ヒューマンインザループとは?業務のAI化で必要な理由・メリット・注意点・活用事例4選

AIを業務に活用したいものの、「AIの出力をどこまで信じてよいのか」「人間の確認をどの段階で入れるべきか」と悩む企業担当者は少なくありません。
こうした不安を解消する考え方が、ヒューマンインザループです。
ヒューマンインザループとは、AIの処理や判断の途中に人間の確認・修正・承認を組み込む考え方を指します。
本記事では、ヒューマンインザループが業務のAI化で必要とされる理由・導入メリット・注意点・活用事例・導入手順を解説します。
AI活用のリスクを抑えながら、効率化を進めるための確認体制を整理したい方は、ぜひ参考にしてください。
ヒューマンインザループ(HITL:Human-in-the-Loop)とは?
ヒューマンインザループ(HITL:Human-in-the-Loop)とは、AIの処理や判断の途中に、人間による確認・修正・承認を組み込む考え方です。
AIに任せる部分と人間が確認する部分を分けることで、業務効率を高めながら、誤った処理や不適切な判断を防ぐ役割があります。
AIの活用が広がるなかで、AIによる効率化と人による確認・判断を組み合わせた業務支援も増えています。
AIを活用したオンラインアシスタントの業務内容やメリットを詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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AIの完全自動化(Human Out of the Loop)との違い
AIの完全自動化とは、人間が判断や確認に関わらず、AIだけで処理を完結させる仕組みです。
一方、ヒューマンインザループは、AIの処理の途中や最終段階に人間の確認を入れる点が異なります。
両者の違いを整理すると、以下のとおりです。
| 比較項目 | ヒューマンインザループ | AIの完全自動化 |
|---|---|---|
| 人間の関与 | 処理の途中や最終判断に人間が関わる | 原則として人間は関与しない |
| 向いている業務 | 正確性や判断が求められる業務 | ルールが明確でミスの影響が小さい業務 |
| メリット | ミスや不適切な判断を防ぎやすい | 処理スピードを高められる |
| 業務例 | ・請求書データの確認 ・AI返信文の承認 ・審査結果の最終確認 |
・定型メールの自動振り分け ・在庫数の自動更新 ・データの自動分類 |
完全自動化は、人間の作業を大きく減らせる点が魅力です。
ただし、AIの判断が誤っていた場合でも、そのまま処理が進んでしまうリスクがあります。
たとえば、請求書の金額をAIが誤って読み取ったまま支払い処理まで進むと、経理上のミスや取引先とのトラブルにつながりかねません。
ヒューマンインザループでは、AIに任せる範囲と人間が確認する範囲を分けます。
AIで作業時間を短縮しながら、重要な判断やミスが許されない処理には人間を残すことで、効率化と安全性の両立を図れます。
生成AIの業務活用で注目されている背景
ヒューマンインザループが注目されている背景には、生成AIの普及にともない、企業が業務効率化を進める一方で、AIのミスによる業務への悪影響を懸念していることがあります。
生成AIは、メール文面の作成、議事録の要約、資料の下書きなどを短時間で行なえる便利な技術です。
しかし、事実と異なる内容を自然な文章で出力する場合もあるため、確認せずに使うと顧客対応や社内業務に影響が出るおそれがあります。
そのため、AIに任せる業務と人間が確認する業務を分け、必要な場面で人間が内容を確認するヒューマンインザループの考え方が重視されています。
ヒューマンインザループが業務のAI化で必要とされる理由
ヒューマンインザループが必要とされる主な理由は、以下のとおりです。
- AIのミスやハルシネーションを完全には防げないため
- 倫理的・道徳的な課題に対する「説明責任」を明確にするため
- AIには「絶対にできないこと」を人間が補完するため
AIの便利さを活かしながら業務上のリスクを抑えるために、それぞれ具体的に確認していきましょう。
AIのミスやハルシネーションを完全には防げないため
ヒューマンインザループが必要とされる理由のひとつは、AIのミスやハルシネーションを完全には防げないためです。
ハルシネーションとは、AIが事実と異なる内容を、正しい情報のように出力する現象を指します。
