AI活用事例18選|企業・自治体の取り組みと導入の進め方

AIの活用事例を見るときは、どんな作業に使ったかだけでなく、どの範囲で成果を測ったかも確認することが大切です。
年間の削減時間、試算、実証実験の精度、サービスの提供開始は、それぞれ意味が異なります。自社の業務量や確認体制と照らし合わせると、取り入れ方を判断しやすくなります。
この記事では、企業・自治体の取り組みとサービス提供例を18件紹介します。パナソニック コネクトの2024年の年間44.8万時間削減という公表値や、横須賀市の年間22,700時間の短縮想定などを、発表時点と条件を添えて整理します。
すべての事例に削減率が公表されているわけではありません。
- 企業・自治体の具体的な取り組みと、成果の読み方
- 業務別・業種別に取り入れる際の確認点
- 成果が出ている企業に共通する取り組み方の条件
AI活用事例を見る前に|種類と成果指標を押さえる
AIは、認識、分類、予測、最適化、文章や画像の生成などを含む広い概念で、生成AIもその一部です。同じAI活用でも、需要予測と議事録の要約では必要なデータや評価方法が異なります。
実績・見込み・提供機能を分け、対象人数、期間、業務量、確認にかかる時間まで見て比較してください。
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類型 |
できること |
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自然言語処理 |
文章の意味を読み取り、要約・分類・応答を行なう |
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画像認識 |
画像や映像から人・物・文字・傷を判別する |
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音声認識 |
音声を文字に変換し、内容に応じて動作させる |
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予測分析 |
過去データから将来の傾向を予測する |
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最適化 |
条件に合わせて効率のよい手順を選ぶ |
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異常検知 |
正常時との違いを見つけて異常を検出する |
たとえば、会議の録音を文字にするなら音声認識、問合せ対応を自動化するなら自然言語処理、配送順を見直すなら最適化が候補になります。
AI活用を検討するときは、まず「どの業務を効率化したいのか」を決め、その業務に合う種類を選ぶことが大切です。
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業務別のAI活用事例|文書作成・資料作成・顧客対応
日常の文書、会議資料、問い合わせの一次対応は、AIを組み込む場面が多い領域です。下書きの作成、情報検索、実際の応対では必要な確認が異なるため、担当者の作業がどう変わったかに着目しましょう。
1.パナソニック コネクト|ConnectAIによる文書・開発などの支援
同社の2025年7月7日発表によると、国内全社員約11,600人を対象とするConnectAIの2024年の業務時間削減効果は年間44.8万時間、利用回数は240万回でした。
1回当たりの削減時間は28分という公表値です。文書やコード、画像などを使う複数の業務を含む値であり、議事録だけの成果ではありません。
資料を与えて要約・レビューを依頼するなど、使い方の変化が説明されています。
2.当別町|AI議事録と全職員の生成AI活用
当別町DX推進計画(2025年6月改訂)には、2023年度のAI議事録導入、2024年度の全職員への生成AI導入が示されています。
会議の記録と普段の文書作成を個別に試し、利用範囲を広げる取り組みです。自社へ取り入れる際は、録音の扱い、誤認識の修正、議事録の承認を一連の手順として設計しましょう。
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3.キリンホールディングス|AI役員CoreMateで議論と資料を準備
2025年8月4日の公式発表では、過去10年分の会議議事録や社内資料、外部情報を活用し、異なる視点を持つ12のAI人格を構築したとしています。
起案者が事前に論点を検討するほか、AI同士の意見交換から論点を抽出し、経営層へ提示します。年間30回以上の会議での活用は発表時の見込みであり、実施回数や時間削減の実績ではありません。
4.CTC|Acsimによる要件定義支援の提供
