総務を外注する際の注意点やメリット・デメリットを解説

総務は、幅広い業務を担う、企業の運営に欠かせない部署の一つです。
しかし、近年問題視されている人材不足により、総務の業務に効率化の課題を抱える企業も多いのではないでしょうか。
そんなときは、業務の一部を外注することで解決につながるかもしれません。

 

そこでこの記事では、総務を外注する際の注意点やメリット・デメリットを解説します。
総務の業務を効率化したいとお考えの経営者様は、ぜひ参考にしてみてください。

総務アウトソーシングとは

総務アウトソーシングとは、総務の業務を外部の企業へ委託できるサービスです。

 

アウトソーシングの方法は、オンサイトとオフサイトの2種類があります。
オンサイトはクライアント企業に常駐し業務にあたり、オフサイトは、現場ではなく遠隔で業務をサポートします。

 

総務で請け負っている業務は多岐にわたるため、総務アウトソーシングへ依頼する前に、自社の課題を明確にし、生じている問題をあらかじめ把握しておくことが重要です。

総務アウトソーシングが必要とされる背景

総務アウトソーシングが必要とされる主な背景としては、人材不足、コスト・工数の削減、生産性向上の3つが挙げられます。

 

日本は、高齢化の進行と労働人口の減少が世界的に見ても著しく、慢性的な人材不足に陥っています。
企業は、こういった人材不足の問題を抱えながらも売上をキープ、さらには伸ばすべく、コストや工数の削減、生産性の向上に着目しているのです。

 

従来のようにすべての業務を内製化することが難しいなか、このような状況を改善するために必要とされているのが、アウトソーシングサービスです。
一部の業務を外注することで業務のひっ迫を改善し、ひいては、コストや工数の削減、生産性の向上につなげることができるでしょう。

 

関連記事：中小企業の総務アウトソーシングの活用

総務アウトソーシングに依頼できる業務内容

総務アウトソーシングでは、広範囲にわたる総務部門の業務をひと通り依頼することができます。
以下に、依頼できる業務の一例をまとめました。

 

総務アウトソーシングが対応できる業務の一例

業務の大分類	詳細な業務内容
労務管理	福利厚生の管理
	契約書の作成、管理
	衛生管理
	勤怠管理
	保険の手続き
経理業務	決済書の作成
	給与処理
	帳簿管理
庶務業務	備品管理
	データ入力
	伝票処理
経営管理	文書作成
	登記業務
	広報
IT支援	ホームページの更新

一般的には、上記の業務を依頼することが可能ですが、総務アウトソーシングを提供する企業によってはサービス内容が異なる場合があります。
そのため、実際に依頼する際には、自社が必要とする業務に対応しているか事前に調べておきましょう。

総務アウトソーシングの料金相場

総務アウトソーシングの料金形態は、時間単位と業務単位の2種類があります。

 

時間単位は、“月30時間利用 69,000～120,000/月”といったように、月額料金が決まっており、比較的コストの管理がしやすいとされています。
特定の業務だけでなく、総務の業務全般を依頼したいときにおすすめの方法です。

 

業務単位は、依頼する業務に応じて料金が発生します。
定型業務や工数が多い業務など、自社に必要な業務だけを依頼できるので、なるべくコストを抑えたいときに適しています。

 

以下は、業務ごとの料金相場をまとめたものです。

 

業務ごとの料金相場

		目安料金	注意点
経理業務	記帳代行	初期費用 0～20,000円/月額   100仕分け 5,000～10,000円	仕分け数、記帳条件によって料金が変動
	決済処理代行	40,000円～	決済申告を依頼する場合は、税理士または税理士と提携している業者に依頼
人事業務	給与計算 （社会保険料計算・年末調整含む）	初期費用 0～20,000円/月額 一人あたり 600円～	社員数、社会保険料の計算や年末調整などを含むかどうかで料金が変動
そのほかの総務業務	秘書業務	8,500～105,000円

