公開日 2026.06.03更新日 2026.11.02

AIができること・できないこと一覧|企業が任せる業務の境界線と判断軸



AIを使い始めたものの、どの仕事まで任せてよいのか判断しにくい。そんなときは、技術的に処理できることと、確認なしで運用できることを分けて考えましょう。
この記事では、AIの得意な作業、単独では任せにくい領域、ツール連携で補える点、業務ごとの判断軸と情報管理の方法を整理します。

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目次

AIができること・できないことの全体像

AIの性能は、使うモデル、参照情報、連携するツール、業務の条件によって変わります。IPA「DX動向2026」は、国内企業への2026年4月中旬~6月中旬の調査を踏まえ、AI導入が広がる一方、活用は業務効率化・迅速化が中心だと分析しています。
自社で成果につなげるには、処理の速さだけでなく、確認の負担や誤りの影響まで評価することが大切です。

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AIの種類でできることは違う|生成AI・機械学習・画像認識・音声認識・AIエージェント

生成AIは文章・画像・音声・コードなどを生成する技術です。機械学習はデータから規則性を学ぶ手法で、生成AIにも使われるため、別々の技術として完全に切り分けられるわけではありません。
画像認識、音声認識、予測・分類は用途による区分です。AIエージェントは、AIにツール操作などを組み合わせて複数の工程を進める仕組みです。
名称よりも、必要な入力・出力と連携機能を確認しましょう。

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導入を進める前に確認する3つの課題

確認したいのは、①効果を測れる業務が決まっているか、②入力データや既存システムを利用できるか、③責任者と運用ルールがあるか、の3点です。
導入が進まない理由には、人材、費用、システム、データ品質など複数の要因があります
。技術力だけ、または業務の切り分けだけが原因だと決めつけず、自社の障害を具体的に洗い出してください。

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AIができること9つ|業務で活用しやすい作業

AIに任せられる9つの作業:文章生成、要約、翻訳、分類、データ抽出、画像生成、コード生成、予測、音声書き起こし

文章生成・要約・翻訳・分類・データ抽出・画像生成・コード生成・予測・音声書き起こしが代表例です。ただし、それぞれ必要な精度や確認方法が異なります。
最初は出力を検証しやすく、失敗したときの影響を限定できる業務から試しましょう。

活用領域

依頼例

人が確認する点

文章生成・要約・翻訳

メール下書き、会議要約、外国語文書

固有名詞、数値、意図、訳抜け

分類・データ抽出

問い合わせ仕分け、請求書項目の抽出

分類基準、金額、対象の漏れ

画像・コード生成

デザイン案、集計処理のコード

権利、ブランド、実行結果と安全性

予測・音声書き起こし

需要予測、録音の文字化

予測の前提、誤認識、話者

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文章生成・要約・翻訳|議事録とメール下書き、社内文書のたたき台

文章生成AIは、メモから議事録の下書きを作る、長い資料を要約する、案内文を翻訳するなどの作業を支援します。
同業界(エンタメ・ゲーミフィケーション)の株式会社セガ エックスディー様(従業員数101人~500人以上)では、社員2名の少数精鋭体制で広報業務を回す課題に対し、AIで効率化した情報を“使える形”まで整える作業やリサーチを外注化することで、本来注力すべき企画や情報発信に集中できる体制を実現しています。

・参照事例: AIと人の最適解とは?セガ エックスディーの広報現場に見る外部活用 | キャスタービズオンラインアシスタント

営業では商談後のメール案、人事では求人原稿、広報ではプレスリリースの構成案が活用例です。完成品として扱わず、固有名詞、日付、金額、記載の抜けや意味の変化を原資料と照合してください。

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分類・データ抽出・音声書き起こし|大量処理と定型判断の自動化

問い合わせを種類別に分ける、請求書から取引先名・金額・期日を抽出する、会議の録音を文字にするなどが活用例です。

同業界(IT・デジタルマーケティング)の株式会社ソウルドアウト様(従業員数101人~500人以上)では、月初に集中する請求書発行業務(全体業務の50~60%)を4名体制で捌ききれない課題に対し、貸与パソコン運用+10名体制での外注で解決。
契約時間を30時間から120時間に拡大し、月初業務を完全に吸収することで社内リソースの最適化を実現しています。

・参照事例: 「月初3営業日」の壁を越える。貸与パソコン運用で実現した請求書発行の安定化 | キャスタービズオンラインアシスタント

精度は帳票の状態、録音環境、専門用語、話者の重なりなどに左右されます。金額や口座情報の誤りを後工程へ流さないよう、検証した精度とリスクに応じて人の確認や例外処理を設けます。

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画像生成・コード生成・予測|つくる仕事と読む仕事の下ごしらえ

