会社員リモートワーカー

【島根】学校の先生の新たな働き方。自宅で授業を行うリモートワーク教師

先日「企業紹介」でご紹介したオンライン日本語補習校。代表の吉田さんのインタビューに続いて、講師である部田つぐみさんにもお話を伺うことができました。部田さんは、小学校に十数年間勤務された経験のあるベテランの先生です。ビデオチャットを使って、どのような授業を行っているのでしょうか。

 

部田 つぐみ(Heta Tsugumi)
島根県在住。教員として小学校に十数年間勤務。その後、体調を崩し教育現場から離れる。現在はオンライン日本語補習校にて国語と算数の授業を行っている。

オンライン日本語補習校:http://online-hoshuko.com/index.html

 

車椅子になり教育現場を退職。世界に繋がる学校で、リモートワーク教師として復帰

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―部田さんがオンライン日本語補習校の講師を始めるまでの経緯を教えてください。

部田さん(以下敬称略):もともと小学校で教員をしていたのですが、病気で下半身付随になってしまい退職を決めました。まだ娘たちも小さかったし、車椅子で学校の先生を続けることは難しかったのです。学校を辞めてからしばらくは、育児に専念しました。娘の学校の友達がうちに来て、勉強を教えることもありました。

娘が高校生になる時には、家の近くに通える高校がなかったため、私も一緒に都市部に出ていくことにしました。補習校の経営者である吉田さんとのご縁があったのは、実はその時なんです。と言っても、吉田さんに実際にお会いしたことは一度もありません。引っ越した地域で教員をしている友達がいて、たまたまそのクラスに帰国子女の生徒さんがいて。その保護者の方に、オンラインの講師を探していた吉田さんを紹介していただいたことが始まりでした。娘も大きくなっていたので、グッドタイミングでした。

―不思議なご縁だったのですね。リモートワークで先生を始める時、不安はありませんでしたか?

部田:本当に不思議な出会いですね。吉田さんとはハングアウトのビデオチャットでお話をして、講師の仕事がスタートしました。もちろん最初は不安だらけでしたよ。本当に私にできるのかな? と思っていたのですが、アクティブな吉田さんのサポートがあり、実際に授業をやっていくうちに少しずつ慣れていきました。当初は、とても緊張しましたけどね(笑)

他の先生が過去に行った授業の動画も見せてもらい、イメージを掴んでいった感じです。

―部田さんがお仕事をされている場所はご自宅ですか? また、週に何時間くらい授業をしているのでしょうか。

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部田:基本的に自宅でパソコンを開いて授業をしています。車椅子なので、自宅で仕事ができるのは良いですね。たまに旅先のホテルでも行うことがあります。パソコンと黒板代わりのホワイトボードやスケッチブック、そして教科書があれば仕事ができます。

授業は月曜日から土曜日まで、週に11時間ほど担当しています。日本は朝で、アメリカは夕方〜夜の時間帯に授業を行っています。それぞれ時差があるのは面白いですね。アメリカと香港の生徒が参加するクラスでは、香港は土曜日の朝7時、日本は土曜日の朝8時、アメリカは金曜日の夕方なんです。挨拶が「おはよう」なのか「こんばんは」なのか分からなくなります(笑)香港の子は眠そうにしながら、いつも頑張って出席してくれていますよ。

―色々な国から生徒が集まってくる様子は面白いですね。授業の途中で接続が途切れてしまったり、オンラインだからこそのトラブルはありますか?

部田:ありますね。回線が落ちてしまう子もいます。そういったトラブルの時は、吉田さんがサポートしてくれていて、また授業に入れるようにシステムを作ってくれています。生徒によっては繋がりにくい子もいるので、ネット環境はしっかりしていないと難しいですね。

 

オンラインだからこそ生まれる距離感の課題と、授業の中で出会える異文化の面白さ

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―実際に生徒と対面する学校と、オンラインで行う授業にどんな違いを感じますか。

部田:やはり実際の学校に比べると生徒との距離感はあると思います。漢字を教えていても手元が見えないので、書き順をちゃんと覚えているかな? と心配になることも。実際にその場にいればすぐに確認できることが、オンラインだと難しくなります。でも、海外にいながら日本人の先生を探すことは大変でしょうから、家で授業が受けられるオンラインの補習校は、とても良いシステムだと思います。