CTCの2025年12月24日発表は、ROUTE06のAI要件定義サービス「Acsim」の提供開始を案内しています。
業務フロー、画面の試作、基本設計書や稟議資料の作成などを支援するものです。ここで示されているのは提供機能で、個別企業の削減時間ではありません。
関係者の合意形成や要件の承認は、別途業務に組み込みます。
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5.Gen-AX|X-Ghostによるコンタクトセンター支援の提供
Gen-AXのX-Ghostは、AIによる音声での問い合わせ対応に加え、システムの照会・登録などの処理を支援します。
オペレーターAIと監視・制御を行うAIを組み合わせる構成で、24時間365日の対応を掲げています。提供機能を自社へ適用するときは、本人確認、処理権限、有人対応へ引き継ぐ条件まで検証する必要があります。
問合せの中には、営業時間、料金、手続き方法など、内容が似た質問も少なくありません。
よくある質問をAIが一次対応し、個別確認が必要な内容だけを担当者へ引き継ぐ形にすると、人が対応すべき範囲を絞り込みやすくなります。
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バックオフィスのAI活用事例|経費精算・採用
申請書や応募書類など、入力形式と処理の流れが定まった業務では、確認前の準備をAIで支援できます。一方、支払や採用結果などに影響するため、誤りへの対応を先に決めておくことが重要です。
6.ラクス|楽楽精算向けAIエージェントの提供
2025年12月1日の公式発表では、「楽楽AIエージェント for 楽楽精算」β版の提供を開始しています。
領収書、事前申請、カード明細、過去の履歴を照合し、申請伝票を作成する機能です。勘定科目等の推測入力や規定チェックも含みます。
申請作成の支援と、上司・経理担当者による承認を分けて理解しましょう。
実際に製造業(食品)のベースフード株式会社様(11~100人規模)では、RPA・Slack・CASTER BIZ assistantを連携させ、レポート作成や原材料発注などの「あと少しだけ人の手が必要な業務」を一連のシステム・人的フローとして完全自動化しました。
部分的な作業効率化にとどめず一連のプロセスとして構築したことで、創業5期目で社員19名という少数精鋭組織のまま事業成長を維持できる体制を実現しています。
・参照事例: スタートアップ企業 “あるある” の「人力解決」はキャスタービズオンラインアシスタントで終止符。RPAとの組み合わせで業務フローを完全自動化
仕訳や支払の最終承認は人が持ち、AIは下書きと突合に限定する運用が実務では定着しやすいでしょう。
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7.ソフトバンク|採用書類・動画面接の評価支援
ソフトバンクの2020年5月25日発表では、2017年5月からのIBM Watson活用でエントリーシート選考の時間を約75%削減したとしています。
一方、動画面接の選考作業を約70%削減するという値は導入時の見込みです。AIが不合格と判定した動画を人事担当者が確認し、合否を最終判断する運用が示されています。
現在の採用制度全体の説明としては扱わず、当時の運用事例として参考にしてください。
他の業務へ応用する際も、誤判定の影響、偏りの検証、再確認の手順を設けます。特定の工程で得られた削減率を、人事部門全体の効果に置き換えることはできません。
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業種別のAI活用事例|製造・小売・金融
設備図面、作業映像、店舗マニュアル、顧客対応の記録など、現場固有の情報を活用する例です。データを用意するだけでなく、現場の担当者が検証しながら運用を調整する点に注目しましょう。
8.ダイキン工業|現場作業と設備故障診断の支援
ダイキン工業の2026年3月25日発表では、フェアリーデバイセズと開発するAIエージェントが、GENIAC-PRIZEの該当テーマで第1位とAIエージェント賞を受賞しています。
首掛け型デバイスTHINKLETの映像から作業の抜け漏れを確認する実証で、検知精度は研修施設91%、実際の現場76%とされています。
検証環境によって精度が異なることも、導入判断の重要な材料です。
別の取り組みとして、日立との2025年4月22日共同発表では、設備故障診断を支援するAIエージェントの試験運用開始を紹介しています。
設備図面や保全記録を参照し、原因・対策を提示する設計です。発表当時の試験運用・展開計画を示す資料なので、すでに全拠点で稼働しているとは読み替えません。
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9.イオンリテール|店舗従業員向けAIアシスタント
