中小企業の人手不足倒産が過去最多!4つの類型と原因、今すぐできる5つの対策を解説

「求人を出しても応募が来ない」「従業員の退職で、これまで通りに仕事が回らなくなってきた」そんな危機感を抱えている中小企業の経営者は少なくありません。
帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」(2026年4月9日公表/2025年4月〜2026年3月の倒産を集計)によると、2025年度の人手不足倒産は441件と3年連続で過去最多を更新し、そのうち多くを従業員10人未満の小規模企業が占めています。
人手不足は、もはや一部の企業だけの問題ではなく、中小企業であればどこにでも起こりうる経営リスクになっています。
本記事では、次のポイントを解説します。
- 人手不足倒産の定義と4つの類型、最新の発生件数
- 中小企業が人手不足倒産に陥る3つの原因
- 倒産の前兆となる3つのサイン
- 人手不足倒産を防ぐ5つの対策(採用にこだわらない方法を含む)
自社の人材確保に課題を感じている経営者・管理部門の方はぜひ参考にしてください。
人手不足倒産とは?中小企業で急増する現状

人手不足倒産とは、求人難や従業員の退職、人件費の高騰など、人材を確保できないことが直接・間接の要因となって発生する倒産を指します。
売上や受注そのものは確保できているにもかかわらず、現場を動かす人手が足りずに事業継続が困難になるケースが多く、中小企業を中心に増加が続いています。
まずは、その定義と最新の発生状況を確認しましょう。
人手不足倒産の定義と4つの類型
帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」(2026年4月9日公表)では、人手不足倒産を主な要因別に「求人難型」「後継者難型」「従業員退職型」「人件費高騰型」の4つに分類しています。
- 求人難型:募集をかけても応募が集まらず、必要な人員を採用できない
- 後継者難型:経営者の高齢化や後継者不在により事業継続を断念する
- 従業員退職型:キーパーソンを含む従業員の退職で業務が回らなくなる
- 人件費高騰型:賃上げ競争についていけず収益が圧迫される
自社がどの類型に近いかを把握することが、対策を考える第一歩になります。
【最新データ】2025年度は441件で3年連続過去最多
帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」(2026年4月9日公表)によると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の人手不足倒産は441件発生しました。
前年度(350件)から約1.3倍に増加し、年度ベースで初めて400件を超え、3年連続で過去最多を更新しています。
東京商工リサーチ「2025年度(4-3月)の『人手不足』関連倒産動向」(2026年4月8日公表)でも442件(前年度比43.0%増)とほぼ同水準の結果が示されています。
なかでも深刻なのが、従業員や経営幹部の退職が引き金となる「従業員退職型」です。
同調査(帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」/2026年4月9日公表)の集計では118件となり、年度ベースで初めて100件を超え、4年連続で増加しました。
人手不足は、採用の問題だけでなく「今いる人材をいかに定着させるか」という課題としても重みを増しています。
年度別の推移を見ると、2023年度以降の増加ペースが際立ちます。
| 年度 | 人手不足倒産件数 | 前年度からの動き |
|---|---|---|
| 2022年度 | 146件 | — |
| 2023年度 | 313件 | 前年度から倍増し、当時の過去最多 |
| 2024年度 | 350件 | 2年連続で過去最多を更新 |
| 2025年度 | 441件 | 3年連続で過去最多、年度ベースで初の400件超 |
出典:帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査」(2023年度:2024年4月公表/2024年度:2025年4月4日公表/2025年度:2026年4月9日公表)をもとに作成
倒産企業の約8割は従業員10人未満の小規模企業
帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年)」(2026年1月8日公表/2025年1月〜12月を集計)では、人手不足倒産427件のうち77.0%にあたる329件が、従業員10人未満の小規模企業でした。
小規模企業は、従業員1人が退職しただけでも業務への影響が大きく、人手不足倒産に直結しやすい実態がうかがえます。
同調査の業種別では、いわゆる「2024年問題」の影響を受けた建設業が113件、物流・運輸業が52件と、いずれも過去最多を記録しました。
労働集約型の業種ほど、人手不足が経営を直撃しやすい構造になっています。
