リモートワーカー活用は、社会貢献ではなくビジネス戦略―株式会社アイクリエイト

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株式会社アイクリエイトは「ヒトのチカラに関するモッタイナイを解消する」をミッションに掲げ、ブランディングやPRを主軸事業としています。せっかく良い商品・サービスを提供しているのに、認知度や売り上げのアップにつながらない……。そんな悩みを解決し、幅広いクライアントから支持されているといいます。

同社のビジネスを支えているのが、リモートワーカーたちです。その多くは、地方在住者や子育て中の母親。時間や場所に制約がある人材を、どのように活用しているのでしょうか? 代表の粟田あやさんにお話を伺いました。

粟田あや(Aya Awata
兵庫県神戸市出身、広島大学卒業。ノエビア、ベンチャー・リンクを経て、’04年リクルートエージェント入社。キャリアスクールの企画・運営、採用、キャリアアドバイス等のキャリア支援分野での経験を積み、’08年5月に株式会社アイクリエイトを設立。教育、商品開発、PRなど、ブランディングにまつわるビジネス活動をコンサルティングから実働まで一貫サポートする。クライアントは個人事業主から上場企業まで幅広い。

※同社で活躍中のリモートワーカー・大原絵理香さんのインタビュー記事『リモートワークと会社員。社内外でスキルを磨く新しい働き方』もあわせてご覧ください。

HP:http://i-crt.jp/

同社で開催中のエマージェンシーホイッスルのクラウドファンディング:https://www.makuake.com/project/emg-whistle//

 

モッタイナイ人材を、リモートワークでフル活用!

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―リモートワーカーを採用しているのはなぜですか?

粟田さん(以下敬称略):「仕事をしっかり進めてくれさえすれば、どこにいても構わない」というのが私の考えで、創業時からリモートワーカーを採用しています。私のまわりだけでも、子育て中で時間に制約があったり、家族の都合で地方や海外にいるために能力を発揮できない優秀な人がたくさん。そんなリソースを活用できれば、会社にとって非常にプラスになります。

―リモートワーカーは何人いらっしゃるのですか?

粟田:現在5名が稼働していて、社内スタッフとほぼ同数です。住んでいる場所は、海外、地方、都内とさまざま。オンラインで私や社内スタッフと連携しながら各プロジェクトを進行しています。

社内スタッフのひとりは、幼稚園のお迎えがあるため退社時間は15時30分。一般的な時短勤務と比べても、かなり早いですよね。でも夜間や休日も上手く利用してくれて、仕事はスムーズに回っています。

―リモートワーカーと社内スタッフでは、仕事内容は違いますか?

粟田:リモートワーカーは、主にクリエイティブ系と経理・総務系を任せています。一例を挙げると、クライアントの会社案内・ホームページなどのビジネスツールのデザイン、請求書の作成や自社スタッフのメールアドレスの発行などです。一方、社内スタッフの役割は、コミュニケーションのハブ。リモートワーカーやクライアントとのやり取りなどをメインで担当しています。

大半のリモートワーカーは地理的・時間的な制約があり、クライアントとの商談などに同席できないのがネックでした。でも以前紹介した大原のように、都内在住のリモートワーカーにはプロジェクトマネジメントを任せ、必要に応じて外出や出社をしてもらっています。

 

リモートワーカーは自由。でもスキルと覚悟が必要

―リモートワークに向いているのはどんな人ですか?

粟田:まず、自己管理ができることが重要です。上司が直接管理できないところにいるわけですから。あとは、言われる前に主体的に行動できること。具体的には、自分が中心となってプロジェクトを進めた経験がある人やフリーランスの経験がある人などは向いていますね。

リモートワークと聞くと、カフェでパソコンを広げて自由に働くというイメージがあるかもしれません。でも、自由に働くにはスキルと覚悟が必要。アウトプットが最重要なので、ある意味、正社員よりもプロ意識が求められます。

―確かに、表面的な自由さが過度に強調されている感もあります。

粟田:リモートでも社内にいても、責任を持って仕事をする心構えは同じです。もし納期に間に合わないなどのトラブルがあっても、いつならできるのか、どうすればできるのかなどの代案を出してほしいですね。チャットワークでのやりとりが基本なので、「できません」だけメッセージを送られてきても、困ってしまいます。もちろん、どうしても仕方ない状況もあると思いますが、そんなときにも助け合えるような信頼関係を普段からつくっておくことも大事だと感じます。

―リモートワーカーとは文字でのコミュニケーションがメインになると思います。意識していることはありますか?