画像生成は広告や資料のラフ案を比較する作業、コード生成は集計や転記を自動化する処理の下書きに使えます。生成コードはテスト環境で検証し、データの削除・外部送信などの動作を確認してから実行します。
予測モデルは過去データから需要などを推定しますが、値が確定するわけではありません。前提条件や誤差、環境変化を踏まえて判断材料の一つにします。

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AIだけでは任せにくいこと8つ|制約と確認が必要な領域

AIだけでは任せにくい8領域:事実保証、責任、最新情報、機微情報、対面交渉、例外判断、身体作業、創造性

図は人による確認・判断を残す領域の整理です。AIが部分的に支援できる業務も含みます。

実務では、①事実の正しさ、②責任を伴う意思決定、③最新情報、④個人情報・機密情報、⑤対人交渉、⑥例外処理、⑦身体を使う作業、⑧創作物の価値や権利の判断に注意が必要です。
すべてが技術的に不可能という意味ではありません。利用環境を整えれば支援できるものと、企業や担当者が責任を持って判断するものを区別します。

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事実を保証できない|ハルシネーションと最新の一次情報の担保

生成AIは、存在しない統計や出典など、事実と異なる内容を出力する場合があります。検索や社内文書を参照する仕組みを使っても、読み違いや引用の不整合がなくなるとは限りません。
料金や法令など更新される情報は、適用日を含む一次情報で確認します。出典らしいURLが付いていても、リンク先に実際の根拠があるかまで確かめてください。

責任を負えない|意思決定・説明責任・機微情報の取り扱い

AIの出力を採用した場合の責任は、利用企業だけに一律に決まるものではなく、契約や具体的な行為によって関係者に生じ得ます。
総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン第1.2版」
は、人間中心、安全性、公平性、プライバシー、説明責任などを示しています。
採用や与信など権利に影響する業務では、判断の権限、確認者、異議申立てや訂正の手順を設けます。

機微な情報は、必要性や利用環境を確認し、社内で許可した範囲に限定してください。

人が確認工程を担う考え方については、こちらでも解説しています。

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交渉・例外処理・身体作業・創作で残る確認

AIは交渉案や例外時の選択肢を提案できますが、社内外の利害や現場の状況を十分に把握できるとは限りません。
人が事情を確認し、判断を引き受ける担当を残します。身体作業にはロボットなどの設備と安全対策が必要で、文章を扱うAIを導入するだけでは実行できません。
創作でも新しい案を出せますが、目的への適合、権利、ブランドへの影響は別途判断が必要です。

人と人が築き上げる信頼関係は、単なる情報のやり取りだけでは生まれません。

たとえば顧客対応では、声のトーンや表情などで相手の状況を察知し、伝え方を変えるスキルが求められます。

この人なら安心できると思ってもらえることが、信頼関係の構築につながるからです。

AIが苦手なことを補う|RAG・計算ツール・業務システムとの連携

生成AIの文章だけで計算結果を求めるより、表計算や計算用プログラムを使わせる方が適切な場合があります。また、RAG(検索拡張生成)は、回答前に社内文書などの外部情報を参照する仕組みです。
いずれも精度改善の手段ですが、参照先や計算式、対象範囲の選択が誤れば結果も誤ります。連携後の検証を省かないことが重要です。

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RAG・ツール連携・AIエージェントでできることが広がる範囲

AIエージェントは、メールの分類、データ照会、文書の下書き、承認依頼などをつなげて進める用途があります。
社内規程を検索するなら、最新版の管理、文書単位の閲覧権限、参照元の表示を整えます。更新や送信を許す場合は、実行権限と承認が必要な操作を分け、履歴を残し、失敗時に停止・復旧できる設計にしましょう。

入力データと指示を整える

重複した顧客情報、古い料金表、欠損の多い記録などをそのまま渡すと、誤った抽出や回答につながります。AIへ任せる前に、情報の更新日、正しい参照先、対象外のデータを整理してください。
指示が曖昧な場合は、目的、対象、完了条件、分からないときの確認先も明文化します。

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AIに任せる前の判断軸|4つの質問でリスクを確認する

①誤りが顧客や従業員の権利・金銭に影響するか、②出力を人が検証しにくいか、③入力に個人情報や機密情報を含むか、④判断の根拠を説明する必要があるか。
この4点を確認します。当てはまる業務には承認・記録・権限制御などを組み合わせてください。すべて「いいえ」でも無条件に安全とはせず、小規模な試行と監視から始めます。

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部門別の線引き例|経理・人事・営業・カスタマーサポート

経理・人事・営業・カスタマーサポートで、AIによる情報整理と人が担う責任ある判断を分ける例

分担例として、経理では請求書の項目抽出と仕訳候補の作成をAIが支援し、支払承認や税務判断は権限を持つ担当者が行います。
人事では求人原稿や返信の下書き、営業では商談要約や提案案、サポートでは承認済みFAQの回答が候補です。合否・価格・返金などの扱いは、自社のルールと影響度を踏まえて承認範囲を定めましょう。