時間単位や業務単位ともに、業者によって料金が異なりますので、希望する外注先の情報を前もって確認しておく必要があります。

総務アウトソーシングを利用するメリット

総務アウトソーシングを活用することで、企業が得られるメリットは以下の通りです。

 

【総務アウトソーシングを利用するメリット】

• 人員不足に陥ることなく業務が安定化する
• 最適なコストで効率的な運用が可能になる
• プロ目線から業務改善のアドバイスを受けられる

上記の通り、業務の安定化や効率化、そして、さらなる改善が期待できる利点があります。
それでは、一つずつ詳細を見ていきましょう。

メリット①人員不足に陥ることなく業務が安定化する

総務アウトソーシングを利用すれば、人員不足を防いで業務の安定化を図れます。

 

人員不足を新規雇用で解消しようとすると、教育の手間やコストがかかったり、少なからず引継ぎ時に混乱を招いたりと、安定した業務とは言いがたい状況になってしまいます。

 

しかし、総務アウトソーシングの活用によって、人員不足を解消できるのはもちろんのこと、教育の手間やコストも発生させないうえに、引継ぎ時の混乱も回避できるのです。
その結果、自社の担当者は、安定的に通常の業務に取り組むことが可能になります。

メリット②最適なコストで効率的な運用が可能になる

総務アウトソーシングであれば、繁忙期や閑散期における業務量の増減にも、最適なコストで効率的に対応できます。

 

人員の充足のために新たな人材を雇い入れると、その従業員の給与は当然のこと、社会保険料や福利厚生費が発生します。
しかし、業務を外注することで、それらの固定費が発生せず、雇用するケースと比べて大幅なコスト削減が可能です。

 

繁閑差における業務量や従業員の増減に左右されず、必要に応じて委託する業務量を調整できることで、最小限のコストで効率的な運用が実現するのです。

メリット③プロ目線から業務改善のアドバイスを受けられる

総務アウトソーシングを提供している企業のなかには、ただ仕事をこなすだけではなく、業務改善のアドバイスを行ってくれるところもあります。
総務業務に関するノウハウを熟知したスタッフから、的確な指導を受けられますので、自社のみの運用では得られない貴重な機会といえるでしょう。

総務アウトソーシングを利用するデメリット

業務の安定化や効率化、さらには改善も期待できる魅力的な総務アウトソーシングですが、利用するうえでは、以下のようなデメリットも存在します。

 

【総務アウトソーシングを利用するデメリット】

• 内製化に比べて業務の連携スピードが落ちる
• トラブル対応への柔軟性が欠ける
• 自社内に業務ノウハウが蓄積されない

ここから一つずつ詳しく紹介しますので、業務の外注をお考えの場合には、ぜひ参考にしてみてください。

デメリット①内製化に比べて業務の連携スピードが落ちる

外部の企業に業務を委託する場合、社内の従業員のみで行うときと比べて、どうしても連携スピードが落ちてしまいます。
そんなときは、常駐型であるオンサイトのサポートを受けることで、迅速な連携が可能になります。
スピードを落とさず業務を遂行したいときは、そちらの活用がおすすめです。

デメリット②トラブル対応への柔軟性が欠ける

総務アウトソーシングでは、トラブルが起きたときに柔軟に対応できない場合があります。

 

業務フローに記載されていない事態が起きたとき、外注先の業者では対応できず、その都度自社の従業員も問題の確認をしなければならないため、余計に手間がかかってしまいます。
特に導入初期に起こりがちな問題ですが、やり取りを重ねていき対応ノウハウが集まりさえすれば、徐々に柔軟な対応ができるようになるでしょう。

デメリット③社内に業務ノウハウが蓄積されない

総務アウトソーシングを利用すると、自社で業務ノウハウを蓄積しにくくなるというデメリットも発生します。
また、その業務について経験値のある人材を自社内で育てられないという懸念点もあります。

 