中小企業が人手不足倒産に陥る3つの原因
中小企業が人手不足倒産に陥る背景には、主に次の3つの原因が重なっています。
- 採用難:生産年齢人口の減少と採用競争の激化
- 人件費高騰:賃上げ対応で収益が圧迫される
- 従業員退職:属人化した業務が回らなくなる
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
採用難:生産年齢人口の減少と採用競争の激化
日本では生産年齢人口の減少が続いており、厚生労働省『令和7年版 労働経済の分析』(2025年9月公表)でも「労働力供給制約の下での持続的な経済成長に向けて」がテーマに掲げられ、人手不足への対応が労働市場全体の構造的な課題として位置づけられています。
労働力の絶対量が減るなかで、給与水準や知名度で大手企業に劣りやすい中小企業は、採用市場での競争においてどうしても不利な立場に置かれがちです。
求人を出しても応募が集まらない、応募があっても他社に流れてしまうといった声は多くの中小企業に共通しており、採用チャネルや訴求方法を見直すだけでは解決しきれない構造的な課題になりつつあります。
関連記事:深刻化する「人材不足」の原因と解消へのロードマップ【コア業務集中戦略】
人件費高騰:賃上げ対応で収益が圧迫される
東京商工リサーチ「2025年度(4-3月)の『人手不足』関連倒産動向」(2026年4月8日公表)では、2025年度の「人件費高騰」を理由とした倒産は195件(前年度比77.2%増)と、要因別で最も大きく増加しました。
物価高が続くなかで賃上げをしなければ人材が採れず、賃上げをすれば利益が圧迫されるという「賃上げ疲れ」とも呼べる構造に、多くの中小企業が直面しています。
特に、価格転嫁が遅れがちな業種では、賃上げ原資を確保できないまま人材流出が進み、経営がさらに悪化するという悪循環に陥りやすい点に注意が必要です。
従業員退職:属人化した業務が回らなくなる
特定の従業員に業務が集中し、その担当者しか進め方が分からない「属人化」が進んでいる企業では、キーパーソン1人の退職が事業継続に直結するリスクとなります。
帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」(2026年4月9日公表)でも、従業員退職型の倒産は2025年度に118件と過去最多を更新しており、退職が引き金となる倒産は決して珍しいものではなくなっています。
業務が特定の個人に依存している状態は、退職・休職・急な体調不良など、いつ・誰に起きてもおかしくない事態に対して極めて脆弱です。
人手不足倒産の前兆となる3つのサイン
人手不足倒産は、ある日突然訪れるわけではありません。
多くの場合、次のような予兆が事前に現れています。
- 残業や休日出勤が常態化し、従業員の負担が増え続けている
- 特定の従業員がいないと業務が止まってしまう状態が続いている
- 採用コストが年々膨らんでいるのに、なかなか採用に至らない
特に注意したいのは、こうしたサインは売上や利益が黒字であっても現れるという点です。
仕事はあるのに、それをこなす人手が確保できず事業が立ち行かなくなる「黒字倒産」は、人手不足倒産に特徴的なパターンといえます。
自社に思い当たる兆候がないか、早めに点検しておくことが重要です。
関連記事:残業削減はどう進める?効果的な方法7選と事例を紹介
中小企業が人手不足倒産を防ぐ5つの対策

人手不足倒産を防ぐには、原因に応じた対策を組み合わせて実行することが欠かせません。
ここでは、中小企業が今日から検討できる5つの対策を紹介します。
- 待遇改善・職場環境の整備で定着率を高める
- 採用手法を見直して母集団を広げる
- 業務の標準化・マニュアル化で属人化を解消する
- AI・デジタルツールで省人化を進める
- アウトソーシングで「採用せずに」人手を確保する
1.待遇改善・職場環境の整備で定着率を高める
賃上げだけに頼らず、柔軟な働き方の導入や育児休業の取得推進、納得感のある評価制度の整備など、総合的な処遇改善に取り組むことが、既存従業員の定着率向上につながります。
採用にコストをかけて新しい人材を迎え入れても、それ以上のペースで人が辞めてしまっては人手不足は解消しません。
まずは「なぜ辞めるのか」を丁寧に把握し、待遇面・環境面の両方から改善できる余地がないかを見直すことが、遠回りに見えて着実な人手不足対策につながります。
関連記事:中小企業が育休取得を推進するには?人員不足への対策も解説
2.採用手法を見直して母集団を広げる
求人媒体への掲載だけに頼るのではなく、社員紹介(リファラル採用)、企業側から直接アプローチするダイレクトリクルーティング、短時間・単発で働けるスポットワークの活用など、採用チャネルを多様化することで応募の母集団を広げられます。
採用業務そのものに割ける人手が不足している場合は、採用代行サービスを活用し、母集団形成から選考対応までを外部の専門チームに任せるという選択肢も有効です。
関連記事:採用業務はどこまで外注できる?依頼する際の注意点を解説!
