採用難の対策9選!中小企業が人材を確保できない原因と「採用に頼らない」解決策

「求人媒体に出稿しても応募がゼロ」「内定を出しても辞退されてしまう」——採用難に悩む中小企業は少なくありません。
日本商工会議所の調査では、2025年4月入社の新卒採用において、中小企業の70.7%が計画どおりに人材を確保できなかったと回答しています。
少子高齢化による生産年齢人口の減少という構造的な要因がある以上、採用市場が短期間で好転する見通しは立っておらず、多くの企業が採用活動そのものの立て直しを迫られています。
本記事では、以下の内容を解説します。
- データで見る採用難の現状
- 中小企業が採用難に陥る原因
- 今日から取り組める採用難への対策9選
- 採用に頼らずに人手不足を乗り切る選択肢
採用難の現状をデータで確認

まずは、リクルートワークス研究所や日本商工会議所、帝国データバンクなどが公表している統計データをもとに、採用難の現状を客観的に確認していきましょう。
数字で見ると、中小企業が置かれている採用環境の厳しさがより具体的につかめます。
- 中小企業の新卒求人倍率は8.98倍
- 7割の中小企業が計画どおり採用できていない
中小企業の新卒求人倍率は8.98倍
リクルートワークス研究所「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」によると、2026年卒の新卒採用における求人倍率は、従業員300人未満の企業で8.98倍に達しています(全体は1.66倍)。
求人倍率が1倍を大きく上回るほど、企業から見た採用難易度は高くなります。
2026年卒の採用難易度は、中小企業でとりわけ高い水準にあるといえます。
市場全体が「売り手市場」の傾向にあるなかでも、中小企業はとりわけ厳しい競争環境に置かれているのが実情です。
こうした状況は一時的なものではなく、今後も同様の水準で推移する可能性が高いとみられており、新卒採用だけに依存した人材確保の難しさが増しています。
中途採用や既存社員の定着とあわせて、複数の切り口から人材確保を考える必要があるでしょう。
7割の中小企業が計画どおり採用できていない
日本商工会議所の調査では、2025年4月入社の新卒採用において、中小企業の70.7%が「計画どおりに採用できなかった」と回答しています。
この背景には、一時的な景気変動だけでなく、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少という構造的な要因があります。
総務省統計局の労働力調査でも、生産年齢人口は長期的な減少傾向にあることが示されており、採用市場の競争は今後も続くとみられます。
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」(2026年4月)では、正社員不足を感じる企業が50.6%にのぼります。
人手不足倒産も2025年度に441件と、3年連続で過去最多を更新しました。
中小企業が採用難に陥る3つの原因
中小企業が採用難に陥りやすい背景には、主に3つの原因があります。
- 大企業との待遇・知名度の格差:
給与水準や企業としての認知度で見劣りし、求職者からの応募自体が集まりにくくなります。 - 採用予算の差:
1社あたりの新卒採用費の総額は、上場企業で平均917.6万円、非上場企業で233.1万円と大きな差があります(マイナビ「2024年卒企業新卒内定状況調査」)。中小企業の人材確保対策としては、限られた予算内で成果を出す設計が求められます。 - 採用担当の兼務によるリソース不足:
総務や労務など複数の業務を兼務しているケースが多く、選考や内定者フォローまで手が回りにくくなります。
| 企業区分 | 1社あたりの採用費総額(平均) |
|---|---|
| 上場企業 | 917.6万円 |
| 非上場企業 | 233.1万円 |
採用難への対策9選

採用難に対して、中小企業が取り組める対策は次の9つです。
- 採用ターゲット・採用要件を見直す
- 採用チャネルを多様化する
- 給与・待遇を市場水準に合わせる
- 働き方の柔軟性を高める(リモート・時短)
- 採用ブランディング・情報発信を強化する
- 選考スピードと候補者体験を改善する
- 定着率を高めて「辞めない職場」を作る
- 採用業務をアウトソーシングする(RPO)
- AI・ツールで採用業務を効率化する
1.採用ターゲット・採用要件を見直す
経験者採用にこだわり続けると、応募母集団はどうしても限られてしまいます。
実務未経験者を育成する前提の「ポテンシャル採用」や、シニア層・主婦(夫)層など、これまで積極的にアプローチしてこなかった層まで対象を広げることで、母集団形成の選択肢を増やせます。
また、必須条件と歓迎条件を改めて整理し、本当に譲れない要件だけに絞り込むことも有効です。
条件を絞りすぎていないか、採用要件を定期的に見直す仕組みを社内に作っておくとよいでしょう。
