ワーケーション/コワーキングスペース

【徳島】リモートワーカーの聖地、神山町体験レポート! 

2016年3月29~31日に、”リモートワークの聖地”である徳島県神山町へ行ってきました。そこで今回は、満開の桜が美しい神山町から、サテライトオフィスの様子やリモートワーク環境をリポートします!

ついに、「聖地」神山へ!

2泊3日の神山町滞在。実は私が神山町を訪れたのは今回が初めてではありません。前回は2年前。同じく春の兆しが少しずつ見られるようになってきた4月はじめのことでした。

簡単に説明すると、神山町は徳島県の山あいにある人口およそ5,500人の小さな町です。町の四方には山々がそびえ、緑色の影が連なる様子はまるで絵画のよう。一見「よくある風景」ですが、神山町にはある特徴があります。それは続々と首都圏の企業がサテライトオフィスを設けているということ。今では消費者庁移転計画に際し、省庁職員が視察に来るまでになりました。

神山の山並み

山の中の小さな町に、なぜ都内企業が集まるのか。その秘密は光ファイバーにあります。

2011年、それまでアナログ放送だったテレビがすべて地上デジタル放送に切り替えられました。ところが四方を山に囲まれた神山町には電波が届かずテレビが見られなくなってしまうことがわかり、全世帯がケーブルテレビを見られるようにするため光ファイバー網を張り巡らせたのです。

こうして「自然×古民家×超高速ブロードバンド」という特殊な環境ができあがりました。それに目をつけた都内IT企業が「これなら生産性を落とさず転地効果を狙える」とサテライトオフィスを開設し、後を追うように続々とサテライトオフィスやリモートワーカーたちが集まることになったのです。

2年前初めて訪れたとき、初めて見る神山町の自然を離れがたいほど美しく感じました。それでいて都内のオフィスにいるのと同じように働けるのです。私はこの不思議な体験をしてから、ずっと「もう一度ここに戻ってきたい」と強く願っていました。

 

神山体験ツアーの概要

今回、NPO法人グリーンバレーの主催によって開催された、念願の「神山体験ツアー」に、到着前からワクワクしていました。実際には、「神山就活ツアー」という移住者向けのツアーでもあったのですが、スケジュールを見てみると次のようになっています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【1日目】
~15:00
現地集合

15:00~16:30集合@WEEK神山
サテライトオフィスツアー
神山町内のサテライトオフィスをめぐるツアーです。神山バレー・サテライトオフィ
ス・コンプレックス、えんがわオフィス、sansan神山ラボ、ソノリテなど

16:45~17:45入浴@神山温泉
おすすめの名湯です(入湯料600円)
……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

1日目と2日目の夜には移住者との交流会が設けられていたり、「日本の田舎をステキに変える!」をモットーに活動するNPO法人グリーンバレーの大南理事長の講演が入っていたりと盛りだくさんの内容。ここでは、ツアー参加の目的であったサテライトオフィスツアーについて主にお伝えしたいと思います。

 

神山町までのアクセス

神山までのアクセスは、阿波おどり空港から徳島駅まで特急バスに乗り、駅からは路線バスを使います。私はふだん目的地までのルートをGoogle Mapを使って検索しているのですが、事前にルートを検索したところ車以外の選択肢が出てこない……! もしやバスも走っていないの!? とかなりびっくりしましたが、どうやら路線バスのルートが組み込まれていなかっただけのようで、実際は徳島駅前のわかりやすいところにバス乗り場がありました。ホッ。
阿波おどり空港

バスではSuicaやPASMOは使えません。料金は降車時に現金で支払うため、ひとまず席につきます。途中大きな総合病院なども見えましたが、20分も走ればあっというまに緑豊かな住宅街に入ります。そこからさらに20分走ると、窓から見える風景がだんだんと以前見た神山の景色に近づいてきました。駅からバスで1時間、バスの最終停留所「神山高校前」が今回の目的地です。ここまでの料金は1000円ピッタリ。
鮎喰川

 

いざサテライトオフィスツアーへ!

