公開日 2026.08.15更新日 2026.08.15

生成AIの情報漏洩はなぜ起こる?実際の事例と企業が取るべき対策7選を解説

「社員がChatGPTに顧客情報を入力していないか心配」「生成AIを業務に使いたいが、情報漏洩が怖くて踏み切れない」——このような不安を抱える経営者や管理部門の担当者は少なくありません。

実際に、大手企業でも従業員が生成AIに機密ソースコードを入力し、社内利用が制限される事態が起きています。

生成AIは業務効率化に大きく貢献する一方、使い方を誤ると重大な情報漏洩につながるリスクをはらんでいます。

本記事では、生成AIで情報漏洩が起こる仕組みや実際の事例、企業が取るべき対策を7つに整理してご紹介します。

あわせて、禁止一辺倒ではなく安全に「使う」ための体制づくりについても解説します。

生成AIで情報漏洩が起こる3つの仕組み

生成AIによる情報漏洩は、大きく分けて3つの仕組みで発生します。

1つ目は、入力したデータが学習に利用され、他のユーザーへの回答に含まれてしまうケース。

2つ目は、AIサービス提供側のシステムバグや設定ミスによるもの。

3つ目は、マルウェア感染などによるアカウント情報そのものの流出です。

それぞれの仕組みを理解することが、適切な対策の第一歩となります。

1.入力データが学習に利用され回答に含まれる

無料版や個人向けプランの生成AIでは、入力内容が学習データとして利用される場合があります。

この設定のまま機密情報や個人情報を入力すると、その情報が別のユーザーへの回答に反映される恐れがあります。

実際に、大手企業の従業員がChatGPTに機密ソースコードや議事録を入力したことが発覚し、社内利用を制限した事例も報告されています。

多くのサービスでは学習させない「オプトアウト設定」が用意されているため、業務利用時は必ず確認しましょう。

2.サービス側のバグ・設定ミス

生成AI自体に原因がなくても、提供事業者側のシステムにバグや設定ミスがあれば情報漏洩は発生し得ます。

代表例が、2023年3月にChatGPTで発生したライブラリの不具合です。

一部ユーザーの画面に他のユーザーのチャット履歴タイトルが表示され、決済情報など一部の個人情報も意図せず閲覧可能な状態になっていました。

利用者側でどれだけ注意しても、提供側の不備による漏洩リスクは常に存在するため、信頼できるサービス選定の視点も欠かせません。

3.アカウント情報の漏洩・不正アクセス

生成AIのアカウント自体が、マルウェア感染を経由して流出するケースもあります。

従業員のPCが情報窃取型マルウェアに感染すると、保存されたログイン情報が盗まれ、ダークウェブ上で売買される危険があります。

実際に、世界で10万件以上、国内でも600件以上のChatGPTアカウント情報が窃取・取引されていたことが明らかになっています。

アカウントが乗っ取られれば、過去のチャット履歴に含まれる社内・顧客情報がそのまま流出する恐れがあるため、端末側の対策も重要な防衛線です。

実際に起きた生成AIの情報漏洩事例

生成AIの情報漏洩は他人事ではありません。

韓国大手のサムスン電子では、2023年に従業員が機密のソースコードや会議の議事録をChatGPTに入力する事案が3件発覚し、同社は社内での生成AI利用を一時的に制限する措置を取りました。