特に人手不足が深刻な職種ほど、要件の見直しによる効果は大きくなります。
2.採用チャネルを多様化する
求人広告への掲載だけに頼らず、社員紹介による「リファラル採用」、企業側から求職者へ直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」、SNSを活用した採用、単発の仕事から関係を築く「スポットワーク」の活用など、複数の採用チャネルを組み合わせることで、母集団の量と質を高められます。
それぞれのチャネルには特性やコスト感の違いがあるため、自社の採用ターゲットに合わせて優先順位をつけ、無理のない範囲で組み合わせていくことが重要です。
一つのチャネルに依存しない体制を整えておくことが、採用難への備えにもなります。
3.給与・待遇を市場水準に合わせる
日本商工会議所「商工会議所LOBO(早期景気観測)調査」(2026年1月)では、初任給の引き上げを実施した企業は64.7%にのぼります。
賃上げが難しい場合でも、各種手当の新設や柔軟な働き方の導入など、給与以外の面で待遇を補う工夫も有効です。
求職者は基本給だけでなく、賞与や福利厚生、休日日数なども含めた総合的な待遇を比較検討する傾向があります。
競合他社の求人情報を定期的に確認し、自社の待遇が市場水準から大きく外れていないかをチェックする習慣を持つことも、採用難対策の一環として欠かせません。
小さな見直しであっても、求職者に与える印象は大きく変わることがあります。
4.働き方の柔軟性を高める(リモート・時短)
テレワークやフレックスタイム制度の導入は、応募数に直結する要素の一つです。
特に子育てや介護と両立したい層にとって、働き方の柔軟性は応募先を選ぶ重要な判断材料になります。
導入を検討する際は、段階的な進め方を押さえておくと失敗しにくくなります。
全社一律の導入が難しい場合は、対象部署や職種を限定したスモールスタートから始め、業務への影響を見ながら適用範囲を広げていく方法も検討に値します。
柔軟な働き方の実現は、既存社員の定着や、求人を見た求職者からの応募のしやすさにもつながる取り組みです。
関連記事:【保存版】テレワーク導入を成功させる5つのステップとメリット・デメリットを解説
5.採用ブランディング・情報発信を強化する
自社の魅力が求職者に伝わらなければ、どれだけよい条件を用意しても応募にはつながりません。
自社サイトやSNS、社員インタビューなどを通じた情報発信、いわゆる採用ブランディングを強化することが重要です。
求人票の作り込みに手が回らない場合は、外部サービスの活用も選択肢になります。
日々の業務の様子や社員の声を継続的に発信することで、求職者が入社後の働き方をイメージしやすくなり、応募のハードルを下げる効果も期待できます。
小さな発信の積み重ねが、長期的な採用力の底上げにつながります。
関連記事:【徹底比較】求人作成代行サービスおすすめ4選!RPOとの違いから選び方まで解説
6.選考スピードと候補者体験を改善する
応募から内定までのリードタイムが長いと、その間に他社で内定が決まり、辞退につながるケースが少なくありません。
面接日程の調整を迅速に行う、面接時の対応を見直すなど、候補者から見た選考プロセスの印象(候補者体験)を改善することが、内定辞退の防止につながります。
連絡のスピードや面接官の対応一つひとつが、求職者にとっての企業イメージを左右するため、選考フローの各ステップにかかる時間を洗い出し、短縮できる工程がないか定期的に見直すことをおすすめします。
スピード感のある対応が、他社との差別化にもつながります。
7.定着率を高めて「辞めない職場」を作る
採用は「入社してもらう」ことだけがゴールではありません。
早期離職が続けば、採用にかけたコストや工数が無駄になってしまいます。
入社後の受け入れ・定着支援(オンボーディング)の整備や評価制度の見直し、育児休業を取得しやすい環境づくりなど、定着施策とセットで採用を考えることが重要です。
せっかく採用した人材が短期間で離職してしまうと、その分また新たな採用活動を行う必要が生じ、採用難がさらに深刻化する悪循環にもつながりかねません。
採用と定着をセットで考える視点が、長期的な人材確保には欠かせません。
関連記事:中小企業が育休取得を推進するには?人員不足への対策も解説
8.採用業務をアウトソーシングする(RPO)
母集団形成やスカウト送信、面接日程調整といった採用業務そのものを外部に委託する採用代行(RPO)も、選択肢の一つです。
採用担当者がコア業務に集中できる環境を整えられます。
採用ノウハウや採用管理システムを持つ専門会社に一部の工程を任せることで、自社に専任の採用担当がいない場合でも、一定の採用活動の質を保ちやすくなります。
まずは応募者対応やスカウト送信など、工数のかかる一部の業務から委託範囲を検討するとよいでしょう。
特に採用のピーク時期など、業務量が集中するタイミングでの活用が効果的です。
関連記事:採用業務はどこまで外注できる?依頼する際の注意点を解説!
