バックオフィスの効率化を成功させる5つのステップから解決方法までご紹介

今日のビジネス環境では、激しい市場競争の中で企業が生き残るために、生産性の向上とコア業務への集中が不可欠となっています。
しかし、多くの企業では、経理、人事、総務といったバックオフィス業務が非効率な状態にあり、本来注力すべき経営戦略や営業活動へのリソースが割けていないという課題を抱えています。
日々の請求書処理や勤怠管理に追われ、新規事業の立案や顧客との商談に十分な時間を確保できないといった状況に陥っているのです。
本記事では、この課題を解決するため、バックオフィス効率化の基本から具体的な進め方、そして成果を最大化するための外部リソース(アウトソーシング)活用の選択肢までを網羅的に解説します。
この記事を読むことで、非効率な業務から解放され、企業としてお金を生み出す業務にリソースをさくことができる体制を築く参考にしていただければと思います。
バックオフィス業務とは?効率化が求められる背景と目的
バックオフィス業務の効率化が求められる背景とはなんなのでしょうか。
まずはバックオフィスとフロントオフィス業務について考えてみましょう。
バックオフィスとフロントオフィス 業務内容の整理
バックオフィスとは、経理、人事、総務、法務など、顧客と直接関わることがない社内業務の総称です。
一方、営業やマーケティング、カスタマーサポートなど、顧客と直接やり取りを行う部門はフロントオフィスと呼ばれます。
バックオフィスは企業の活動を「支える」役割であり、業務が停止すると企業全体に大きな影響を及ぼします。
特に経理処理や給与計算など、正確性と期日が重要となる業務が多いことが特徴となっています。
主なバックオフィス業務には以下のようなものがあります。
- 経理・財務:会計業務や予算管理、資金繰り計画、日々の入出金管理を担います。
- 人事・労務:採用や人事異動、給与計算、社会保険手続き、勤怠管理、人材育成を行います。
- 総務:設備・備品の管理や社内規定の整備、社内行事の運営など、他部門が担当しない広範な業務を担います。
- 法務:契約業務やコンプライアンス対応、契約書レビュー、社内規程の整備、法的トラブルへの対応を行います。
- 情報システム:基幹システムの運用・保守やセキュリティ対策、社内ネットワークの維持管理を担当します。
これらの業務は直接売上を生み出すものではありませんが、フロントオフィスが円滑に機能するための基盤となっています。
なぜ今、バックオフィス効率化が急務なのか
バックオフィス効率化が急務となっている背景には、「働き方改革」や「人手不足の深刻化」という社会的な要因があります。
2025年に株式会社エイトレッドが実施した調査では、バックオフィス担当者が生成AI(人工知能技術を用いた自動化ツール)で自動化・効率化したい業務として「文書の確認・校正・チェック」(56.4%)、「データ集計・分析」(53.6%)、「データ入力・転記」(51.8%)が上位に挙がっており、現場の負担が非常に大きいことが明らかになっています。
参考:「バックオフィス業務におけるAI活用に関する実態調査」
バックオフィス効率化の目的は、単なるコスト削減ではありません。
「守りの業務」を効率化して「攻めの業務」にリソースを集中させるという戦略的な意味合いが重要となります。
月末の経費精算処理に10時間かかっている場合、これを5時間に短縮できれば、残りの5時間を新規事業の企画や既存顧客へのフォローアップに充てることができます。
このように、バックオフィスの効率化は、企業の競争力強化に直結するのです。
また、正確性向上やコンプライアンス強化の側面も見逃せません。
手作業による転記ミスや承認漏れを防ぐことで、企業の信頼性を高め、法的リスクを低減できます。
バックオフィス効率化が企業にもたらす3つの重要メリット
メリット1:コア業務への集中と生産性の向上
バックオフィス業務を効率化することで、社員が雑務や定型業務から解放され、企業の利益に直結するコア業務(営業、製品開発など)に時間を使えるようになります。
例えば、営業担当者が毎週3時間かけて経費精算や報告書作成を行っている場合、これらの業務を効率化することで、その時間を顧客との商談や新規開拓に充てることができます。
ある医療品メーカーでは、経理事務業務のアウトソーシングとRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション=パソコン作業を自動化するツール)導入により、社員がコア業務に集中できる環境を整え、業務の安定的な運用・効率化を実現しました。
このように、バックオフィスの効率化は、結果的に企業全体の売上やイノベーションの創出につながります。