また、海外の大手金融機関でも、機密情報の漏洩リスクを懸念して従業員による生成AIの業務利用を制限する動きが見られました。

こうした事例からは、悪意がなくても、業務効率化目的の何気ない入力が重大な情報漏洩につながり得ることが分かります。

企業規模の大小にかかわらず、ルールを整備しないまま利用を放置することは大きなリスクとなるのです。

情報漏洩以外にも注意したい生成AIのリスク

生成AIの活用では、情報漏洩以外のリスクにも目を向ける必要があります。

1つは「ハルシネーション」と呼ばれる、AIが事実に基づかない誤った内容をもっともらしく生成する現象です。

誤った情報をそのまま資料や顧客対応に使うと信用問題に発展しかねません。

もう1つは「シャドーAI」と呼ばれる、会社が把握・許可していないAIツールを従業員が独自に使ってしまう状態です。

管理外での利用は情報漏洩リスクを高めるだけでなく、著作権侵害などのトラブルにもつながるため、組織的な管理体制が求められます。

企業が取るべき生成AIの情報漏洩対策7選

生成AIを安全に活用するには、人的対策と技術的対策を組み合わせた「多層防御」の考え方が有効です。

ここでは、企業が取り組むべき代表的な対策を7つに整理してご紹介します。

単独で行うのではなく、組み合わせて運用することで、より実効性の高い情報漏洩防止体制を築くことができます。

1.社内ガイドラインの策定(入力禁止情報の明確化)

まず着手すべきは、生成AI利用に関する社内ガイドラインの策定です。

顧客情報や取引先の機密情報、未公開の財務情報など、入力してはいけない情報を具体的に明示することが重要です。

抽象的に「機密情報を入力しない」と伝えるだけでは判断にばらつきが生まれます。

あわせて業務で利用してよいツールを会社として指定することで、把握できていない「シャドーAI」の発生も防げます。

ガイドラインは定期的な見直しも欠かせません。

2.学習オプトアウト設定・API利用

生成AIサービスの多くは、入力データを学習に利用しない「オプトアウト設定」を用意しています。

無料プランを利用する場合は、まずこの設定が有効かを確認しましょう。

また、APIを経由した利用では、多くのサービスで入力データが学習に使われない仕様になっています。

社内システムに生成AIを組み込む際は、こうした学習除外の接続方法を選ぶことで、情報漏洩リスクを技術的に低減できます。

3.法人向けプランの導入

無料版や個人向けプランではなく、法人向けのセキュアなプランを導入することも有効です。

ChatGPT EnterpriseやChatGPT Team、Azure OpenAI Serviceなどは、学習に利用しない仕様に加え、アクセス管理やログ管理といった企業向け機能を備えています。

個人の判断に委ねず、会社として管理された環境を用意することで、従業員が安心して生成AIを活用できる土台が整います。

導入コストはかかりますが、漏洩による損失を考えれば見合う投資です。

4.アクセス制御・ログ監視・DLPツール

技術的な統制として、アクセス制御やログ監視、DLP(Data Loss Prevention)ツールの導入も欠かせません。

DLPツールにより、機密情報と思われる文字列が生成AIに送信される際に通信を検知・ブロックできます。

また、誰がいつどのAIサービスにアクセスしたかをログで記録・監視する体制を整えれば、許可されていないツールの利用、いわゆるシャドーAIの実態把握にもつながります。