生成AIは自然な文章を作れますが、情報の正しさを人間のように理解しているわけではありません。
そのため、実在しない制度を説明したり、商品仕様や契約内容を誤ってまとめたりする場合があります。
AIの出力を確認せずに使うと、顧客対応や資料作成、契約確認などで誤った情報が広がるおそれがあります。
AIに下書きや処理を任せる場合でも、最終的な内容は人間が確認することが重要です。
倫理的・道徳的な課題に対する「説明責任」を明確にするため
ヒューマンインザループは、AIの判断に対する説明責任を明確にするためにも必要です。
特に、人の評価やお金に関わる判断では、公平性を欠いた結果や、相手に不利益を与える結果につながるおそれがあります。
慎重な確認が必要な業務は、以下のとおりです。
- 採用選考
- 人事評価
- 融資審査
- 保険審査
これらの業務は、結果によって相手の人生や事業に大きな影響を与える可能性があります。
AIの出力を参考にしながらも、人間が妥当性を確認し、最終判断に責任を持つことが重要です。
AIには「絶対にできないこと」を人間が補完するため
ヒューマンインザループは、AIが担えない判断や対応を人間が補うためにも必要です。
AIは大量のデータ処理やパターンの抽出を得意とする一方で、相手の感情への配慮や、責任をともなう最終判断は担えません。
たとえば、クレーム対応では、顧客の怒りや不安に寄り添った対応が求められます。
また、人事判断や経営判断では、数値だけでなく、社員の事情や会社として守るべき方針も踏まえる必要があります。
AIが出した情報を参考にしつつ、人間が状況や相手の感情を踏まえて判断することで、業務の質と信頼性を保てるのです。
ヒューマンインザループを導入するメリット
ヒューマンインザループを導入すると、AIの処理スピードを活かしながら、人間の確認によって業務の安全性を保てます。
ここでは、ヒューマンインザループを導入するメリットを4つ紹介します。
- AIの出力精度を高められる
- 重大なミスを事前に防ぎやすくなる
- 現場がAIを安心して使いやすくなる
- AIの改善に必要なフィードバックを蓄積できる
AIにすべてを任せるのではなく、人間が必要な部分を補うことで、効率化と品質維持を両立できるでしょう。
AIの出力精度を高められる
ヒューマンインザループを導入すると、人間の確認・修正を通じてAIの出力精度を高められます。
AIは便利な一方で、最初から自社のルールや細かな判断基準まで正確に反映できるとは限りません。
たとえば、経費精算でAIが勘定科目を誤って分類した場合、担当者が正しい科目に直します。
修正内容を記録しておけば、判断ルールの見直しやプロンプト改善、AIへの追加設定などに活用できます。
AIに任せっぱなしにせず、人間が確認して改善点を残すことで、自社の業務に合った使い方へ調整できるでしょう。
重大なミスを事前に防ぎやすくなる
ヒューマンインザループを取り入れることで、外部に出る前の重大なミスを防ぎやすくなります。
AIの回答や文章がそのまま公開・送信される状態では、不適切な表現や誤った情報が外部に出るおそれがあります。
特に、次のような業務では公開前・送信前の確認が重要です。
- 顧客向けメールの送信
- 企業の公式SNS投稿
- プレスリリースの作成
- 契約書や見積書の確認
これらの業務は、内容に誤りがあると会社の信用に関わる可能性があります。
AIに下書きや整理を任せる場合でも、最終確認を人間が行なうことで、安全な運用につなげられます。
現場がAIを安心して使いやすくなる
ヒューマンインザループは、現場の担当者がAIを安心して使うための仕組みにもなります。
完全にAI任せにすると、「AIがミスをしたらどうするのか」「責任は誰が負うのか」という不安が残りかねません。
ヒューマンインザループでは、AIを「すべてを任せる存在」ではなく「下書きや処理を支援する存在」として扱います。
AIが作業の一部を担い、人間が最後に確認する流れであれば、現場もAIを業務に取り入れやすくなります。
AIへの不信感を減らし、実務で無理なく使える状態を作れる点も、ヒューマンインザループのメリットです。
AIの改善に必要なフィードバックを蓄積できる
ヒューマンインザループを導入すると、人間がAIの出力を確認・修正した記録を、改善のためのフィードバックとして蓄積できます。
実際の業務では、導入前には想定できなかった例外や細かな判断が発生するものです。
たとえば、問合せ対応でAIが作成した回答文を担当者が修正した場合、修正前後の内容を残しておくことで、改善すべき点を把握できます。