―授業の中で工夫していることがあれば教えてください。

部田:授業は2時間行うので、途中で飽きてしまう生徒もいます。できるだけ授業の中に気分転換を取り入れて、意識を高める工夫はしています。あとは、日本語の絵本を読んであげたり、漢字クイズを行ったり、ことわざの紹介をしたり。普段、違う言語の中で生きている子たちなので、日本語に出会う機会って少ないんですよね。なるべく興味を持ってもらえるようなものを、授業の中に取り入れています。

―日本の絵本やことわざなど、きっと海外に住んでいる子どもたちには珍しいでしょうね。

部田:先日、中学3年生と一緒に俳句の勉強をしたのですが、なんとアメリカにも俳句の授業があるそうです! それは知らなかったのでカルチャーショックを受けました。ちゃんと韻を踏んで英語の俳句を書くみたいです。そういった文化の比較ができるところも、この学校の面白さかもしれません。

―授業中は生徒もお互いに顔を見ることができるのですよね。実際にその場にいなくても、子ども同士は友達になったりするのですか?

部田:子どもたちは自分と同じように日本語を勉強している子がいると分かり、親しみを感じているみたいです。授業の後に一緒にゲームをやっている子もいるみたいですよ。低学年の子ほど、子ども同士の繋がりはあるかもしれません。時には言い合いをして拗ねてしまったり……そんなこともありました。この仕事を始めた当初は、一対一で教えたほうがスムーズなのでは? とも思っていたのですが、生徒同士で刺激し合うことで意欲が高まるようですね。20人前後で学習する本当の教室と同じようにはいきませんが、子ども同士の関わりを大切にした授業をしていけたらと思っています。

 

生徒の「できた!」という表情を見られる時は、何よりも嬉しい

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―これまでの授業の中で、印象的なエピソードがあれば教えてください。

部田:小学3年生の子に「親友」という漢字を教えた時のことです。「仲が良いお友達のことだよ」と意味を伝えたところ「じゃあ、先生とぼくだね」って言ってくれたことが可愛かったなあと(笑)。その後も「親友」という漢字を見るたびに、同じことを言ってくれます。逆に中学3年生くらいの生徒になると、なかなか喋ってくれない子もいるので、なるべく話をしてもらえるような関わり方の工夫はしています。

学校をずっと離れていたので、こうやって子どもたちと関わって、少しでも役に立てているのは、本当に嬉しいことです。ハングアウトの画面の中で、子どもたちと話したり顔が見えることも、家から自由に出られない私にとっては大切な時間です。特に生徒が何か達成した時に「できた!」って表情をしていると、私も嬉しくなります。

―今後、やってみたいことはありますか?

部田:吉田さんともすでにハングアウトで話し合っていることなのですが、講師同士の交流を取り入れていけたら良いのかなと思います。学校であれば職員室で教師同士の話し合いができたり、隣の教室を覗けば違う先生の授業を見ることができます。しかし、オンラインで授業をしていると、他の先生がどのように授業をしているのか見えないんですよね。それに、仕事の悩みを聞いてもらえる場所があったら良いな、とも思っています。

―先生同士の繋がりですね。それぞれ離れた場所でリモートワークをしている先生同士が、横の繋がりを持ったり情報を共有することで、授業がより面白くなっていきそうですね。

部田:吉田さんも生徒たちも、オンラインの学校があったからこそ出会えた人たちです。以前はこういうリモートワークのようなシステムはなかったので、昔だったらきっと出会えなかった人たちだと思います。そう考えると不思議ですよね。私のように体調を崩してリタイアしたり、子育てのために教員を辞めた人たちにも、おすすめしたい働き方です。

―ありがとうございました。前回の吉田さんのお話に続いて、講師の部田さんのお話を聞かせていただきオンライン日本語補習校の魅力をより深く知ることができました! 場所に制約されず活躍できる教師の働き方として、今後さらにリモートワークが注目されていくのではないでしょうか。

 

この記事の著者:佐藤愛美(Megumi Satou)

保育士とライターのダブルワークを5年間続けた後、フリーライターとしてワークスタイルを確立。女性の生き方、子育て、社会問題等のテーマを中心に執筆している。保育園で連絡帳を書くことも、ライターとして記事を書くことも根本は同じ。「人と向き合い、心に触れる文章」をモットーに事業を展開中。

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