公開日 2024.09.03更新日 2024.10.31

外注とは?業務委託の違いと業者選びのポイントを紹介

事業を営んでいる方には、「人材が足りない」というお悩みがついてまわるものです。
そのようなお悩みを解決できるのが外注や業務委託ですが、それぞれの違いについては詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?

 

そこで本記事では、外注と業務委託の違い、そして外注のメリット・デメリットを解説します。
人手不足に悩んでおり外注を検討しているが、なかなかその一歩が踏み出せない事業者様は、ぜひ最後までご覧ください。

外注とは?

外注とは、“自社の仕事を外部に依頼すること”という意味があります。
つまり、特定の契約形態を指している言葉ではなく、社外に業務を依頼することを広義で捉えたものなのです。

 

法律で規定された言葉ではないことから、契約を締結する場ではほとんど使われません。
法的に定められた契約には、委任契約や請負契約などの種類があり、外注はその契約形態を広く内包しています。

 

外注の利用には、業務の効率化や成果物の品質の向上といったメリットがあり、自社の売上向上にもつながります。
詳しいメリットは後述しますので、引き続き本記事をご覧ください。

 

関連記事:外注の意味や委託、請負との違いを解説!業者を外注するメリット・デメリット

外注と業務委託の違い

繰り返しになりますが、外注は社外へ業務を依頼するときに使用する広義の言葉となっており、そのなかの一つに業務委託という契約形態が含まれます。
ただし、外注のなかに業務委託が含まれるからといって、すべての要素が同じではありません。

 

たとえば税務上の取り扱い方が、外注と業務委託で生じる費用で異なるのは事実です。
外注費はサービスの提供を受けた代価として支払うため、通常は経費として計上されます。
しかし業務委託の場合、委託した業務が労働契約に近いかたちで行われていたときは、外注費が給与と見なされることがあるのです。

 

また、外注は請負契約に基づいて、成果物を納品するまでの契約となっています。
一方、業務委託では委任契約や準委任契約に則り、業務を遂行することに重きがおかれています。

このような税務上の違いや、成果物の納品の義務の有無を把握しておけば、自社にとって適した契約形態を選択できるでしょう。

外注を利用するメリット

外注を利用すると、さまざまなメリットを得られます。

 

【外注を利用するメリット】

  • 重要な業務にリソースを集中させられる
  • サービス・納品物のクオリティが向上する
  • 無駄な人件費がかからずコストの削減になる

外注について理解できたところで、ここからは活用することで得られるメリットを紹介します。

メリット①重要な業務にリソースを集中させられる

外注先にルーティンワークを依頼すると、自社のリソースを売上につながる業務に注力させられます。
また、専門スキルをもつ業者に一部業務を任せることで、プロのノウハウを活用できるのも利点といえるでしょう。

 

外注先と定期的にコミュニケーションをとって、その業務に関する専門的な知識やスキルを自社にも取り入れられれば、業務の品質が向上し、さらなる効率化も叶います。

メリット②サービス・納品物のクオリティが向上する

外注することで、自社のサービスや業務のクオリティが向上します。

 

外注先は、特定分野の専門知識に特化しています。
リソースが足りないことで対応するのが難しい業務を外注すると、業務のクオリティが上がるほか、専門分野の知識も得られるため、さらなる売上の増加にもつながるでしょう。

 

現在、業務効率や成果物に対して不満をお抱えの事業者様は、外注によってそれらの問題が解消されるかもしれません。

メリット③無駄な人件費がかからずコストの削減になる

コストの削減につながるのも、外注のメリットの一つといえるでしょう。
業務を外注すると、社内で新たな人材を雇う必要がなくなるので、採用や雇用に際してかかる費用を大幅にカットできます。

 

また、業務量が増える繁忙期には外注を利用し、業務が落ち着く閑散期には自社だけで業務を進めるといった柔軟な対応も可能です。

 

直雇用と違って、支出をコントロールしやすいのもうれしいポイントです。

外注を利用するデメリット

コア業務に集中できる、業務のクオリティが上がるなど、外注にはメリットが豊富にありますが、実はデメリットも存在します。

 

【外注を利用するデメリット】

  • ノウハウが蓄積されにくく内製化が進まない
  • 内部情報漏洩のリスクがある

いずれも外注するうえで重要な項目なので、きちんと確認しましょう。

デメリット①ノウハウが蓄積されにくく内製化が進まない

業務を外注した場合、当然ですが社内ではその業務を行わないので、ノウハウがほとんど蓄積されません。

 