3.業務の標準化・マニュアル化で属人化を解消する
特定の担当者しか分からない業務が多いほど、退職や休職のたびに事業運営が揺らぎやすくなります。
業務内容を洗い出し、手順をマニュアル化・標準化しておけば、担当者が変わっても一定の品質で業務を引き継げる体制を作れます。
属人化の解消は、退職リスクへの備えになるだけでなく、新しく入った人材の早期戦力化にもつながります。
人手不足が続く時代だからこそ、限られた人数で業務を回せる仕組みづくりが欠かせません。
4.AI・デジタルツールで省人化を進める
生成AIや、定型的なパソコン操作を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用して業務を自動化すれば、限られた人員でもこれまでと同じ、あるいはそれ以上の業務量をこなせるようになります。
帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(2026年3月17日〜31日実施・有効回答1万312社/2026年5月14日公表)では、生成AIを業務で「活用している」企業は全体の34.5%にのぼる一方、中小企業では32.4%、従業員5人以下の企業では29.6%にとどまっており、企業規模による活用状況の差も見られます。
ただし、ツールを導入するだけでは効果は出ません。
導入・運用を設計できる人材が社内にいなければ定着しないため、「ツールを入れて終わり」にしない体制づくりが重要です。
関連記事:【2026年最新】中小企業のAI活用術!活用例や実務への取り入れ方を解説
5.アウトソーシングで「採用せずに」人手を確保する
採用が難しい時代には、雇用にこだわらずに人手を確保するという発想も選択肢になります。
オンラインアシスタントサービスを活用すれば、必要な業務だけを切り出して外部の即戦力チームに委託でき、自社で採用や教育にかかるコストを抑えられます。
委託先でも担当者の交代や引き継ぎは起こりえますが、個人ではなくチーム体制で対応するサービスであれば、社内の担当者1人に業務が集中している場合に比べて、退職時の影響を小さく抑えやすい点も特徴です。
実際に、クラウド会計ソフト「freee」を展開するfreee株式会社では、新規事業「freeeカード」を1人体制で立ち上げる際にCASTER BIZ assistantを導入し、調査や集計作業、Webプロモーションに関わる業務を委託しました。
事業戦略の立案など専任者にしかできない業務に集中しながら周辺業務は外部に任せることで、ゼロから採用・教育するよりも早く、少人数体制のまま事業を軌道に乗せる動きを実現しています。
どの業務から任せるべきか迷う場合は、リサーチや集計、資料作成など「発生頻度は高いが専門性を問わない業務」から切り出すのが着手しやすいポイントです。
関連記事:オンラインアシスタントとは?対応する業務内容や選び方、サービスを解説
人手不足を「採用なし」で乗り越えた企業事例:CASTER BIZ assistantの活用法
ここまで紹介してきた対策のなかでも、「採用せずに人手を確保する」という発想は、採用市場そのものが厳しい今の時代において特に有効な選択肢です。
ここでは、リモートアシスタントサービス「CASTER BIZ assistant」を活用し、新規雇用を増やさずに事業成長や業務改善を実現した企業の事例を紹介します。
新規雇用なしで少数精鋭のまま事業成長:ベースフード株式会社
完全栄養食「BASE PASTA」「BASE BREAD」を展開するベースフード株式会社は、創業当初から少数精鋭の組織づくりを目指し、CASTER BIZ assistantを導入しました。