どの表現が不適切だったのか、どの情報が不足していたのかをあとから確認できるためです。
日々の確認作業を記録として残すことで、AIを一度導入して終わりにせず、業務に合わせて見直し続ける仕組みを作れます。
ヒューマンインザループを導入するデメリット・注意点
ヒューマンインザループは、AI活用の安全性を高める一方で、人間の関わり方を誤ると効率化の効果が薄れる場合があります。
導入時に注意したい点は、以下のとおりです。
- 人間の確認が多すぎると効率化につながらない
- 判断基準が曖昧だと確認品質がばらつく
- 個人情報や機密情報の管理体制が必要になる
- 専門知識がない人だけでは確認しきれない業務がある
ヒューマンインザループを効果的に運用するためにも、導入前に確認範囲や判断基準を整理しておきましょう。
人間の確認が多すぎると効率化につながらない
ヒューマンインザループは、人間の確認を増やせばよい仕組みではありません。
AIの処理結果をすべて人間が細かく確認すると、AIを導入する前と作業時間が大きく変わらなくなる可能性があります。
AIは大量のデータを短時間で処理できますが、人間が確認する速度には限界があります。
どこまでをAIに任せ、どの処理だけを人間が確認するのかを決めておかないと、確認待ちの作業が増えてしまいます。
たとえば、AIで会議音声を文字起こししたあと、担当者が録音を最初から最後まで聞き直す運用では、効率化の効果は限定的です。
確認が必要な箇所を重要部分や不明瞭な発言に絞るなど、確認範囲をあらかじめ決めておく必要があります。
判断基準が曖昧だと確認品質がばらつく
ヒューマンインザループを導入する際は、人間が何を基準に確認するのかを明確にする必要があります。
確認ルールが曖昧なままだと、担当者ごとに判断が分かれ、業務品質にばらつきが出るためです。
たとえば、AIが作成した文章を確認する場合、担当者によって対応が変わることがあります。
- 表現が少し不自然でも意味が通れば承認する
- 細かな言い回しまで修正する
- 明らかな誤りだけを直す
- 社内ルールに沿って全面的に書き換える
このような差があると、同じAIを使っていても成果物の品質が安定しません。
確認リストや承認基準を用意し、誰が見ても同じ判断に近づく仕組みを整えることが大切です。
個人情報や機密情報の管理体制が必要になる
ヒューマンインザループでは、人間がAIの処理結果や元データを確認するため、個人情報や機密情報の管理体制が必要です。
確認作業に関わる人が増えるほど、情報を扱う場面も増えます。
たとえば、顧客情報・契約内容・売上データ・従業員情報などを確認する場合、閲覧できる人を限定しなければなりません。
確認画面を開いたまま離席したり、誤って外部に共有したりすると、情報漏洩につながるおそれがあります。
社外の人に確認作業を依頼する場合は、特に注意が必要です。
データを共有する前に、閲覧範囲の制限・アクセス権限の設定・必要に応じた匿名化などを行ない、安全に確認できる環境を整えましょう。
専門知識がない人だけでは確認しきれない業務がある
ヒューマンインザループを取り入れても、確認する人に十分な知識がなければ、AIの誤りを見抜けない場合があります。
専門性の高い業務では、ただ人間が確認すれば安全とは限りません。
特に、次のような業務では専門知識を持つ人の確認が必要です。
- 税務や会計処理の確認
- 契約書や規約の確認
- 医療・法務に関わる文書の確認
- 複雑な計算や条件判断をともなう業務
これらの業務では、文章が自然でも内容が正しいとは限りません。
AIの出力を確認する担当者には、業務に応じた知識や経験が求められます。
専門性が必要な場面では、税理士や弁護士、経験豊富な担当者などが確認する流れを設計することが重要です。
ヒューマンインザループの活用事例4選
ここからは、ヒューマンインザループの活用事例を4つ紹介します。
- 経理・バックオフィス業務(書類自動処理・データ入力の確認)
- カスタマーサポート(AIチャットボットから有人対応への引き継ぎ)
- EC・フリマアプリ(出品物管理・画像チェック)
- 金融・保険・自動車産業(査定業務・緊急時の判断補助)
業務ごとに、AIへ任せる範囲と人間が確認する範囲をどう分けているのか確認していきましょう。
経理・バックオフィス業務(書類自動処理・データ入力の確認)
経理・バックオフィス業務では、請求書や領収書の読み取り、データ入力の確認などにヒューマンインザループが活用されています。