外注の利用頻度が高いと、その業務を進行する方法や品質を向上させるための技術を得られず、結果的に常に外注先に頼まなければならないという状況に陥ってしまいます。
そうなると社内でノウハウを知る人物が育たず、やむを得ず外注の利用を取りやめることとなった際に、業務が回せなくなるといったおそれもあります。

 

そのような事態を未然に防ぐためにも、常日頃から外注先とコミュニケーションを密にとり、業務に関する情報を社内でも共有することが重要です。

デメリット②内部情報漏洩のリスクがある

社内の業務を外部に依頼すると、情報漏洩のリスクが高まります。

 

たとえば、新しく進める事業内容などは、競合他社に知られたくない情報のはずです。
それらの情報が競合他社に漏れることが、いかに危険であるかは容易に想像がつきます。
したがって、外注先を選ぶ際は、情報漏洩に関してきちんとセキュリティ対策などの管理を行っている企業を選びましょう。

 

また、情報の管理の仕方が双方で異なる場合は、契約する前にあらかじめすり合わせを行い、事前に共通のルールを定めておく必要があります。

外注費を取り扱う際の注意点

外注費として処理していた経費が否認され、給与だと認定された場合は、“消費税の仕入税額控除額過大”や“源泉所得税の源泉徴収漏れ”といった指摘を受けることがあります。

 

上記の指摘を受けたのちには、差額分の税金を支払わなければなりません。
そうした事態になってもきちんと対応できるように、ここで解説する追徴課税の詳しい内容を把握しておきましょう。

 

外注費として取り扱っていたものが給与だと指摘を受けると、まず消費税に関するペナルティが課されます。
主なペナルティは、“追加納税”“無申告加算税”“延滞税”の3種類です。

無申告加算税は、指摘される前に自主的に納付すれば、消費税金額に5%加算で済みます。

しかし指摘後に納付した場合、50万円以内なら15%、50万円以上なら20パーセントもの割合で金額が加算されます。
延滞税に関しては、法定期限内の翌日から2か月経過するまでは2.6%の追加で済みますが、2か月を経過すると8.9%と大幅に上がるので、期限内に納付することが重要です。

 

源泉所得税も徴収漏れの指摘を受けると、追徴課税の対象になります。
徴収漏れのペナルティも消費税とほとんど同じで、“追加納税”“不納付加算税”“延滞税”の3種類です。
不納付加算税は、指摘される前に納付すれば源泉所得税の金額5%の加算で済みますが、指摘後に納付する際は10%にまで引き上げられるので、注意しましょう。

 

また、雇用主には給与から源泉徴収を支払うといった義務も存在します。
もし、外注費としていた経費が給与と見なされた場合は、「源泉徴収税額が不足している」と指摘されるリスクもあります。

外注費と給与の違いを把握する

人に仕事を依頼することで発生する費用ということで、外注費と給与は似ているものだと思うかもしれませんが、実は異なります。
外注費と給与の違いについては、国税庁が法令解釈通達を出しています。

【法令解釈通達】

  1. その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
  2. 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
  3. まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
  4. 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。

こちらの法令解釈通達を表にまとめたので、ご覧ください。

 

外注費と給与を区別するための基準

外注費 給与
ほかの人でも替えがきく ほかの人では替えがきかない
成果物の納品が必須である 働く時間が決められている
作業方法は定められていない 作業方法は雇用主の指示に従う
成果物を納品すると報酬が発生する 働いた時間に対して報酬が発生する
材料や機材などの必要なものは受注側で用意しなければならない 材料や機材などの必要なものは雇用主から与えられる

左の表の各内容に該当するのが、請負契約です。
つまり、請負契約で外部の業者に業務を任せたのであれば、外注費として報酬を支払う必要があります。

 

なお、それらを受け取る業者側での取り扱い方も変わるので留意が必要です。
所得税法上では外注費として支給される場合は事業所得、給与として支給を受ける場合は給与所得に該当します。

 

一点、請負契約なので外注費、雇用契約を結んでいるので給与と契約の方法だけで容易に判断できないことは頭に入れておきましょう。
当初の契約形態にかかわらず、実際にどのように働いてもらうかによって、外注費か給与かが変わります。

 