人の注意力だけに頼らない仕組みが重要です。

5.従業員へのセキュリティ教育

ルールやツールを整備しても、使う従業員の理解が伴わなければ効果は限定的です。

情報漏洩がどのような経緯で起こるのか、実際の事例を交えた研修を定期的に実施し、「なぜ危険なのか」を従業員一人ひとりに浸透させることが大切です。

ルールを一方的に押し付けるのではなく、効率化のメリットとリスクの両方を伝えることで、従業員が納得感を持って安全な使い方を実践できます。

新入社員研修などに組み込むのも効果的です。

6.利用ツールの規約・データ取扱いの確認

新しい生成AIツールを導入する際は、利用規約やプライバシーポリシーを確認し、入力データの取り扱いをチェックすることが欠かせません。

学習利用の有無、データの保存期間、保管場所(国内か海外か)などは重要な確認ポイントです。

導入前にチェックリストを用意し、情報システム部門やセキュリティ担当者が確認する体制を整えることで、リスクの高いツールの誤導入を防げます。

7.インシデント対応体制の整備

対策を講じても、情報漏洩のリスクを完全にゼロにすることはできません。

万が一に備え、漏洩が疑われる際の報告先や対応フローをあらかじめ整備しておくことが重要です。

発見から報告、影響範囲の調査、関係者への連絡、再発防止策の検討までの流れを明文化し、誰が見ても迅速に動けるようにしておきましょう。

初動対応の遅れは被害拡大に直結するため、平時からの訓練を通じて実効性を高めておくことが望まれます。

「禁止するだけ」では会社の生産性が下がる

情報漏洩を恐れるあまり、生成AIの利用を一律禁止してしまう企業も少なくありません。

しかしそれでは業務効率化のメリットを享受できないだけでなく、従業員が隠れて使う「シャドーAI」を誘発し、かえって管理できないリスクを抱えることにもなりかねません。

禁止ではなく、安全に「使う」ための仕組みづくりが求められています。

安全に「使う」ためのルールと運用体制が必要

生成AIによる業務効率化の効果は大きく、活用しない機会損失も無視できません。

だからこそ、利用を前提に、ガイドラインの整備、教育、ツールの統制を継続的に回す体制が必要です。

しかしこの運用を自社だけで回すには、AIとセキュリティ双方の専門人材が欠かせません。

社内にリソースがない場合、外部の専門チームと連携しながら安全な活用体制を構築することも現実的な選択肢です。

セキュリティに配慮したAI活用を外部パートナーと進める

社内にAIやセキュリティの専門人材がいなくても、適切な運用ルールを持つ外部パートナーと組めば安全な生成AI活用を実現できます。

例えば「CASTER NEO Assistant」では、Slackで届いた依頼をAIフロントが受け付け、手順整理や進捗共有を担う一方、作業指示や進行管理、納品前の品質チェックは人であるAIコーディネーターが担当します。

AIに任せきりにせず、必ず人の目によるダブルチェックを介在させることで、機密情報の取り扱いミスや誤出力を防ぎながら業務を進められる点が特徴です。

速さと安全性を両立するこのハイブリッド型の運用は、情報漏洩リスクを抑えたい企業にとって有力な選択肢となるでしょう。

安全なAI活用と業務効率化を両立する「CASTER NEO Assistant」

生成AIを安全に業務へ取り入れたくても、AI選定やセキュリティ対応まで自社だけで担うのは容易ではありません。

そこでおすすめなのが、株式会社キャスターが提供する「CASTER NEO Assistant」です。

同サービスでは、AIの選定・設定・メンテナンス・プロンプト調整からセキュリティ対応まで一括して依頼でき、専門知識がなくても安心して生成AIを業務に取り入れられます。

Slack上でAIフロントが24時間365日依頼を受け付け、人のAIコーディネーターが作業指示や進行管理、納品前チェックを行うことで、AIのスピードと人による品質担保を両立している点が強みです。

厳格なセキュリティ基準を持つ企業には専用の環境を用意するなど個社の要件に応じた対応も行っており、情報漏洩への不安から導入に踏み切れずにいる企業にとって心強い選択肢となるはずです。

まとめ:情報漏洩リスクを理解し、生成AIを安全に活用しよう

生成AIによる情報漏洩は、入力データの学習利用、サービス側のバグ、アカウント情報の流出といった複数の経路から発生し得ます。

サムスン電子の事例のように、悪意のない業務効率化目的でも、ルールが整備されていなければ重大な情報漏洩につながる可能性があります。

だからこそ企業には、ガイドラインの策定やオプトアウト設定の活用、法人向けプランの導入、アクセス制御やログ監視、従業員教育、規約の確認、インシデント対応体制の整備といった多層的な対策が求められます。

同時に、リスクを恐れて一律に禁止するのではなく、安全に「使う」体制を整えることが企業競争力を左右します。

自社対応が難しい場合は、「CASTER NEO Assistant」のようにAIと人によるダブルチェック体制を持つ外部パートナーとの連携も有効です。

情報漏洩のリスクを正しく理解し、生成AIを安全かつ積極的に活用して業務効率化につなげましょう。