ツアーの参加者が滞在したのはWEEK神山という昨年7月にできた宿泊施設です。建物は神山町を流れる鮎喰川(あくいがわ)を見下ろす丘の上に建てられており、なんとレストランと各部屋の川側に面した壁はすべてガラス張り(ブラインドがついているので、外からの視線を遮ることもできます)。部屋に入ると鮎喰川のせせらぎの音が心地よく響いてきて、癒やし効果バツグンでした。
WEEK神山

WEEK神山外観

WEEK神山からの眺め

ツアー最初のプログラムはサテライトオフィス見学です。さっそく宿の向かいにある神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス(KVSOC)を見学しました。
コンプレックスは、むかし縫製工場として使われていた建物を改装し、現在はコワーキングスペースとして使われている場所。法人や個人で契約するオフィススペースや3Dプリンター等が置かれた作業場、マルチスペースがあります。マルチスペースに置かれた家具は、地元の廃家具を再利用して作ったものだそうです。

サテライトオフィスコンプレックス

マルチスペース

廃家具を利用した机と椅子

冬場はかなり寒そうですが、広々として開放感があります。周囲がとても静かなので、集中して作業したい人にはとても良い場所かもしれません。なお、こちらには消費者庁移転計画のお試し期間中に省庁の方々が来られたそうです。

次に見学したのは、「えんがわオフィス」で有名な株式会社えんがわさんのオフィス。全従業員の8割が恵比寿本社におり、2割が神山オフィスで働いているそうです。また神山オフィスには神山町出身者が数名在籍しているとのことで、地元の雇用にもつながっているようです。
えんがわオフィス

えんがわオフィス

えんがわオフィス(蔵)

最後に見学したのは、都内のIT企業で初めて徳島県神山町にサテライトオフィスを設置したSansan株式会社の「Sansan神山ラボ」。築70年の古民家を改築して無線LANを張り巡らせたこのオフィスには、エンジニア2名が常駐し業務を行っています。またそれ以外にも社内研修や合宿の場として使われています。
Sansan株式会社

Sansanのハンモック

 

リモートワークという選択肢

今回のサテライトオフィス見学で印象的だったのは、古民家という見た目に反して、屋内はまったく古さを感じさせない環境になっているということ。外は古民家と山、内はPCとデスクトップモニター。なんとも不思議なコントラストです。

さらにサテライトオフィスならではの取り組みとして、本社と常時接続されているモニターが別に設けられていました。これなら本社の様子が映像で確認できるだけでなく、必要に応じて音声でやり取りすることもできます。つまり神山にいながら、限りなく本社に近い空気のなかで仕事をすすめることができます。

コンプレックス会議室

実際サテライトオフィスでリモートワークをするというのは、本社でやっているのと同じ仕事を遠隔でするというだけのことです。神山のサテライトオフィス各所もまったく違和感なく業務を進めていました。今や働く場所は大して重要ではなくなってきています。場所にとらわれず、どのようなワークスタイルを選択するか、そのヒントが神山町にはあったように思います。

 

リモートワーカーが神山町に集まる理由

ここで、現在進行形でリモートワークをしている私から見て、神山町がリモートワークに適していると思ったポイントをいくつか紹介したいと思います。

まずひとつめは、(1)神山町の豊かな自然です。都会のグレーな景色にうんざりしている人にはとても新鮮に感じられ、気分転換ができることで生産性が高くなる可能性があります。

たとえば、一歩屋外に出れば、都会ではなかなか目にできないような鮮やかなグリーンの景色が周りに広がっています。さらに川に近ければ水の音を聞きながら仕事をすることもできます。ネットワークにさえ繋がっていれば、川のなかに足を突っ込んで仕事をしたって良いのです。都会にいては絶対に体験できないワークスタイルです。

神山桜

ふたつめは(2)移住者のコミュニティがあることです。誰でも見知らぬ土地に移り住むのは心細いですが、すでに移住者同士が集まって話ができるような場があるのは安心です。

たとえば町内には比較的新しいカフェやレストランがちらほらあり、地元の方だけでなく移住者の方々もたまに集まっているようです。移住者同士でイベントや交流会に招待するなど、情報交換も盛んな様子でした。困ったときに話を聞ける相手がいるというのは、とても重要なポイントです。

最後にみっつめですが、(3)自宅以外にも職場として利用できる場所がいくつもあるのはポイントが高いという点。サテライトオフィス勤務の場合は業務時間外にオフィスの外に出て仕事をするのは難しいかもしれませんが、フリーランスなどの個人でフレキシブルに動ける人は、自宅で行き詰ったときに場所を変えて仕事ができると捗ります。

町内には上で紹介したコンプレックスという施設があり、入居しなくても料金を払えば施設を利用することができます。カフェにも無線LANが飛んでいるので、コーヒーを飲みながら仕事をすることも可能です。

