リモートワークの廃止で優秀な人材が流出?出社回帰で企業が負うリスクと生産性向上の代替策

新型コロナウイルスの流行を機に急速に普及したリモートワークですが、近年では「廃止」や「縮小」を検討し、出社回帰の方向へ舵を切る企業が増加しています。
しかし、その判断を誤ると、生産性の回復どころか、優秀な人材の流出や採用競争力の低下といった深刻なリスクを招きかねません。
本記事では、リモートワーク廃止の動向と背景、廃止が企業にもたらすデメリット、そして「他社に倣う」だけでは失敗する理由を深掘りします。
特に、「生産性向上」を目的とする企業様へ向け、廃止以外のより効果的な選択肢(コア業務集中と外注の活用)を提案します。
リモートワーク廃止の現状と企業が抱える課題
リモートワーク廃止・縮小の動きは実際に増加しているのか
近年、リモートワークの実施率はピークから緩やかに減少し、一部の企業では出社回帰の動きが見られます。
国土交通省「令和6年度テレワーク人口実態調査」によると、雇用型テレワーカーの割合は前年度の28.7%から24.6%へと、わずかに低下しました。
ただし「完全廃止」ではなく、「ハイブリッドワーク」への移行が大半である点に注意が必要です。
- 大企業を中心に、OJT強化やコミュニケーション改善の目的で出社回帰を検討
- 一方で、中小企業や地方企業ではリモートワーク継続の動きも依然多い
- 完全戻しではなく「週○日出社」などの折衷案が増えている
“廃止の波”はあるものの、その背景や目的は企業によって大きく異なります。
企業がリモートワークを「廃止したい」と考える主な理由
企業がリモートワークの運用において実際に感じている不満や課題を、以下の通り、企業側の目線で整理します。
生産性の低下
リモートワーク下では、従業員のパフォーマンスや勤務実態の把握が困難になるという課題があります。
- 勤務実態の把握が難しい
- 自己管理能力の個人差によるパフォーマンスのばらつき
- オンライン会議の連続による集中力の低下
コミュニケーションの希薄化
オフィス勤務時に自然発生していた偶発的なコミュニケーションが減少し、これが組織の創造性やチームワークに影響を及ぼします。
- 雑談や偶発的な会話が減ることでアイデア創出機会が減少
- 新人育成・OJTの難易度が上昇
- チーム間連携が弱くなりがち
オフィス維持コストとのミスマッチ
リモートワークを導入したものの、オフィス関連の固定費を削減できていない企業では、コスト面での非効率が生じます。
- オフィスを縮小・解約できず家賃が固定費として残る
- リモートワーク維持のためのツール費用や手当も同時発生
- 二重コスト構造になり、経営面で非効率化が生まれる
「廃止」が企業にもたらす深刻なデメリットとリスク
従業員エンゲージメントの低下と離職率の上昇
リモートワーク継続を望んでいた従業員にとって、一律の出社回帰は大きな不満要因になります。
特に成果を出している優秀層ほど自由度を重視し、より柔軟な働き方を提供する企業へ流出する可能性が高いことが指摘されています。
離職は、単に組織の人員が減るという問題に留まらず、企業の経営に甚大な間接的・直接的なダメージを与えます。
- 採用コスト:退職者の穴を埋めるために、求人広告の出稿、人材紹介会社への手数料、選考にかかる時間(面接官の人件費)といった直接費用が再発生
- 教育コスト:新しく採用した社員が一人前の戦力として業務を遂行できるようになるまでには、OJTや研修に多くの時間とリソースが必要
- 知識・ノウハウの損失:退職者が培ってきた専門的なスキル、顧客との関係性、業務プロセスに関する暗黙知といった貴重な財産が組織から失われる
これらのコストと損失は、目に見えにくいものも含め、本来得られたはずの利益(機会損失)を大きく圧迫することになります。
採用競争力の低下と優秀な人材の獲得機会損失
特にITエンジニアやマーケ、クリエイティブ職などは、リモートワーク前提で仕事を探す傾向が強いです。
