公開日 2024.08.23 更新日 2024.09.10

外注or内製?それぞれのメリット・デメリットを徹底比較!

外注とは、自社の業務を外部に委託することを指します。
外注により企業にはさまざまな恩恵がもたらされますが、具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しくご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

この記事では、外注を使うメリットやデメリットを、内製した場合と比較しながら解説します。
外注すべきか内製すべきか決めかねている際に役立つ判断基準もお伝えするので、ぜひご一読ください。

外注と内製はどちらがよい?

外注(アウトソーシング)と内製のどちらがよいかについては、一概にいえません。

 

本記事のメイントピックでもある“外注”が、多くの利点を有することは事実です。
しかし、組織が抱える課題や目的によって、適した選択肢は変わります。

 

自社に適した選択肢をとるためにも、それぞれの特徴を押さえておくことが重要です。
これから述べる外注および内製のメリットとデメリットを踏まえ、両者のどちらを選ぶかの判断材料としてみてください。

外注のメリット

対象の業務を外部へ委託することで、企業は実に多くのメリットを享受できます。
そのなかから、主なメリットを5つご紹介します。

 

【外注のメリット】

  • 人件費を削減できる
  • 専門家に任せられる
  • 社員の負担が減る
  • 教育にかかる工数を削減できる
  • 外注先から新たなアイディアを得られる

メリット①人件費を削減できる

業務を外注することで、企業は人件費を削減できます。

 

適切に役務を提供するには、毎月一定の人件費を投下する必要があります。
また、人材の育成には、多額のコストをかけなければなりません。
対象の業務が専門的なノウハウを要する場合は、なおさら費用はかさみます。

 

したがって、これまでにコストがかかっていた業務をアウトソーシングすることで、毎月の人件費や採用、教育関連のコストカットを図れるわけです。

 

なお、企業や業界によっては、繁忙期・閑散期があり、時期により業務量が異なる場合もあります。

 

外注サービスであれば、業務量に合わせて発注の有無や、発注する業務量を決めることが可能です。

 

 

内製する場合は、業務量にかかわらず毎月固定で人件費がかかりますが、このように外注サービスを適切に活用することで、業務量に見合ったコストに抑えることが可能になります。

メリット②専門家に任せられる

依頼先がもつ、専門性の高いノウハウの提供を受けられるという利点もあります。

 

アウトソーシングを請け負う外注先は、対象の業務を職域とするプロフェッショナルです。

 

依頼したその日から、豊富なノウハウを駆使して、自社が抱える課題の解決や、目的達成のために委託業務を遂行してくれます。

 

 

自社の人材では対応できなかったであろう専門性の高い業務や、一筋縄ではいかない課題解決のタスクであっても、お手の物です。

 

外注サービスではこのように、高い知識と経験を有した専門家の力を借りられるという大きなアドバンテージがあります。

メリット③社員の負担が減る

外注のメリットとしては、自社社員の負担軽減も挙げられます。

 

たとえば、担当の社員が優先的に取り組むべきコア業務とは別に、周辺業務をいくつも抱えてキャパシティオーバーとなっている現場は少なくありません。
このようなケースで、周辺業務を外注すれば、担当社員の負担は軽減され、コア業務へ集中して取り組むことができるようになります。

 

アウトソーシングにより業務量が適正化されれば、組織全体の生産性向上にも役立ちます。

メリット④教育にかかる工数を削減できる

業務を外注すれば、社員が入社するたびに、新たに教育を実施する必要もありません。

 

業務を自社でこなしている場合、担当の社員が退職すれば人員を補充して、一から教育する必要があります。

 

社員教育にはコストのほか、人的なリソースも割かれますし、自走してくれるようになるまでの期間は、チーム全体の業務処理能力が一時的に落ちるという懸念も見過ごせません。
かといって、即戦力の人材を採用しようにも、すぐに見つかるとは限りませんし、見つかったとしてもやはり自走するまでには一定の期間を要するでしょう。

 

しかし、アウトソーシングを活用すれば、依頼したその日から高品質で安定したサービスを受けられます。

 

必要なタイミングで外注して、サービスが不要になった際は依頼を取りやめるといった臨機応変な対応も叶います。

 