従業員一人ひとりが本来の能力を最大限に発揮できる環境を整えることが、企業成長の鍵となるのです。
メリット2:コスト削減と経営資源の最適化
バックオフィス効率化は、ムダな残業代や間接費の削減をもたらします。
たとえば、紙ベースで行なっていた申請業務をデジタル化した企業では、年間50,000枚の帳票削減に成功し、印刷代や保管費用、業務プロセスの時間短縮による人件費削減を実現した例も。
特に重要なのは、効率化によって浮いた人件費や時間を、新しい事業への投資や人材育成に振り分けることで、経営資源を最も成果的な分野に配分できるという点となります。
例えば、データ入力業務を自動化することで月20時間の工数を削減できた場合、その時間を従業員のスキルアップ研修に充てることができます。
これにより、短期的なコスト削減だけでなく、長期的な企業価値の向上にもつながります。
メリット3:業務品質の均質化と属人化の解消
特定の担当者しかできない属人化が、欠勤や退職時に業務停止のリスクとなります。
「この業務はAさんにしかできない」という状況では、Aさんが急に休んだ場合、業務が完全にストップしてしまいます。
同じくエイトレッドの調査では、現在のバックオフィス業務の課題として「特定の人しかわからない業務がある」(57.3%)が最多となっており、属人化が依然として最大の課題であることが分かっています。
参考:「バックオフィス業務におけるAI活用に関する実態調査」
効率化のプロセスで業務が可視化・標準化されることで、誰でも一定品質で業務遂行が可能になり、内部統制の強化にもつながります。
ある不動産企業では、アウトソーシング導入時にマニュアル作成をサポートしたことで、業務の属人化が解消され、結果的にリモートワークの推進もスムーズに進んだという事例があります。
業務の標準化は、新入社員の教育期間短縮や、組織の柔軟性向上にもつながる重要な取り組みとなります。
バックオフィス業務を効率化するための具体的な5つのステップ
ステップ1:現状の業務内容・工数・課題の可視化(ムダの特定)
効率化は「可視化」から始まります。
まずは経理・人事・総務などの各業務について、「誰が」「どれくらいの時間」「どのような手順で」行っているかを棚卸し(タスクの洗い出し)することが必要です。
具体的には、以下の情報を整理しましょう。
- 業務名と担当者
- 所要時間(1回あたり、月間の頻度)
- 業務の手順(フロー図で可視化)
- 使用するツールやシステム
- 発生する課題やボトルネック
例えば、「請求書発行業務」であれば、「Aさんが月末に5時間かけて、Excelで請求データを作成し、手作業で請求書を作成・印刷・郵送している。データ転記ミスが月に2〜3件発生している」といった形で記録します。
この可視化により、ボトルネックや重複しているムダな作業を特定できます。
ステップ2:効率化の「目的」と「目標数値」の設定
「なんとなく効率化」ではなく、「残業時間を20%削減する」「経費精算のリードタイムを半分にする」といった定量的な目標設定が重要となります。
目標設定の際には、SMART原則(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限を明確にした目標設定の手法)を活用しましょう。
- Specific(具体的) 「業務を効率化する」ではなく「請求書発行業務の工数を50%削減する」
- Measurable(測定可能) 数値で測定できる指標を設定する
- Achievable(達成可能) 現実的に達成可能な目標とする
- Relevant(関連性) 企業の経営目標と整合性のある目標とする
- Time-bound(期限) 「6カ月以内に」など期限を明確にする
この目標設定が、導入するツールの選定や外注の判断基準になります。
例えば、「データ入力業務を月20時間削減する」という目標があれば、RPA導入やアウトソーシングの費用対成果を正確に判断できます。
ステップ3:業務の「廃止・統一・簡素化」を徹底する
ITツールの導入の前に、まずは業務そのものの見直しを行うBPR(業務プロセス改革=業務の流れを抜本的に見直す手法)が必要となります。
以下の3つの視点で業務を見直しましょう。
1. 廃止 (本当に必要な業務か?)
過去の慣習で続いている業務の中には、現在では不要になっているものがあります。「なぜこの業務を行っているのか」という本質的な問いを投げかけ、目的を失った業務は廃止します。
2. 統一 (部署間でルールが違う部分はないか?)
各部署で異なるフォーマットや承認ルートを使っている場合、全社で統一することで管理の手間を大幅に削減できます。
3. 簡素化 (手作業を減らせないか?)