RPAロボットやSlackと組み合わせることで、定期的に発生するレポート作成や発注業務、FAX対応などを人の手を介さず自動的に完結する仕組みを構築。
新規雇用で正社員を増やすのではなくCASTER BIZ assistantを導入し、リサーチや発注代行などの各種雑務を委託したことで、事業が急成長するなかでも社員19名という少数精鋭体制のまま大幅な売上規模拡大を実現しています。
・参照事例: ベースフード株式会社 オンラインアシスタント事例
「採用して人を増やす」以外の方法で、業務量の増加に対応した好例といえます。
営業リソースを確保し、商談数と売上を伸ばしたTVer
動画配信サービス「TVer」の営業部門では、4名体制のなかで月末月初に発生する請求データの突合業務に毎月約20時間もの工数がかかり、担当者が営業活動に専念できないことが課題となっていました。
CASTER BIZ assistantに請求データ突合や資料作成などのバックオフィス業務を任せたことで、営業メンバーが本来の提案・営業活動に専念できる環境を構築。
商談数を大幅に増やし、売上倍増という定量的な成果を達成しました。
・参照事例: 株式会社TVer オンラインアシスタント事例
誰が担当してもスムーズに業務が回る体制へ:三井不動産株式会社
三井不動産株式会社のベンチャー共創事業部では、スタートアップ投資の経験者が社内に少なく、「いつ誰が入ってきてもスムーズに業務にあたれる仕組み」を整える必要がありました。
営業Kintone運用やデータ処理の属人化を防ぐため、CASTER BIZ assistantを活用してマニュアル作成サポートやデータ代行を実施。
特定の担当者に依存しない業務体制を構築し、属人化解消とリモートワーク推進を同時に実現しました。
・参照事例: 三井不動産株式会社 オンラインアシスタント事例
従業員の異動や退職があっても業務が滞りにくい体制は、人手不足倒産の大きな要因である「従業員退職型」への備えとしても参考になる考え方です。
このように、CASTER BIZ assistantは秘書・経理・総務・Web運用など幅広い業務に対応しており、採用が難しい状況でも、必要な業務量に応じて柔軟に体制を整えられる点が特徴です。
人手不足による事業停滞や黒字倒産のリスクを避けるための一つの選択肢として、検討してみる価値があります。
まとめ:人手不足倒産は「雇用にこだわらない」対策で防ごう
人手不足倒産は、業績が黒字であっても起こりうる、中小企業にとって身近な経営リスクです。
帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」(2026年4月9日公表)でも、2025年度の人手不足倒産は441件と3年連続で過去最多を更新しており、同社の2025年(暦年)集計(2026年1月8日公表)では、その77.0%を従業員10人未満の小規模企業が占めています。
待遇改善や採用手法の見直し、業務の標準化・マニュアル化、AI・デジタルツールの活用といった対策に加えて、「採用せずに人手を確保する」という発想を選択肢に加えることも、これからの人材戦略には欠かせません。
自社のリソースだけで抱え込まず、必要な業務を柔軟に外部委託できる体制を整えておくことが、人手不足倒産を防ぐ現実的な備えの一つになります。
CASTER BIZ assistantでは、経理・総務・秘書・Web運用など幅広い業務を、必要な分だけリモートチームに任せられます。
「採用が追いつかない」「今いる人手だけでは限界」と感じたときの選択肢として、ぜひ検討してみてください。