教育にかかる工数を削減し、組織全体の業務レベルを安定化できるというのも、アウトソーシングが自社にもたらす大きな恩恵なのです。

メリット⑤外注先から新たなアイディアを得られる

外注を継続するなかで、外注先から業務に関するヒントを得られる場合もあります。

 

外注のスタイルによっては、自社内に外注先のスタッフが常駐するケースも少なくありません。
また、一般的に、業務の進捗状況や、問題解決に際してとったアクションなどは、委託先よりまとめて報告があります。

 

このようなタイミングで業務改善のヒントが発見できることもあり、得られたエッセンスは今後、自社の社員が業務を遂行するための、大きな糧となるでしょう。

 

外注は、自社のノウハウを増強できる、またとないチャンスでもあるのです。

外注化のデメリット

ここで紹介するように、外注にはデメリットもあります。
メリットとよく比較したうえで、外注を利用すべきか否かの判断材料としてお役立てください。

 

【外注のデメリット】

  • 外注費が発生する
  • 認識に齟齬が生まれる可能性がある
  • 希望するタイミングで発注できない場合がある

デメリット①外注費が発生する

業務を外部に委託すれば、当然費用が発生します。

 

自社の社員で対応していたときにはなかった、“外注費”という名目の費用が新たに発生するわけです。
ただし、先述したように外注は、自社内の人件費削減につながるという利点もあるため、総合的に見ればコストカットになっているケースがほとんどです。

 

費用が発生することを念頭に、費用対効果を見ながら予算組みを行っていくことが大前提といえます。

デメリット②認識に齟齬が生まれる可能性がある

外注先の企業とのあいだで、業務遂行のプロセスや、諸対応などに関して認識の齟齬が発生する場合もあります。

 

多くの場合、これは自社と依頼先とのコミュニケーション不足に起因していますが、ひとたびこのような齟齬が発生すれば、業務効率が低下してしまいます。

 

業務の進捗状況を小まめにレポートしてくれるなど、体制の整った依頼先を選びつつ、打ち合せの際に方向感のすり合わせも行いたいところです。

デメリット③希望するタイミングで発注できない場合がある

業務を委託したい場合に、すぐに委託先が見つかるとは限りません。
そのため、いざ必要になったタイミングで外注ができないという懸念もあります。

 

このような事態を避けるためにも、外注の可能性が出てきた時点で早めに依頼先を探し始めることをおすすめします。
また、以前依頼した外注先がある場合は、相手側の担当者に相談してみるとよいでしょう。

内製のメリット

ここまで外注のメリットとデメリットをお伝えしました。
ここからは逆に、業務を内製化した場合に起こりうることについて、メリットから順に紹介します。

 

【内製のメリット】

  • ノウハウが蓄積される
  • 機密事項の漏洩リスクが低い
  • 業務スピードが上がる

メリット①ノウハウが蓄積される

業務を自社で行えば、必要なノウハウが社内に蓄積していきます。

 

自社の根幹となるサービスや、部署のコア業務を内製化すれば、組織全体のスキルを維持ないしは向上させることができるでしょう。
これは、アウトソーシングにより社員が自社の業務に対してノータッチでいることで、社内にスキルやノウハウが蓄積しないケースと対照的です。

 

そのため、今後も自社で継続的に取り組みたいコア業務については、内製化するほうがよい場合もあるのです。

メリット②機密事項の漏洩リスクが低い

外部への情報流出を防止できるというメリットもあります。

 

業務を外注すれば当然、情報流出のリスクがつきまといます。
コンプライアンスを徹底していない依頼先に発注したがゆえ、個人情報を紛失したり、なかには悪用されてしまったりというケースもないとはいえません。

 

その点、内製であれば、自社のクローズドな環境で業務を行うため、セキュリティ面での安全性が高いといえます。

メリット③業務スピードが上がる

業務の内製化で、業務のスピードを上げられるという効果もあります。

 

外注は、外部のスタッフに業務を委託するという特性上、タイムロスが発生するケースも珍しくはありません。
業務フローの確認や、要所要所ですり合わせの必要もあり、結果的に業務の完遂までに時間を要する場合があるのです。

 

その点、内製化すれば、一連のフローがすべて社内で完結するため、シームレスにプロセスを進められます。
業務のスムーズな遂行という観点では、一気通貫で行える内製に軍配が上がるケースも多いのです。