AIが書類の文字や数字を読み取り、人間が処理結果を確認してから会計システムへ反映する流れです。
たとえば、AI-OCR(AIによる文字読み取り技術)が請求書から取引先名・請求金額・支払期日などを抽出しても、書類の形式や文字の見え方によって読み取りミスが起こる場合があります。
経理業務では数字の誤りが支払ミスや月次決算のずれにつながるため、人間が金額・取引先・勘定科目などを確認することが重要です。
バックオフィス全体でのAI活用事例や導入手順を詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:バックオフィスのAI活用で業務を変える!部門別の事例と導入4ステップを紹介
カスタマーサポート(AIチャットボットから有人対応への引き継ぎ)
カスタマーサポートでは、AIチャットボットと人間のオペレーターを組み合わせる形で、ヒューマンインザループが使われています。
よくある問合せにはAIが回答し、複雑な相談やクレームは人間へ引き継ぐ仕組みです。
AI対応と有人対応の役割分担は、以下のとおりです。
| 対応方法 | 対応する問合せ |
|---|---|
| AIチャットボット | 営業時間、配送状況、パスワード再設定、料金プランなどの定型的な質問 |
| 有人対応 | クレーム、契約内容への不満、個別事情が絡む相談、感情面のケアが必要な問合せ |
AIが問合せ内容や過去のやり取りを整理し、人間のオペレーターへ引き継ぐことで、対応スピードと顧客満足度の両立を図れます。
EC・フリマアプリ(出品物管理・画像チェック)
ECサイトやフリマアプリでは、出品物の管理や画像チェックにヒューマンインザループが活用されています。
AIが大量の商品画像や説明文を確認し、規約違反の疑いがある出品を検知したうえで、人間が最終判断を行なう流れです。
すべての商品を人間だけで確認するのは現実的ではありません。
一方で、AIの判定だけで出品を削除すると、問題のない商品まで誤って制限するおそれがあります。
AIが違反の可能性がある出品を抽出し、人間が最終確認することで、利用者の利便性とサービスの安全性を保てます。
EC業務全体でのAI活用シーンを詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:ECサイトのAI活用で業務効率化!作業負担を劇的に減らす活用シーン8選を解説
金融・保険・自動車産業(査定業務・緊急時の判断補助)
金融・保険・自動車産業では、査定業務や緊急時の判断補助にヒューマンインザループが活用される場面があります。
AIがデータ分析やリスク判定を行ない、人間が最終的な確認や承認を担う形です。
主な活用例は、以下のとおりです。
- 金融:融資審査におけるスコアリングやリスク判定
- 保険:保険金支払いの査定補助や申請内容の確認
- 自動車:危険検知や運転支援システムの判断補助
人の生活や命、大きな金額に関わる分野では、AIの判定結果だけで判断するのは危険です。
AIを判断材料として活用しつつ、人間が責任を持って最終確認することで、安全性と業務効率の両立を図れます。
ヒューマンインザループを業務に取り入れる手順
ここからは、ヒューマンインザループを業務に取り入れる手順を紹介します。
- STEP1:AIに任せる業務と人間が確認する業務を分ける
- STEP2:人間が確認するタイミングを決める
- STEP3:判断基準と承認フローを明文化する
- STEP4:運用ログを残して定期的に見直す
無計画にAIを導入すると、確認漏れや現場の負担増につながるおそれがあります。
安全性と効率化を両立するために、手順ごとのポイントを押さえておきましょう。
STEP1:AIに任せる業務と人間が確認する業務を分ける
ヒューマンインザループを取り入れる最初のステップは、AIに任せる業務と人間が確認する業務を分けることです。
業務を細かく分解し、AIが得意な作業と人間の判断が必要な作業を整理します。
たとえば、経費精算では、領収書の日付や金額を読み取る作業はAIに任せられます。
一方で、その経費が社内規定に合っているか、例外的な処理が必要かといった判断は人間が確認する領域です。
すべてをAIに任せると判断ミスが起こり、すべてを人間が確認すると効率化の効果が薄れます。
業務ごとに役割を分けることで、AIと人間の強みを活かせるのです。
STEP2:人間が確認するタイミングを決める
次に、人間がどのタイミングで確認するかを決めます。