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AI利用時のリスク管理|著作権・個人情報・機密情報と社内ルール

AIの出力品質と合わせて、著作権、個人情報、機密情報の扱いを管理します。個人情報保護委員会の注意喚起は、個人情報を含む入力について、利用目的を達成するために必要な範囲か確認することを求めています。
本人の同意なく個人データを入力する場合は、提供事業者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認する必要があります。

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著作権|文化庁「AIと著作権に関する考え方について」の要点

文化庁「AIと著作権に関する考え方」は、開発・学習段階と生成・利用段階を分けて整理しています。情報解析を目的とする利用でも、表現を享受する目的の有無や権利者の利益への影響などにより扱いが変わります。
生成物の利用では、既存著作物との類似性・依拠性などが問題になります。「AIが作ったから自由に使える」と考えず、入力資料の権限、既存作品との関係、利用規約を確認し、判断が難しい場合は専門家に相談します。

個人情報・機密情報|入力してよい情報の線引きと社内ガイドライン

入力禁止情報、許可するツールと契約、保存期間、共有範囲、事故時の連絡先を社内ルールにします。「学習に使われない」ことと「保存されない」「社外に共有されない」ことは別です。
法人プランという名称だけで判断せず、データの保管・アクセス権・再委託先・削除方法を確認してください。入力する情報は必要最小限とし、可能なら匿名化や仮の情報を使います。

人とAIの分担を設計する4ステップ|業務棚卸しから最終確認フローまで

業務名だけでなく、入力、処理、確認、登録・送信までを書き出します。各工程の時間、頻度、扱う情報、誤りの影響を整理し、人が承認する条件まで決めてから試行します。
外部委託は別の選択肢であり、機密性が高い業務を自動的に外へ出す分類にはしません。

ステップ

内容

①業務の洗い出し

すべての業務を書き出し、それぞれにかかる時間・頻度・判断の難しさを記録する

②業務の仕分け

書き出した結果を「AI向き」「人間向き」「共同作業(AIが下書き→人間が最終チェック)」の3つに分類する

③小さく始める(テスト導入)

最もAIの効果が出そうな定型業務を1〜2つ選び、お試しで導入する

④段階的に広げる

お試し導入の効果を確認し、うまくいったやり方を他の業務にも広げていく

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ヒューマン・イン・ザ・ループ|人が最終確認する工程を残す

確認項目と確認頻度は業務のリスクに合わせて決めます。金額・氏名・日付・法令の根拠・社外公開物は重点項目ですが、それだけで十分とは限りません。
承認者と実行履歴を残し、問題が起きたときに原因を追えるようにします。確認に必要な時間も効果測定に含め、手直しが多い業務は条件や対象範囲を見直しましょう。

人とAIを組み合わせて業務を継続できる体制を作る

重要なのは、人の関与を前提に「人とAIをどう組み合わせるか」の設計です。

たとえば、データ分析や定型業務はAIに任せ、最終判断や顧客対応は人間が担当する、といった形のように、どの業務にAIを活用するのか、どこに人の判断を残すのかの整理が必要です。

AIで作業を減らし、判断と例外を人が持つ形にしても、AIの設定や出力の確認に割く時間そのものが足りない場合があります。
同業界(エンタメ・メディア)の株式会社TVer様(従業員数11~100人)では、営業部門4名体制で毎月約20時間(約2日間)かかっていた請求データ突合業務をアウトソースし、さらに工数を約5時間削減しました。

結果として営業活動に充てる時間が増加して商談数が増え、売上倍増という大きな成果を達成しています。このように、自社で確認時間を確保できない場合はAIと人の手を組み合わせた外部サービスへ任せる方法も有効です。

・参照事例: TVerの営業部門を支えるバックオフィス体制の構築。リソース確保で商談数を増加させたリモートアシスタントの活用法

AIと外注の使い分けはバックオフィス業務でのAIと外注の使い分け、サービス形態や任せられる業務の範囲はAIアウトソーシングの解説も参考にしてください。

AIと人の運用を相談する|CASTER NEO Assistant

CASTER NEO Assistantは、AIフロントによる受付・手順確認と、人による作業指示・品質確認を組み合わせる業務支援です。
秘書・事務、経理、採用などを相談でき、AIで対応する範囲は業務ごとに判断されます
。24時間365日という案内はAIフロントの受付に関するもので、全作業の即時完了を意味しません。

月30時間のBasicは年間契約132,000円(税込)、半年契約145,200円(税込)。1か月契約のTrialは145,200円(税込)という掲載例です。
AIの選定・設定を含む個別要件や、利用時間に含まれる範囲を確認してください。まず業務を棚卸しし、自社の判断と外部へ任せる工程を分けることから始めましょう。