2025年5月15日の発表では、業務マニュアルなどを参照し、文字や音声での質問に回答するAIアシスタントを約390店舗へ同年6月に実装する予定としています。
経験の少ない従業員が必要な手順を探す場面を支援する設計です。これは発表時の対象店舗数・予定で、全店舗への導入完了や時間削減の実績を示す値ではありません。
自社でマニュアル検索を導入する場合も、文書の更新責任者と、回答が見つからないときの相談先を明確にしておきましょう。
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10.三菱UFJ銀行|営業員の情報整理と提案作成を支援
三菱UFJ銀行の2026年4月1日発表では、ウェルスマネジメントの共通プラットフォームへ生成AI機能を導入しています。
提案事例・市場・商品情報などを自然言語で示し、営業員の情報処理や提案作成を支援するものです。銀行員によるコンサルティングの支援として紹介されており、顧客への提案判断をすべてAIへ委ねる例ではありません。
11.明治安田|デジタル秘書で従業員を支援
明治安田のDX戦略では、営業職員向けの「デジタル秘書 MYパレット」を2024年10月から、役職員向けのデジタル秘書を2025年8月から展開したと紹介しています。
顧客情報の入力・参照や、職務に合わせた業務の支援を行います。単一のチャットツールを配るだけでなく、利用者の仕事に合わせて機能を用意する例です。
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物流・自治体のAI活用事例|配送計画・文書作成・行政運用
物流では地域の条件を考慮した配送計画、自治体では文書作成や情報整理などに活用されています。全社・全庁の合計値と、特定の作業の結果を区別すると、自社で目指す効果を考えやすくなります。
12.ヤマト運輸|配送ルートと荷物の割り当てを最適化
Google Cloudの公式事例では、Route Optimization APIなどを使った仕組みを2024年から一部拠点に導入し、2026年度末までに全国へ展開する計画を紹介しています。
荷物量や運行時間などに合わせて担当エリアや配送順を調整し、現場の意見を改良へ反映しています。計画上の展開時期を導入完了とせず、地域ごとの条件に合わせた検証が必要な例として捉えましょう。
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13.横須賀市|文書作成の短縮効果を年換算で試算
横須賀市の2023年活用実証報告では、文書作成の業務時間短縮を年間約22,700時間と想定しています。利用者1,913人、文書作成での利用割合29.3%、短縮時間10分、年間243日を用いた概算であり、1年間の実測値ではありません。
利用状況と実作業の目安を組み合わせて、導入効果を説明した例です。
14.都城市|文書作成・施策の案出しとFAQへの活用
都城市のDX推進計画は、文書作成や施策のアイデア出しに加え、マニュアルを登録したFAQとしての生成AI利用を示しています。
生成AI活用事業は2023年7月開始と記載されています。利用の狙いと運用ルールを整理し、担当課への問い合わせ負担を見直す例です。
15.別府市|アンケート分類を生成AIとRPAで効率化
別府市が提出した行革甲子園2024の資料では、アンケートの自由記述の分類に生成AIとRPAを使い、2週間かかった作業が2日間で終了した例を紹介しています。
資料では、日々の利用全体の定量評価は実施できていないとも説明しており、この効果を市役所全体へ一般化しないことが大切です。
16.湖西市|現場発の活用と定着を進める
湖西市DX推進課の公表記事では、2026年3月時点でLGWAN利用職員の約6割が生成AIを利用しているとしています。
時期ごとのニーズに合わせたチャットボットの追加や、利用者の声を踏まえた普及を紹介しています。利用できる環境の整備と、現場で使い続けられる工夫の両方が必要だと分かります。
17.志木市|利用ガイドラインと職員の活用
志木市の公式案内では、2024年5月に自治体向け生成AIを導入し、個人情報・機密情報の利用禁止や事実確認などのルールを定めています。
削減した時間を職員が担う業務に振り向ける方針で、ツールと利用ルールをセットにした例です。
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広告でのAI活用事例
18.伊藤園|AIタレントとパッケージ制作
伊藤園の2024年3月29日発表では、AIタレントを起用したCMの第2弾を紹介しています。生成された候補から人物像を選び、デザイナー・クリエイターが調整して制作しています。