一時的に外注しているものの、将来的に内製化をお考えの企業様は、業務マニュアルや作業履歴などの共有を都度行い、業務ノウハウを積み上げておくことが大切です。

総務アウトソーシングを利用する際の注意点

総務アウトソーシングを利用する際に、特に注意したいのは下記の2つです。

 

【総務アウトソーシングを利用する際の注意点】

• 外注したい“課題”を明確にする
• 社内に情報共有が行える仕組みを構築する

こちらも以下で、一つずつ解説していきますので、しっかりと押さえておきましょう。

注意点①外注したい“課題”を明確にする

総務アウトソーシングに業務を委託する際は、自社の課題を洗い出し、依頼する目的を明確にすることが大切です。
課題や目的を明確にせず依頼すると、課題が解決しないまま、かえってコストだけが発生してしまうという事態になりかねません。

 

まずは、事前に課題を洗い出して、その解決につながるような業務を外注するところから始めてみるとよいでしょう。

注意点②社内に情報共有が行える仕組みを構築する

社内の情報共有の体制を整えることも、総務アウトソーシングを活用するうえでのポイントの一つです。

 

数値として成果が見えにくい事務業務や労務管理なども、外注先と密にコミュニケーションをとることで、業務の効率化やコストの削減につながるでしょう。
さらに、外注先とのやり取りで得た業務の過程や問題を、自社内で共有すればノウハウを蓄積することもできます。

総務アウトソーシングの活用により業務効率化に成功した事例

ここでは、総務アウトソーシングを活用したことで、業務の効率化に成功した企業様の事例を紹介します。

 

従業員数300名ほどの、サービス業のとある企業様では貸出業務や在庫管理業務、メール代行、問い合わせといった業務を総務部の従業員が担当制で行っていました。

 

しかし、その企業様の業務環境は、総務部内の担当者が誰なのかが、他部署の従業員へ明確になっていなかったのです。
その不明確な状態が原因となり、総務部に依頼するときに「誰が担当者かわからない」という時間的なロスが頻繁に発生していました。

 

そこで、その状況を打開しようと、総務アウトソーシングを活用して“総務カウンター”を設置し、常駐者を設けました。
その結果、他部署の従業員が、総務部への依頼時に費やしていた担当者を探す時間を、1ヶ月あたり約57時間も削減できたのです。

 

ほかにも、外注先に適切に業務を振り分けるために、業務内容を整理し可視化した結果、自社の事務担当者の業務時間を、1ヶ月あたり約35時間も削減することにも成功しています。

総務アウトソーシングサービスおすすめ4選

ここからは、総務アウトソーシングサービスを提供している企業を4社ご紹介します。
それぞれの特徴から、ぜひ自社に合ったサービスを選んでみてください。

CASTER BIZ Assistant

オンライン秘書のCASTER BIZ Assistantは、株式会社キャスターが運営するアウトソーシングサービスの一つです。
2024年10月時点で累計5,000社以上の利用実績を誇ります。

 

必要な業務を依頼するだけで、優秀なアシスタントが24時間365日対応してくれます。
月30時間からのプランのほか、お客様のニーズに沿ったカスタムプランも提供しています。

 

CASTER BIZ Assistantへ依頼できる、業務の一例と料金を以下にまとめました。

依頼可能な業務の一例と料金

料金	BASIC（6ヶ月プラン）：税込145,200円/月 LONG（12ヶ月プラン）：税込132,000円/月 CUSTOM：ご要望に沿って作成
秘書	アポイント調整
	メール対応
	予約手配
	資料作成
	リサーチ
事務	アポイント調整
	見積書・請求書作成
	データ入力・整理
	営業資料作成
	リサーチ
人事	求人票作成・更新
	応募者対応
	面談日程調整
	労務サポート
	勤怠管理サポート
経理	経理記帳
	請求書・領収書発行
	請求・支払処理
	売上・入金確認
	紙伝票データ化