粟田:顔が見えない分、社内メールとは違う文章スキルが必要です。たとえば「忙しい中ありがとうございます」とひとこと添えたり絵文字を使ったり。文字上の雰囲気づくりを心がけています。そういうことができるメンバーは、仕事を円滑に進めてくれています。

―対面で会う機会はありますか?

粟田:都内近郊のリモートワーカーは毎週月曜日に出社し、情報共有や各プロジェクトのすり合わせなどを行います。時間的な制約があるスタッフが多く、短時間で密度の濃いミーティングをする習慣がついています。

―リモートワーカーのマネジメントで、特に注意していることは何でしょうか?

粟田:セキュリティ管理です。クライアントは情報漏洩のリスクに敏感で、「社外で作業して大丈夫なの?」と心配されることが少なくありません。特に上場企業や金融機関の案件は、情報管理を厳重にすることが契約の条件になる程です。対面やオンラインで研修を行い、セキュリティソフトを必ずインストールする、フリーWi-Fiは使用しない、などを徹底しています。

 

リモートワークでダイバーシティも人材不足解消も実現

―ママさんリモートワーカーが多いようですが、女性活用に力を入れているのでしょうか?

粟田:結果的に子育て中のリモートワーカーが大半を占めていますが、積極的に採用しているわけではありません。むしろ稼働時間がかぶってしまい、緊急時の対応が難しくなるというリスクもはらんでいます。あらゆる属性のスタッフがいればこうしたリスクは軽減できるし、斬新な発想もどんどん出てくる。リモートワークを通じて、本当の意味でのダイバーシティを実現するのが目下の目標です。リモートワーク推進を企業の社会貢献と考える風潮もありますが、私は完全にビジネスチャンスとしてとらえています。

―最後に、リモートワーク導入を検討中の企業へメッセージをお願いします!

粟田:転職市場は売り手市場で、優秀な人材を採用できないという悩みをよく聞きます。でも一度、「通勤圏内に居住していてフルタイム勤務が可能」という枠を外してみると、求める人材に出会える可能性が意外にもグッと上がるはずです。このリソースを活用しないのはモッタイナイ!

リモートワーク導入に不安があるのなら、それを具体的に書き出すことから始めてはいかがでしょうか。たとえば、「情報漏洩が心配」「仕事をさぼるのではないか」など。まず課題をクリアにすることで、「どうすれば解決できるのか?」と具体的に行動を起こせますし、意外と先行事例は多いので参考しながら進めることができると思います。

―ありがとうございます。この取材の日時調整は、終業時間が15時30分の社内スタッフが担当してくださいました。夜間や週末にもメールのやりとりを行い、筆者の提案や質問への対応も的確。とてもスムーズでした。

メールなどの文字によるコミュニケーションが主流となり、会社の電話の前に張りついている必要はもうありません。仕事の進め方は変わっているのに、働き方は依然として「出社ありき」です。柔軟な発想で人材を活かす株式会社アイクリエイトが次々と成果を上げ、リモートワークの可能性を世に広めてほしいと思います。同社の活躍を応援しています!

 

この記事の著者:平田 志帆(Shiho Hirata)

コールセンター勤務や専業主婦を経て、33歳のときに医療系メーカーの専属ライターに転職。産休・育休を経て復職するも、家庭の事情により両立が困難になりフリーに。現在は仕事と育児をほどよく楽しんでいる。この経験からワークライフバランスや女性の働き方に関心を持ち、それをメインテーマに活動中。


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by caster-biz