3段階の承認プロセスを2段階に削減する、複数の書類を1つに統合するなど、プロセス自体をシンプルにすることが重要です。例えば、「5万円以下の経費は部長承認のみとし、課長承認を省略する」といった簡素化により、承認スピードが大幅に向上します。
ステップ4:ITツール(SaaS/RPA)の導入と活用
業務の見直しが完了したら、具体的なクラウドツール(SaaS=インターネット経由で利用できるソフトウェア)やRPAの導入を検討します。
主なツールの選定ポイントは以下のとおりです。
クラウド会計ソフト
領収書や請求書をAI-OCR(画像データを文字データに変換する技術)で自動読み取りし、仕訳データを自動生成できます。経理業務の工数を50%以上削減できる事例もあります。
クラウド勤怠管理
出退勤データを自動集計し、給与計算システムと連携できます。月末の勤怠締め作業が10分の1になったという企業もあります。
電子契約サービス
契約書の印刷・製本・郵送を不要にし、契約締結までの期間を数日から数時間に短縮できます。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
定型的なパソコン作業を自動化するツールとなります。導入が比較的容易で、データ入力や集計作業、システム間のデータ転記などを24時間365日、正確に処理できます。ツール選定の際は、無料トライアルを活用し、実際の業務で使えるかを検証することが重要です。
ステップ5:効率化成果の検証と継続的な改善サイクル
ツール導入や業務見直しは「やって終わり」ではありません。
設定した目標数値(ステップ2)に基づき、成果を定期的に測定し、改善点を洗い出すPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善を繰り返す手法)を回すことが重要です。
成果検証のポイントは以下のとおりとなります。
定量的な測定
- 業務時間の削減率(導入前後の比較)
- コスト削減額(人件費、印刷費、郵送費など)
- エラー発生件数の変化
- 処理スピードの向上(承認日数、締め処理時間など)
定性的な評価
- 従業員の満足度(アンケート調査)
- 業務品質の向上
- 他部門からの評価
測定結果を基に、「目標達成できた業務」と「未達の業務」を分析し、未達の原因を特定します。
必要に応じて、ツールの設定変更や追加の業務見直しを行います。
3カ月ごとに成果検証の場を設け、継続的に改善を積み重ねることで、効率化の成果を最大化できます。
施策別 持続的なバックオフィス効率化を実現する具体的な選択肢
選択肢1:テクノロジー活用(SaaS、RPA)のメリットと限界
ITツールは初期コストや導入後の操作教育が必要ですが、定型業務の自動化には非常に強力となります。
テクノロジー活用(SaaS、RPA)のメリット
- 24時間365日稼働可能で、人的リソースを大幅に削減
- ヒューマンエラーを防止し、業務品質を均一化
- データのリアルタイム集計・分析が可能になり、経営判断のスピードが向上
- 初期投資後は、月額費用のみで運用できるケースが多い
テクノロジー活用(SaaS、RPA)の限界
ただし、定型化が難しい業務や、イレギュラー対応の多い業務には限界があります。
例えば、顧客からの複雑な問合せ対応や、判断が必要な契約書のレビューなどは、人の手による対応が不可欠です。
また、システムトラブルや法改正への対応など、想定外の状況にも柔軟に対処する必要があります。
ITツールは「人の業務を支援するツール」であり、すべてを自動化するのではなく、人とツールの適切な役割分担を考えることが重要となります。
選択肢2:BPR(業務プロセス改革)とマニュアル整備
全社的な業務フローの見直しは大きな成果が見込めますが、関係部署の調整や経営層のコミットメントが必要であり、時間と労力がかかります。
BPRの進め方
- 現状の業務フローを詳細に可視化する
- 問題点やムダなプロセスを特定する
- あるべき姿(理想の業務フロー)を設計する
- 新しいフローを試験運用し、問題点を洗い出す
- 本格導入と並行して、マニュアルを整備する
マニュアル整備は、業務の標準化と属人化解消に直結します。
しかし、「作って終わり」ではなく、定期的に見直しを行い、常に最新の状態を保つことが重要です。
BPRは、短期的には負担が大きいものの、長期的には企業の競争力を大きく高める施策となります。
選択肢3:外部リソース(アウトソーシング・外注)の活用
「社内で完結する」という前提を一度外し、専門性の高い外部の力を借りるという選択肢があります。
バックオフィスは重要な業務ではあるものの、決して企業としてお金を生み出す部門ではなく、効率化を図らない場合コストセンターになってしまうリスクもあります。
効率化をはかる上でも、バックオフィスの重要業務は内製化し、定常業務や単純作業は外注化をするのも有益な選択肢です。
アウトソーシングのメリット
- 採用・育成コストをかけずに即戦力を確保できる
- 繁忙期と閑散期に応じて柔軟にリソースを調整できる
- 専門業者のノウハウを活用し、業務品質を向上できる