ルーティン業務から専門領域まで、幅広い業務に対応していますので、総務の外注をお考えの企業様はぜひご相談ください。

HELP YOU

株式会社ニットが運営するのが、HELP YOUというアウトソーシングサービスです。
HELP YOUの特徴である“チームプラン”は、チーム制でお客様をサポートするため、万が一欠員が出ても業務が滞る心配はありません。

 

以下に、チームプランで対応可能な業務と料金をまとめました。

 

チームプランの主なサービス内容と料金

料金	月額：100,000円～/実働時間：30時間
総務業務	出張の手配
	スケジュール調整
	名刺作成
経理業務	入金管理
	支払業務
人事・採用業務	求人票の作成
	書類審査の管理
営業サポート事務	会議資料作成
	経費申請
マーケティング業務	SNS投稿
	メールマガジンの作成
ECサイト業務	売上管理
	商品管理
	サイト管理

チームプランのほかにも、スタッフが専属でサポートする“1名専属プラン”も提供しています。
自社に適したアウトソーシング会社をお探しの方は、一度ご相談されてはいかがでしょうか。

芙蓉アウトソーシング＆コンサルティング株式会社

芙蓉アウトソーシング＆コンサルティング株式会社は、総務や経理、人事をはじめとした管理部門の総合的なアウトソーシングが可能な代行業者です。
約30年の歴史と1,000社の実績があり、さまざまな業種や業務内容を安心して任せられます。

 

芙蓉アウトソーシング＆コンサルティング株式会社で対応できる、業務内容は以下の通りです。

 

主なサービス内容と料金

料金	要見積もり
総務	備品管理
	書類管理
	電話対応
	郵便物集配
	入退社対応
	請求書処理
	稟議・申請対応
	ヘルプデスク
経理	売上・売掛金管理
	仕入・購入・買掛金管理
	経費精算
	決算業務
人事	給与計算
	労務管理
	企業型確定拠出年金
庶務	慶弔対応
	出張・チケット手配
	イベントサポート
	書類電子化サポート

長年積み重ねてきたスキルとノウハウで、管理部門全体の質を向上させたい企業様におすすめのアウトソーシング会社です。

株式会社そうけいLab

株式会社そうけいLabでは、総務と経理の総合的なサポートが可能です。
行政調査やトラブルが発生した際も、グループ会社の国家資格保有者がすぐに対応してくれます。

 

以下、株式会社そうけいLabでサポート可能な業務内容と料金をまとめたものです。

料金	50,000円～/月 ※業務内容に応じてお見積もり
総務	総務に関する業務フローの再構築
	各種システムの設定・運用・保守
	勤怠管理、働き方改革に関する管理
	社員情報の管理・更新
	労働保険・社会保険の手続き
	給与・賞与の計算
	明細書の作成・配信
経理	経理に関する業務フローの再構築
	会計ソフト等の設定・運用・保守
	会計ソフト等への入力
	発生主義で月次部門別損益計算書を作成
	請求業務
	支払業務
	減価償却台帳の入力と管理

さまざまな業界や業種の対応ノウハウをもち、ITを活用してお客様に合わせた提案ができるのが特徴です。
時間と場所に縛られない業務環境の構築をお考えの企業様は、ぜひご検討ください。

総務の業務を外注する際は、課題の明確化と情報共有が大切

今回は、総務の業務を外注する際の注意点やメリット・デメリットを解説しました。

 

総務アウトソーシングは、人員不足を解消し、最適なコストで業務の安定化と効率化を図れるメリットがあります。
しかし、委託時に課題を明確にしないと、業務が改善に向かわないほか、かえって費用だけが発生してしまうという事態になりかねません。
そうならないために、課題の明確化とノウハウ蓄積のための情報共有が重要です。

 

株式会社キャスターでは、オンライン秘書のCASTER BIZ assistantというリモートアシスタントサービスを提供しています。
総務部門が担う、幅広い業務にご対応いたしますので、総務アウトソーシングの活用をお考えの経営者様はぜひお問い合わせください。