内製のデメリット

続いて、内製のもつデメリットについて紹介します。

 

【内製のデメリット】

  • 人件費が発生する
  • 人材が不足する

デメリット①人件費が発生する

内製化は、人件費がかかってしまうのが難点です。

 

先述したように、一連の業務をこなすには採用や教育をはじめとして人件費がかかります。

 

コア業務にくわえて、周辺業務や雑務の類まで一括して自社内で対応するには、多くの人的リソースを要し、それだけ人件費もかさみます。

 

人件費を最適化するうえでは、たとえば、社員のリソースを圧迫している周辺業務を外注して、コア業務に集中して取り組める環境を整えてあげるのも一つの手です。

デメリット②人材が不足する

諸業務をすべて自社で行えば、それだけ多くの人的リソースが必要になります。

 

外部からの採用を行えない状況にあるなど、社員の数に限りがある場合、組織は人材不足に陥ります。
そもそも、ただでさえ慢性的な人手不足に陥っている業界の企業にとって、人材不足は死活問題ですが、オール内製化がその原因となっていることも多いのです。

 

このような状況下では、コア業務以外のタスクにかけるリソースを減らす必要性があり、その手段の一つとして外注が挙げられます。

 

内製にこだわるあまり、リソース不足により業務が停滞するような状況に陥っては、まさに本末転倒であるため、適宜業務負荷の分散を図るのが賢明です。

外注先ごとのメリット・デメリット

業務の委託先は、大きく企業とフリーランスの2つに分かれます。
ここからは、アウトソーシングの依頼先ごとのメリット・デメリットを紹介します。

企業

アウトソーシングを生業とする企業を選べば、フリーランスに依頼するよりも、安定した高い品質のサービスが期待できます。

 

企業はその規模にもよりますが、多数の優秀な人材を、請け負った業務へ適材配置することが可能です。
問題が生じた場合も、豊富なノウハウを駆使して、解決にあたってくれるでしょう。

 

その反面、企業へのアウトソーシングは、後述するフリーランスへの依頼と比較して、コストが高くなる傾向にあります。
また、先方の複数部署が分割して業務を担当している場合は特に、コミュニケーションに時間がかかるという可能性もゼロではありません。

フリーランス

フリーランスに業務を外注するメリットの筆頭は、コストの安さです。
企業に外注する場合と比べて、費用を抑えての業務委託が実現します。
くわえて、業務の一部だけを委託するなどのイレギュラーな依頼を引き受けてもらえることも少なくありません。

 

こうした利点がある一方で、クオリティにバラつきがあるという懸念点もあります。

 

フリーランスごとに専門性や業務への熟達度は異なるため、依頼先を吟味したうえで発注しなければ、想定とは程遠いクオリティの成果物が納品されるという事態も起こり得ます。

外注化を検討する際の判断基準

ここまでお読みいただいたうえでなお、自社業務を内製するか外注するかを決めかねている担当者様もいらっしゃることでしょう。
そこで、外注を検討したほうがよいと考えられる状況を2つお伝えします。
外注か内製かを決める際の判断軸としてください。

 

【外注化を検討する際の判断基準】

  • コア業務が圧迫されている場合
  • 人件費がかさんでいる場合

コア業務が圧迫されている場合

周辺業務に人的リソースが割かれて、コア業務へ集中できていない場合は、外注を検討してみるのが賢明でしょう。

 

このケースでは、本来取り組むべきコア業務以外の雑務、たとえば電話対応やセールスサポートなどの周辺業務を外注することで、担当者やチームへの業務負荷を適正化できます。

人件費がかさんでいる場合

人件費がかさんでいる場合も然りです。

 

コア業務以外の煩雑なタスクに、自社社員のリソースが多く割かれているという企業も少なくありません。
また、人材の入れ替わりが激しく、採用や教育に費やすコストがかさんでいる企業も多く、これらは思い切って外注に踏み切ることで、状況を是正できる可能性があります。

 

外注を使うことで、コストの最適化を図り、効率的に業務を遂行できるようになるのです。

外注化で失敗しないための注意点

自社、チームの置かれた状況を勘案した結果、“外注したほうがよい”という結論に至ったとしても、発注を急ぐのは禁物です。
依頼する前に、ここで解説する外注に際しての注意点を、確認しておきましょう。