パッケージも生成画像を参考に人が作成し直したと説明されており、AIによる案出しと人による仕上げを組み合わせた例です。
AI活用事例を自社へ取り入れる3つの条件
対象業務と測定指標を決める
目的が曖昧なままでは、便利そうな機能を入れても現場で使われず、効果が出たのかどうかも判断しにくくなります。
たとえば、「問合せ対応の時間を減らしたい」「議事録作成の負担を軽くしたい」など、対象業務を先に絞ることが重要です。
導入の目的がはっきりしていれば、選ぶツールや確認すべき指標も定まります。
作業時間だけでなく、確認・修正時間、誤りの件数、運用費用も記録します。部門全体の業務時間と一作業の短縮率を混ぜず、同じ件数・条件で導入前後を比べましょう。
入力情報と確認者を定める
AIを業務で使うときは、どの情報を入力してよいかを先に決めておく必要があります。
ルールがないまま使い始めると、個人情報や機密情報を誤って入力し、情報管理上の問題につながるおそれがあるためです。
生成AIの出力は、そのまま公開や実務に使わず、必ず内容を確認する必要があります。
もっともらしい誤り、古い情報、文脈に合わない表現が混ざることもあるためです。
特に、数字、固有名詞、制度内容、取引条件などは人の目で確認しなければなりません。
入力範囲の設定には、個人情報保護委員会の生成AIに関する注意喚起も参考になります。学習利用の有無だけでなく、保存先、共有範囲、社内の利用目的も確認してください。
小さく試し、現場の手順に合わせて改善する
実際に建設・注文住宅業界の株式会社コラボハウス様(101人~500人以上)では、最初は月30時間契約の秘書業務から小さくスタートし、効果を確認しながら月50時間・1年契約へと拡大させました。
さらに秘書業務から採用・労務・経理・マーケティングへと部門横断で活用範囲を広げ、地方企業特有の人材確保の難しさを克服しつつ、限られた人材で最大の成果を出す体制を確立しています。
・参照事例: 愛媛発の成長企業が挑んだ“業務改革”。限られた人材で成果を最大化する仕組みとは | キャスタービズオンラインアシスタント
いきなり範囲を広げると、問題が出たときに原因を特定しにくくなるからです。
試験導入では、作業時間、対応件数、ミスの件数など、変化を見やすい項目を決めておくと効果を判断しやすいです。
数値で比較できれば、現場の納得も得られ、社内説明もしやすくなります。
AIは導入しただけでは定着しません。
現場で使われる状態にするには、業務に合った運用ルールを設計する必要があります。
ルールが細かすぎても使いにくくなり、反対に曖昧すぎても判断に迷いやすくなるためです。
たとえば、誰が使うのか、どの業務で使うのか、最終確認は誰が行なうのかを決めておくと、運用の混乱を防ぎやすくなります。
関連記事:業務改善の方法と進め方
関連記事:人手不足の影響と対策
AIと外部の人材を組み合わせて運用する
CASTER BIZ assistantは、秘書・事務・経理などの業務をオンラインで支援するサービスです。
BASICプランは月30時間で、12か月契約が月額120,000円(税抜)・132,000円(税込)、6か月契約が月額132,000円(税抜)・145,200円(税込)です。
業務量に応じて設計するCUSTOMプランもあります。対応範囲や稼働時間の数え方は、依頼内容を整理して相談しましょう。
CASTER BIZ assistantの料金プランとCASTER BIZ assistantのサービス内容で条件を確認できます。
実際にエンタメ・ゲーミフィケーション業界の株式会社セガ エックスディー様(101人~500人以上)では、社員2名の少数精鋭体制の中で「AIで効率化した情報を実務で使える形に整える人手が不足している」という課題がありました。
そこでリサーチや情報整理をオンラインアシスタントへ外注し、『AIが下ごしらえした情報を使える形まで整えるパートナー』として定着させたことで、社員が本来注力すべき企画や情報発信に集中できる体制を実現しています。
・参照事例: AIと人の最適解とは?セガ エックスディーの広報現場に見る外部活用 | キャスタービズオンラインアシスタント
AIの利用可否、社内の承認事項、個人情報の扱いを契約前に共有しましょう。
事例の条件を読み、自社の業務から小さく始める
AI活用の効果は、対象業務、データの整備、現場の確認体制によって変わります。公表された時間削減の実績、年換算の試算、提供開始の機能を区別すれば、自社へ取り入れる際の期待値を適切に設定できます。
まずは負担が大きく、効果を測りやすい業務を一つ選びましょう。入力できる情報、AIが担当する処理、人が確認する工程を決めて試し、結果を見ながら広げます。
社内で運用を担う余力が足りないときは、外部の支援と組み合わせる方法も検討してください。
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