- 社員が戦略的な業務に集中できる
特に、慢性的な人手不足や専門知識が求められる業務(例として年末調整、複雑な経理処理)においては、アウトソーシングが最も早く、成果的に効率化を実現できる方法となります。
ある通信事業の企業では、営業メンバーがバックオフィス業務に毎月約20時間の工数をかけていましたが、アウトソーシング導入により営業活動に集中できる時間が増え、商談数が増加し、売上も倍以上に増加しました。
効率化の最後の砦「アウトソーシング」のメリットとサービス選定のポイント
アウトソーシングが向いている業務とメリット
アウトソーシングが適している業務は、定型化されている、専門性が高い、イレギュラーが少ないという特徴を持つものとなります。
具体的な業務例
- 給与計算や社会保険手続き
- 経理伝票処理や請求書発行
- データ入力や集計作業
- 問合せ対応(メール・電話)
- 採用業務のサポート(求人票作成、応募者対応)
最大のメリットは、「社員の採用・育成コストをかけずに」即戦力を確保できる点です。
通常、新しい社員を採用する場合、求人広告費、面接対応の工数、入社後の研修期間などで、数十万円から数百万円のコストがかかります。
しかし、アウトソーシングを活用すれば、必要な時に必要なスキルを持った人材をすぐに確保できます。
また、業務量の変動に応じて柔軟にリソースを調整できるため、繁忙期のみ増員するといった対応も可能となります。
外部リソースの活用は「コスト削減」と「品質向上」を両立
外部の専門会社は特定の業務に特化しているため、自社でやるよりも高い品質で業務を遂行できます。
例えば、経理業務のアウトソーシングでは、最新の会計基準や税制改正に精通した専門スタッフが対応するため、ミスのリスクが大幅に減少します。
単純な人件費の削減だけでなく、ミスや手戻りの減少による業務品質の向上にもつながるのです。
あるクラウドファンディング企業では、カスタマー対応業務をアウトソーシングしたことで、毎月20〜30件の新規コミュニティ開設が可能になりました。
さらに、第三者視点の導入により、社内では気づきにくい業務の設計ミスなどの問題を改善できたといいます。
バックオフィス業務をまるごと最適化するなら
アウトソーシングサービスの選定においては、単なる「業務代行」ではなく、「業務改善の提案力」を持つパートナーを選ぶことが重要です。
クラウドソーシングなどもありますが、外注管理の工数もかかるため、管理工数もなくすことができるサービスを選ぶことをおすすめします。
例えば、CASTER BIZ assistantは、月30時間から幅広い業務を依頼できるサービスとなります。
特徴は以下のとおりです。
1. 月2,000名の応募から厳選された1%の優秀人材
事務系、経理、人事、WEB、コール系など、多様なスキルを持った人材が対応します。社員研修とテストに合格したスタッフのみが顧客対応を行うため、高い品質を維持できます。
2. 5,800社導入(業界トップシェア)のノウハウ
11年間・5,800社の導入実績から培ったフルリモートの業務推進ノウハウがあります。WEB会議でニュアンスをくみ取りながらマニュアル作成まで行うため、引継ぎが簡単で最速となります。
3. 経理や採用、事務代行からバナー制作まで幅広い業務を依頼できる柔軟性
経理記帳、請求書発行、求人票作成、勤怠管理、HP更新、バナー制作、翻訳業務など、多岐にわたる業務を1つのサービスで対応できます。
セキュリティについて
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)、ISO 27001(情報セキュリティの国際規格)、Pマーク(プライバシーマーク)、上場基準の高いセキュリティで、大企業から個人まで幅広く対応しています。
企業情報
株式会社キャスター
住所:〒100-0004 東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエアウエストタワー1・2階LIFORK大手町 R06
公式サイト:https://caster.co.jp/
サービスページ:https://cast-er.com/
特に、貴社の状況に合わせて柔軟に業務範囲を設定でき、業務効率化の提案までを一貫して行ってくれるサービスは、単なる作業代行を超えた価値を提供します。
業務改善・定着化まで含めたサポート体制があるかどうかを確認しましょう。
バックオフィス効率化を成功させ、コア業務に集中できる組織へ
効率化は一度で終わるものではなく、継続的な取り組みが必要となります。
ITツール、業務改善、そしてアウトソーシングという選択肢を柔軟に組み合わせることが、これからの企業成長の鍵となります。
バックオフィス業務の効率化により、社員は本来の能力を発揮し、企業はコア業務に集中できる体制を築くことができます。
まずは現状の業務を可視化し、小さな一歩から始めてみましょう。
定型業務の自動化や外部リソースの活用により、「お金を生み出す業務」にリソースをさくことができる組織へと変革することで、激しい市場競争の中でも持続的な成長を実現できるのです。