出社必須に戻すと、以下の深刻な問題が発生します。
- 地方在住の優秀人材が応募対象から外れる:企業は地理的な制約のために、本来獲得できたはずの高度なスキルを持つ人材へのアプローチ機会を失う
- リモートワーク前提の競合企業に採用で負ける:柔軟性の低い「出社必須」の企業は、採用市場で決定的に不利になる
- 母集団形成が困難になる:応募者が「出社必須」を条件として避けるため、そもそも採用活動における候補者が集まらなくなる
これらの問題が複合的に作用することで、採用難易度が急上昇し、最終的には事業成長そのものに大きな影響を及ぼしかねません。
オフィス家賃や通勤費など固定費用の再上昇
在宅勤務手当が不要になっても、代わりに以下のコストが増加します。
- 家賃・光熱費の復元
- 通勤交通費(特に定期代)が再上昇
- 出社に伴う雑費の発生
結果として、「リモートワーク廃止=コスト削減ではない」ことが明確になります。
「他社に倣う」だけでは失敗する?廃止を検討する際の真の論点
出社回帰の判断は、流行ではなく目的から逆算して検討すべきです。
多くの企業では以下の2つが本音の目的です。
(1)人件費調整を目的としたケース
リモートワーク廃止を検討する企業の中には、表向きの理由としては「コミュニケーション改善」や「生産性向上」を掲げつつ、実際には人件費の最適化(調整)を背景にした判断が含まれる場合もあると指摘されています。
ただし、あくまで一般論であり、企業によって事情が大きく異なるため、ひと括りに語ることはできません。重要なのは、廃止によって従業員の離職が増えた場合、結果的に事業継続や生産性に影響が出る可能性があるという点です。
(2)生産性向上目的
純粋に業務効率を改善したいケースです。
ただし、優秀層の退職が増えれば、生産性向上どころか逆に低下するリスクが非常に高いことを忘れてはいけません。
自社の業務特性・従業員の声を無視した廃止は危険
- 企画系・開発系→リモート適性が高い
- 営業系・店舗系→対面業務が必要
- 育児・介護を抱える社員→リモートの恩恵が非常に大きい
このような実態を無視した「全社で出社回帰」は危険です。
生産性向上のための「リモートワーク廃止」以外の有効な選択肢
正社員の『コア業務集中』と『ノンコア業務の外注』という視点
生産性低下の原因は「働き方」ではなく、正社員の時間がノンコア業務に奪われていることにあるケースが非常に多いです。
コア業務の例
- 事業戦略
- 営業・商談
- 技術開発
- 意思決定業務
ノンコア業務の例
- 資料作成
- 議事録
- 日程調整
- 書類整理
- データ入力
- 採用の初期対応
ノンコア業務を外注すれば、リモートワークかどうかに影響されず、確実に生産性が向上します。
オンラインアシスタントという選択肢
リモートワークを廃止しなくても、あるいはハイブリッドワークを継続しながらでも、外注による生産性向上は実現できます。
CASTER BIZ assistantが提供する価値:
- 優秀なフロント(ディレクター)が窓口となり、高スキルなアシスタントのチーム体制で業務を丸ごと引き受ける
- 定型業務・雑務を削減し、正社員の集中時間を創出
- 在宅でも出社でも利用可能(場所に依存しない)
- 月額制で必要な分だけ依頼できる
- 採用・教育コストゼロで即戦力を確保
リモートワーク廃止という「最後の手段」を選ぶ前に、外注による生産性向上を検討することは非常に合理的です。
まとめ
リモートワーク廃止は、目的を明確にしなければ逆効果になる可能性があります。
特に生産性向上を目指す企業こそ、
- 社員のコア業務集中
- ノンコア業務の外注
- 柔軟な働き方の維持
という選択肢が最も戦略的で、持続的な成長を期待することができます。
まずは、自社のノンコア業務を棚卸しし、CASTER BIZ assistantの活用でどれだけ工数を削減できるか検討するところから始めてみてください。