確認のタイミングが遅すぎると、AIの誤りが後工程まで進み、修正に時間がかかるためです。
人間が確認する主なタイミングは、以下のように分けられます。
| 確認タイミング | 具体例 |
|---|---|
| 入力前 | AIに読み込ませるデータや書類に不足がないか確認する |
| 処理後 | AIが作成した文章や抽出したデータを確認する |
| 出力前 | 顧客送信・社外公開・承認前に最終確認する |
AIが作成した顧客向けメールでは、送信前に人間が確認する流れが適しています。
業務の影響度に応じて確認タイミングを決めることで、手戻りを減らしながら安全性を高められるでしょう。
STEP3:判断基準と承認フローを明文化する
ヒューマンインザループを安定して運用するには、判断基準と承認フローを明文化する必要があります。
担当者ごとに確認の厳しさが変わると、成果物の品質にばらつきが出るためです。
明文化しておきたい内容は、以下のとおりです。
- AIの出力で必ず確認する項目
- 修正が必要な基準
- そのまま承認してよい範囲
- 差し戻しが必要な条件
- 最終承認を行なう担当者
たとえば、「金額や日付の誤りは必ず修正する」「表現の軽微な違いは許容する」など、具体的な基準を決めておくと判断に迷いません。
確認ルールを文書化することで、チーム全体で同じ品質を保てます。
STEP4:運用ログを残して定期的に見直す
ヒューマンインザループは、一度設計して終わりではありません。
運用開始後は、AIの出力結果や人間が修正した内容をログとして残し、定期的に見直すことが重要です。
記録しておきたい内容は、以下のとおりです。
- AIが間違えた内容
- 人間が修正した箇所
- 差し戻しが発生した理由
- 確認に時間がかかった業務
- 追加すべきルールや不要になった確認項目
問合せ対応でAIが同じ種類の回答ミスを繰り返している場合、プロンプトや回答ルールを見直すきっかけになります。
ログをもとに運用を改善し続けることで、AIと人間の役割分担を現場に合う形へ調整できます。
経理業務でヒューマンインザループを設計する際の確認ポイント
ヒューマンインザループはさまざまな業務で活用できますが、特に経理業務では、人間による確認を組み込む必要性が高くなります。
経理業務では、数字の正確性や専門的な判断が求められるため、AIに処理を任せる場合でも、人間が確認すべき箇所をあらかじめ決めておくと安心です。
主な確認ポイントは、以下のとおりです。
- 経営判断や信用に関わる数字を重点的に確認する
- 請求書・経費精算・仕訳の処理結果を照合する
- 月次決算や税理士対応に必要な情報を整理する
- 専門判断が必要な処理を経理のプロに確認してもらう
AIによる効率化と経理担当者の専門性を両立するために、確認すべきポイントを押さえておきましょう。
経営判断や信用に関わる数字を重点的に確認する
経理業務でヒューマンインザループを設計する際は、経営判断や信用に関わる数字を重点的に確認する必要があります。
売上高・利益・取引先への支払金額などは、1つの誤りが大きなトラブルにつながるためです。
特に、次のような数字は人間による確認が欠かせません。
- 請求金額
- 振込金額
- 売上高
- 利益額
- 税額
AI-OCRや自動処理ツールを使っても、数字の読み取りミスや入力ミスが起こる場合があります。
振込や請求、月次資料への反映前には、担当者が原本や会計データと照合する流れを設けましょう。
請求書・経費精算・仕訳の処理結果を照合する
請求書・経費精算・仕訳の処理結果も、人間が確認すべき重要なポイントです。
AIは定型的な処理を得意としますが、例外的な取引や社内ルールが絡む判断までは正確に処理できない場合があります。
たとえば、経費精算では、AIが領収書の金額や日付を読み取り、勘定科目の候補を出すことがあります。
ただし、取引内容によっては、交際費・会議費・福利厚生費などの判断が分かれるケースもあります。
このような処理では、AIの結果をそのまま登録するのではなく、担当者が請求書の内容・経費の目的・社内規定を照らし合わせて確認することが重要です。
月次決算や税理士対応に必要な情報を整理する
月次決算や税理士対応では、AIが集計したデータを人間が確認し、説明できる形に整える必要があります。
経営層や税理士が確認したいのは、単なる数字だけでなく、数字が変動した理由や背景です。
たとえば、ある月だけ外注費や広告費が大きく増えている場合、数字だけを見ても原因はわかりません。
