては、家族のような気持ちでやっているので寂しいと思うこともあります。

―ワーカーの募集はどのようにして行っていますか?

塩谷:クラウドソーシングの「Upwork」に募集を出し、採用することが多いです。わが社では「一緒に働く人の力を高めること」を理念にしており、エンパワーメントに力を入れています。ワーカーのスキルや学歴、居住地は問いませんし、語学力もある程度のコミュニケーションができれば問題がないと考えていて、仕事を通じて一緒にスキルを高めていけば良い、という考えです。ちなみに、選考基準は「ジョークが通じるかどうか」です。家族のように毎日働くので、ユーモアセンスは大事にしています。またジョークが通じるかどうかである程度の英語力も測れます。

 

海外のクラウドソーシングサイトにもぜひ挑戦を!

―日本のクラウドソーシングサイトでは時折、単価の低さが問題視されています。

塩谷:国の物価にもよりますが、「Upwork」などでは全体的に安くたたかれている印象はないですね。アメリカ国内でも、一般的な時給の下限をベースに価格が付けられていますから。

―海外のクラウドソーシングサイトを利用するには、語学が堪能でなければ難しいイメージがあるのですが……。

塩谷:確かに登録からすべて英語なので、一見、難しいと思われるかもしれません。でも日本人で「英語ができない」と思うレベルは、意外と海外では「できる」レベルなんです。怖がらずに挑戦しても良いのではないでしょうか。

―語学もさることながら、日本人のスキルは海外でも通用するものなのでしょうか?

塩谷:世界の市場で比べれば、日本人のソフトスキルは圧倒的に高いです。その価値を認識して、日本だけのクラウドソーシングにとどまらない働き方をしても良いと思います。

それに、わが社と同様で「教育」もセットにしたクラウドソーシングの発注が最近、ほかの会社からも出てきているので、いまのスキルよりワンステップ上がった仕事を獲得できるチャンスもあるのではないでしょうか。自分でスキルを身に着けるツールもたくさんありますし、どんな遠隔地に住んでいても意思次第でスキルアップしていけるはずです。

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―最後に現状や今後のリモートワークについてご意見があればお聞かせください。

塩谷:プロフェッショナルな意識はワーカー側にも求められています。育児などとの両立も含めて、個々人に合った働き方が実現できる手段のひとつがリモートワークだと思います。今後もいろいろな形態で広まっていくとよいなと思います。

―ありがとうございました。「リリコ」は今後も使用可能な言語を増やし、発展途上国での英語力向上などで社会貢献も果たしていきたいそうです。地球全体にワーカーが散らばっている同社のリモートワークスタイルや、新しくリリースされるアプリにも注目していきたいと思います。

この記事の著者:吉岡 名保恵(Naoe Yoshioka)

和歌山県の地方新聞で記者をしたのち、国立大学の非常勤勤務を経て夫の転勤のためリモートワークに移行。2児の子育てをしながら在宅での仕事を10年以上継続し、子どもの小学校入学を機に2014年からライター業も本格的に再開。記者出身の女性ライターユニット smart sense を立ち上げるなど活動の幅を広げている。

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