コンプレックス内のシェアオフィス

上記は特にリモートワークを行う人にとってのメリットですが、その家族にとっても悪い場所ではないはず。実際、町の子どもたちは自宅で薪割りをしたり、川に入ってサワガニをとっておやつにしていました(揚げたてのサワガニをひとつ分けていただきましたが、香ばしいかおりとサクサクした食感がとても美味しかったです)。

また中学校ではコンプレックスに置いてある3Dプリンターを使った授業が行われているそうで、新しいものを取り入れているという点では都会にも決して劣らないでしょう。都会にいたらこんな贅沢な子ども時代を過ごすことはできないかもしれません。家族連れで訪れる人が多いというのも納得できます。

 

神山以外でリモートワークするなら

これからリモートワークをしようという方にとって神山はとてもよい環境ですが、それ以外の場所に移住して実践する場合に注意したいポイントをまとめてみます。

まず最初に、(1)自動車運転免許を取得し自家用車を必ず1台持っておくことです。ある程度地方に移住する場合、少し繁華街から遠ざかるととたんに徒歩移動が難しくなります。また周囲に山が多い環境なら、自転車での移動も難易度が上がります。そのため必ず免許と車は用意しておきましょう。
そのうち暮らしに慣れてきたら軽トラもあると良いでしょう。荷台が開いていて何でも積み込めるので、そのうち自家用車より軽トラのほうが利用頻度が高くなるかもしれません(ちなみに神山町では、家族一人ひとりが自家用車と軽トラを1台ずつ所有する、つまり一人2台持ちをする家庭が多いようです)。

次に、(2)地元の方とのコミュニケーションを怠らないことが大事です。移住者にとっても見知らぬ土地は不安ですが、見知らぬ人を受けいれる町の人々にも不安があります。積極的にコミュニケーションを取りつつ、適度な距離を保ちましょう。土地柄や文化にもよりますが、移住する先で大事にされている価値観や伝統は守るのは最低限のマナー。もちろんすべてに迎合する必要はありませんが、持ちつ持たれつの関係ですから、移住者同士で固まらず地元の方とも積極的に交流を持ちましょう。人が集まるカフェやレストランがあるなら、行ってみても良いかもしれません。

WEEK神山のレストラン

最後に、休みを取ってでも(3)まずは移住予定の土地に1週間は滞在しましょう。土日だけでは普段の町の様子が分かりにくいので、平日の様子もしっかり見ておくと良いと思います。その町に自分のライフスタイルや価値観が合うかどうか、できるだけ見極めておかないと移住してから苦労することになります。移住の目的が生産性の向上なら、本当にその土地に移住して仕事の生産性が上がるのか考えてみる必要がありますし、生活の質の向上ならストレスを感じる点がどれだけあるのか調べる必要があります。また子ども連れで移住するなら、教育環境も調べておいたほうが無難です。

 

所感

さて、今回は「必要以上に負荷をかけずに満足度高く働く方法」のヒントを得ようと神山ツアーに参加したわけですが、人によってはむしろ大都会のほうが合っているんだろうな、と感じました。

神山にはおしゃれな商業施設やそびえたつようなオフィスビルはありません。たくさんお金を使うようなところもありません。お金を使う遊びが好きな人はやめておいたほうが無難です。ブランド物のバッグや洋服を身につけても浮くだけ。豪遊したいなら六本木あたりに行ったほうが良さそうです。

いっぽう、都会の雑踏を人をよけながら歩き、良い天気でもオフィスビルにこもって仕事をする生活に疲れた人には、緑深い山々や水が透き通る川がこれまでに溜まった疲れを癒やしてくれるかもしれません。隣家の人と1年間1度も会話しなかった生活から、すれ違えば「こんにちは!」と声をかけあう生活のほうが、もしかしたら体のそこから元気が湧き出てくるかもしれません。

鮎喰川

仕事が充実しないときは私生活も充実していないときだと思っています。仕事と私生活のオンオフをはっきりつけたいと考えても、頭のなかはそうかんたんに区切れません。仕事以外の何気ない日常の光景が自然に彩られて鮮やかになるほうが、仕事も含めた生活の満足度を大きく上げてくれることだってあるはずです。

働き方の問題は、要するに生き方の問題でもあります。自分の働き方(生き方)がどちらにより近いのか気になる方は、ぜひ一度神山を訪れてみてはいかがでしょうか。

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