担当者が「新規プロジェクトの外注費が発生した」「広告出稿を強化した」などの補足を加えることで、判断に使える資料になります。
専門判断が必要な処理を経理のプロに確認してもらう
専門判断が必要な処理では、経理の知識を持つ人がAIの出力を確認する体制が欠かせません。
税務判断や特殊な会計処理では、知識がない人が画面を確認しても、誤りに気づけない場合があります。
専門的な確認が必要になりやすい業務は、以下のとおりです。
- 税区分の判断
- 特殊な仕訳処理
- 決算整理仕訳
- 消費税や源泉所得税に関わる処理
- 税理士へ共有する資料の確認
社内に経理の専門人材が不足している場合は、すべてを自社だけで対応するのが難しいケースもあります。
その場合、経理業務の一部を外部の専門人材に任せる「アウトソーシング」も選択肢のひとつです。
業務を外部に任せる方法や、派遣・外注との違いを詳しく知りたい方は、関連記事もあわせてご覧ください。
関連記事:業務のアウトソーシングとは?派遣や外注との違い・種類・メリットやデメリットを解説
ヒューマンインザループの今後のトレンド
ヒューマンインザループは、一時的なAI活用の補助ではなく、今後さらに重視される考え方です。
AIの活用範囲が広がるほど、人間がどこで確認し、どのように責任を持つかが重要になります。
今後の主なトレンドは、以下のとおりです。
- AI導入時から人間の確認を組み込む設計が広がる
- 説明性や監査記録を残す運用が重視される
- AIを監督・改善する人材の重要性が高まる
AIを安全に使い続けるためにも、これから広がる運用の変化を確認しておきましょう。
AI導入時から人間の確認を組み込む設計が広がる
今後は、AI導入時から人間の確認を組み込む設計が広がると考えられます。
AIの出力をどの段階で確認し、誰が承認するのかを最初から決めておく形です。
2030年に向けて、ヒューマンインザループは信頼性が高く説明可能なAI設計の中核要素になると見込まれています。
また、2026年までに企業の80%以上が生成AIアプリやサービスを導入するとの予測もあり、確認設計の重要性は高まっています。
顧客向けメールの自動作成ツールであれば、AIが作成した文章を人間が確認してから送信する仕組みが考えられます。
説明性や監査記録を残す運用が重視される
AIを業務で使う際は、出力結果だけでなく、判断の根拠や修正履歴を残す運用が重視されます。
AIがどのような処理を行ない、人間がいつ・どのように確認したのかを記録しておけば、あとから説明できる状態を保てるためです。
金融・医療・保険・法律などの高リスク分野では、AIの判断過程を説明できる体制が欠かせません。
経理業務でも、AIが仕訳候補を出したあとに、担当者や修正項目の履歴を残しておくことで、必要に応じて処理の妥当性を検証できます。
AIを監督・改善する人材の重要性が高まる
AIの活用が進むほど、AIを使うだけでなく、AIの出力を監督し、改善につなげる人材の重要性が高まるでしょう。
AIが作業の一部を担うようになっても、業務全体の品質や安全性を管理する役割は人間に残ります。
2026年時点の予測では、業務の担い手は以下のように分かれるとされています。
- 人間:47%
- 機械:22%
- 人間と機械の協働:30%
AIがすべてを代替するのではなく、人間とAIが役割を分担する流れが広がっているといえます。
今後は、AIが同じ種類のミスを繰り返していないかを確認したり、プロンプトや確認ルールを見直したりする業務が増えるでしょう。
AIに任せる範囲が広がるほど、AIを安全に使い続けるための管理体制が重要になります。
ヒューマンインザループでAI活用のリスクを抑えよう
ヒューマンインザループは、AIの処理や判断に人間の確認・修正・承認を組み込む考え方です。
AIに任せる範囲と人間が確認する範囲を分けることで、業務効率化と安全性の両立を目指せます。
一方で、実際に導入するには、業務の切り分けや確認ルールの整備、運用後の見直しまで行なう必要があります。
社内だけでAI活用の体制づくりを進めるのが難しい場合は、AIと人の力を組み合わせた外部支援を活用するのも選択肢です。
NEO assistantは、ヒト×AIのハイブリッド業務支援サービスです。
業務整理からAIワークフローの構築・運用までサポートしているため、AI活用を進めたいものの、社内だけで設計や運用を進めるのが難しい企業にも向いています。
AIを安全に活用しながら業務効率化を進めたい方は、ぜひ一度お問合せください。