 

【外注化で失敗しないための注意点】

  • 契約内容をきちんと取り決める
  • 業務内容を詳細に伝える
  • 委託先と良好な関係性を築く
  • マニュアルを用意しておく

注意点①契約内容をきちんと取り決める

依頼先とのあいだで、“何をどれだけ依頼するのか”という内容について、きちんと契約を取り交わしておきましょう。

 

特に先述したフリーランスへ委託する場合は、対応してくれる業務とそうでない業務の線引きが曖昧な場合が少なくありません。
これらの点を明確にしておかないと、後々トラブルの火種ともなりかねないため、書面で詳細な契約を締結することが重要です。

注意点②業務内容を詳細に伝える

依頼したい業務は、依頼先へこと細かく伝えましょう。

 

最終的な成果物やサービスのクオリティは、どれだけ依頼先との意思疎通を図れているかにかかっているといっても過言ではありません。
“どの業務を”“どのようなプロセス・方法で”“いつまでに”といった具合で、できる限り詳細に伝える必要があります。

 

ゴールや、マイルストーンを擦り合わせて、共通認識をもったうえでスタートを切りたいものです。

注意点③委託先と良好な関係性を築く

外注に限った話ではありませんが、委託先とは良好な関係を築いておきたいところです。

 

「費用を払っているのだから」と、無理難題を押し付けたり、報酬の支払いを渋ったりするというのは問題外です。
フリーランスの場合は特に、あまりにも依頼元の待遇が悪い場合、次回から外注を引き受けてくれなくなるかもしれません。

 

委託先と良好なコミュニケーションがとれていれば、イレギュラーな対応にも応じてくれるほか、業務改善のための、よりよい提案も期待できます。
ビジネスパートナーとして接することで、中長期的な視点で見ても、互いの利となるのです。

注意点④マニュアルを用意しておく

外注を始めるにあたっては、業務の内容や進め方についてまとめたマニュアルを外注先に渡しておくことをおすすめします。

 

繁閑によって不定期で外注サービスを利用するケースも一般的ですが、フリーランスの場合はもちろん、企業であっても依頼するごとに担当者が変わることが少なくありません。
このような際にマニュアルがないと、その都度依頼内容を説明する手間が発生します。
依頼先が、依頼内容や遂行プロセスを把握できるようにマニュアルを用意しておけば、不要な工数を削減して、スピーディーに業務に着手してもらえます。

 

断続的な外注サービスの利用が見込まれるのであれば、マニュアル整備を検討してみてください。

外注と業務委託の違い

最後に外注と、よく耳にされるであろう“業務委託”の違いを解説します。

外注の定義

ここまで説明したように、外注とは、“外部に仕事を依頼すること”を広く指します。
たとえば、メーカーが製品に必要な部品や、組み立てを外部の企業に発注するのも外注ですし、銀行のコールセンターを業者へ委託するのも外注です。

 

外注は、特定の契約形態を指す言葉ではありません。

業務委託の定義

一方で、業務委託は、請負契約や準委任契約の総称であり、先述した外注と比べて、より具体的な契約形態 を指します。

 

請負契約とは、依頼された業務を完遂して、成果物を納品させた時点で報酬を受け取る、いわば成果報酬型の“外注契約”です。
対して、準委任契約については、業務の遂行自体に重点が置かれており、契約の期間中は状況のいかんにかかわらず報酬を受け取ることができます。

 

ひと口に外注といっても、契約形態にも違いがあるため、この点を理解したうえで発注に臨みたいところです。

外注には、人件費の削減や人的リソースの最適化を図れるといったメリットがある

今回は、外注のメリットやデメリットを、内製と比較しながら解説しました。

 

業務を外注することで、自社の業務負荷やコストの最適化を図ることができるようになります。
そのため、現場の業務負荷が高い、あるいは、人件費がかさんでいる場合は、外注を検討するのが賢明でしょう。
ただし、自社にノウハウを定着させたい場合など、内製を行ったほうがよいケースもあるため、状況を鑑みたうえで、自社に合った選択肢を選びたいところです。

 

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