引用元:国税庁

外注・業務委託を利用する際に取るべき確認

外注や業務委託を利用する際は、いくつか確認しておきたい項目があります。

 

【外注・業務委託を利用する際に確認をとるべき項目】

  • 契約内容
  • 納品物や納期
  • 報酬
  • 契約解除の要件

ここからは4つに分けて、それぞれ気をつけておきたいポイントを解説します。

対策①契約内容

契約書に“業務委託契約書”と記載されていても、具体的な契約の種類は請負契約や、委任契約などに分けられます。

また、依頼する業務内容によって契約形態が変わるので、締結する前に双方がきちんと確認しておかなければなりません。

なお、契約書の土台をある程度作成したあとも、取引を続けていくなかで当初は予想できなかったトラブルが発生するおそれもあります。
のちに判明したリスク要因に関する対応も、そのたびに業務委託契約書に記載し、外注先と確認し合うことが大切です。

 

さらに忘れずに実施しておきたいのが、秘密保持事項の記入です。
秘密保持事項を契約書に記入していないと、受託者が自社の機密情報を外部に漏らしてしまったときに、委託者が損害賠償やそのほかの責任を背負わなければなりません。
受託者のずさんな管理によって委託者側が痛い目を見ないよう、責任の範囲や賠償金の具体的な金額も明確に記載しておくことを推奨します。

対策②納品物や納期

納品が必要となる成果物が、契約書にてわかるようになっているかも確認しましょう。
また、納期や成果物の納入場所、納期に遅れてしまった場合の措置についても、委託者と受託者のあいだで認識に齟齬がないよう、契約書で定めておかなければなりません。

 

さらに、業務委託の遂行によって生じた成果物の所有権や、知的財産権などの権利についての取り決めを策定しておくことも重要です。
所有権と知的財産権の両方は、納品完了と同時に委託者へ移転するよう定めるのが基本なので、実際に契約を締結する際はこれらの点を意識しておきましょう。

対策③報酬

業務委託することによって発生する報酬についても、確認しておく必要があります。
具体的に、次の項目が記載されているか目を通しましょう。

 

【契約書で明確に記載するべき項目】

  • 報酬の具体的な金額
  • 報酬の計算方法
  • 報酬の支払い方法
  • 報酬の支払い時期
  • 業務を遂行するうえでかかった費用の負担

業務を完了させる際にかかった費用は、契約の種類によって受託者と委託者、どちらが負担するかが変わります。
たとえば請負契約の場合、業務を進めるうえでかかった費用は受託者側が負担するのが原則として定められています。

一方、委託契約に関しては委託者が負担するのが一般的です。
契約の種類によって費用を負担する者が変わるので、その費用をどちらが担うかトラブルになることもしばしばあります。
ですから、契約を締結する前はどちらが費用を負担するのか明記し、トラブルによって契約破棄とならないよう注意しましょう。

対策④契約解除の要件

「このような事態が発生した際は契約を解除します」と、要件が具体的に記載されているかどうかも事前にチェックしましょう。
任意解除が可能となる要件については、以下の表をご覧ください。

 

任意解除が可能となる要件

委託者 受託者
請負契約 業務を遂行中の場合

納品された成果物に不備がある場合、あるいは契約の目的を達成していない場合

委託者が破産手続き開始を受けた場合
委任/準委任契約 いつでも解除できる いつでも解除できる

まず、表の左側の委託者から契約を解除できる要件ですが、請負契約の場合、まず業務が完了するまでのあいだでのみ契約を解除できます。

また、納品された成果物に不備がある場合や、契約の目的を達成していない場合でも解除することが可能です。
表の右側の受託者については、委託者が破産手続きの開始を受けたときにのみ、自ら解除できます。

 

一方、委任/準委任契約は双方いつでも契約を解除できるというメリットがある反面、自身も突然契約を打ち切られるという可能性があることも留意しておいてください。

 

なお、相手が契約の解除に応じない場合や合意に至らなかった場合は、弁護士にサポートしてもらうことをおすすめします。

業務委託は外注のなかの契約形態の一種で、大きな違いはない

本記事では、外注と業務委託の違いや、外注費と給与の違いを解説しました。

 

外注は上手に活用することで、納品が必要となる成果物が、契約書に明記されているかも確認しましょう。
また、新しい人材を採用するよりコストを大幅に削減できるのも、大きな強みです。

 

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