9.AI・ツールで採用業務を効率化する
スカウト文面の生成や応募者対応の一部自動化など、AIやツールを活用して採用業務を効率化する動きも広がっています。
ただし、ツールを使いこなせる人材が社内にいなければ、導入しても形骸化してしまう点には注意が必要です。
ツールを導入する際は、まず自社のどの工程に時間がかかっているのかを洗い出したうえで、その工程に合ったツールを選ぶことが重要です。
導入後の運用担当者を決めておくことも、形骸化を防ぐポイントになります。
小さな範囲から試験的に導入し、効果を見ながら適用範囲を広げていく方法もあります。
関連記事:人事でAIはどこまで使える?6つの活用事例と導入ステップ、注意点を解説
採用だけでは解決しない:「採用に頼らない」人手不足対策
ここまで採用活動そのものを見直す方法を紹介してきましたが、採用が充足するまでの間も、日々の業務は止められません。
採用がすぐに進まない前提に立ち、限られた人数でも事業を回せる体制をどう作るかという視点も欠かせません。
ここからは、採用に頼らずに人手不足を乗り切るための考え方を紹介します。
- 業務の棚卸しでコア業務に集中する
- アウトソーシングで「即戦力」を確保する
業務の棚卸しでコア業務に集中する
まずは社内の業務を棚卸しし、「自社の人材が担うべきコア業務」と「必ずしも社員でなくてもよいノンコア業務」を切り分けることが出発点になります。
ノンコア業務を外部に切り出せれば、少ない人数でも事業を回しやすくなります。
例えば株式会社ウィルゲート様では、記事校正や入稿データ整理、リサーチ作業を代行へ切り出すことで、編集部の作業工数を半減させることに成功しました。
・参照事例: https://cast-er.com/case/smes/willgate/
定型的な業務から棚卸しを始めることで、コア業務へ集中できる体制を早期に構築できます。
すべてを一度に整理しようとせず、負担の大きい業務から優先的に見直していくとよいでしょう。
関連記事:コア業務とノンコア業務の違いとは?分類の仕方を解説
アウトソーシングで「即戦力」を確保する
新たに人を採用する場合、応募から内定、入社、教育までを含めると、実務で戦力になるまで数カ月単位の時間がかかるのが一般的です。
一方、オンラインアシスタントサービスを活用すれば、契約後すぐに実務経験のあるチームが稼働を始められるため、採用難の中でも即座に人手不足を補えます。
例えば株式会社メルカリ様では、社員急増に伴う経理処理や慶弔手続などの庶務・経理雑務を外注化することで、教育コストを抑えながら即戦力を確保し、正社員が本来のミッション(コア業務)に集中できる環境を実現しています。
・参照事例: https://cast-er.com/case/smes/mercari/
繁忙期だけ稼働量を増やす、特定の業務だけを任せるといった柔軟な使い方ができる点も、正社員採用にはない特徴といえます。
まずは自社のどの業務なら任せられそうか、洗い出してみることから始めてみるとよいでしょう。
関連記事:【2026年最新版】オンラインアシスタント比較30選!料金・特徴・選び方を徹底解説
採用難でも採用に頼らず業務が回る体制を作る「CASTER BIZ assistant」の導入事例
採用難に直面する企業のなかには、新たに人を雇用せずに、オンラインアシスタントサービスへ業務を委託することで、事業成長と人手不足の両立を実現している例があります。
ここでは、オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ assistant」の導入事例を3つ紹介します。
- ベースフード株式会社:追加雇用なしで売上規模を拡大
少数精鋭で急成長するなか、雑務の増加と採用難が重なり、新規雇用の余裕がありませんでした。リサーチや発注代行をCASTER BIZ assistantに委託し、雇用を増やさずに売上規模の拡大を実現しています。 - 株式会社TVer:月20時間の雑務を削減し、売上倍増を達成
採用難で増員が難しいなか、営業メンバーが請求データの突合や資料作成に月20時間を費やしていました。バックオフィス業務を委託し、営業がコア業務に専念できる環境を整えたことで、商談数増加とともに売上が倍増しました。 - freee株式会社:追加採用なしで1人体制の新規事業を軌道化
新規事業の立ち上げ時、1人体制で業務過多に陥るも、採用・教育のリソースは確保できませんでした。リサーチや集計、Web施策を外注し、マニュアル化で属人化を防ぎながら、追加採用せずに事業を軌道に乗せています。
これらの事例に共通するのは、「採用ができるようになるまで待つ」のではなく、「採用をせずに業務を回す体制を先につくる」という発想です。
採用難が長期化する前提に立つならば、こうした選択肢も検討する価値があるといえるでしょう。
まとめ:採用難の時代は「採る」と「任せる」の両輪で
少子高齢化による生産年齢人口の減少を背景に、採用難はすぐには解消しない構造的な課題です。
本記事で紹介した9つの対策に取り組みながら、同時に「採用に頼らず業務を回す」という選択肢も持っておくことで、人手不足による事業への影響を最小限に抑えられます。
まずは自社の採用プロセスや業務内容を棚卸しし、どこにボトルネックがあるのかを把握することから始めてみましょう。
すべての対策を一度に実行する必要はなく、着手しやすいものから少しずつ取り入れていくことが、無理なく採用難を乗り越えるための近道になります。
「採る」努力と「任せる」仕組みづくりを両輪で進め、変化の激しい採用市場を乗り切っていきましょう。