人手不足の原因と解決策|中小企業が取り組める4つの対策

「求人を出しても応募が来ない」「1人辞めると現場が回らない」。人手不足には、採用市場の変化と、社内の働き方や業務配分の両方が関わります。
本記事では原因と影響を整理し、「採用する・定着を支える・業務を減らす・外部に任せる」の4つの対策、支援制度、着手の順番を紹介します。
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人手不足とは?人数・スキル・時間から確認する

人手不足は、事業を進めるための働き手が足りない状態です。「人材不足」は必要なスキルを持つ人の不足、「人員不足」は部署や時間帯での人数不足を強調して使われることがありますが、厳密に区別される言葉ではありません。
自社では人数・スキル・稼働時間のどれが不足しているかを確認しましょう。
回答企業の51.3%が正社員不足
帝国データバンクの2026年7月調査では、有効回答10,518社のうち正社員が不足していると回答した企業が51.3%、非正社員が不足している企業が28.8%でした。
回答企業における割合であり、国内企業全体の確定値ではありません。業種や地域、職種による違いも踏まえて見る必要があります。
将来推計を業務量の見直しに生かす
パーソル総合研究所・中央大学の労働市場の未来推計2035は、2035年に1日あたり1,775万時間、働き手換算で384万人分の労働力が不足すると推計しています。
2024年公表の条件付き予測であり、経済成長や実質賃金などによって結果は変わります。人数だけでなく、必要な労働時間と業務量を見直す視点が役立ちます。
人手不足が経営に及ぼす影響
帝国データバンクの2025年度調査では、人手不足を要因とする倒産が441件でした。集計対象は負債1,000万円以上の法的整理です。
建設業112件、道路貨物運送業55件などが含まれ、従業員や経営幹部の退職を原因とする倒産は118件となっています。
人手不足は、受注制約や人件費の上昇、技能継承の難しさを通じて経営にも影響します。赤字と人手不足が重なる場合もあり、どちらか一方だけの問題とは限りません。
関連記事:【人件費削減の教科書】経営者が知るべきコスト削減の具体策と成功事例
人手不足の原因を6つの視点で整理

原因を整理する視点は6つあります。①生産年齢人口の減少や高齢化、②求める条件と応募者の希望のずれ、③離職と残った人への負担集中、④採用競争と費用、⑤技能継承や属人化、⑥労働時間や就業調整への対応です。
社外の変化を把握しながら、自社で改善できる条件や業務配分を具体化します。
人口動態と労働条件のミスマッチ
会社と求職者の間で採用のミスマッチが生じた結果、人手の確保が難航しているケースも多くあります。必要なスキル、資格、労働条件などの折り合いがつかず、採用に至らなかったり、採用しても定着しなかったりするケースが散見されます。
賃金、勤務時間、勤務地、必要な経験などの条件が応募者の希望と合わないと、採用しにくくなります。地域の求人と比べ、業務上必要な条件と見直せる条件を分けましょう。
短時間勤務や柔軟なシフトなども、業務が対応できる範囲で検討します。
離職と採用競争
退職者の業務を残った社員が引き受け、その負担が次の離職につながる場合があります。例えば食品製造業の株式会社宗近(11〜100人規模)では、長年勤めた事務スタッフの退職に伴い、受発注や振込登録、労務管理等のバックオフィス業務を外部委託しました。
属人化を解消し家族や現場の負担を大幅に軽減させた結果、売上が5年で約2.3倍に成長する体制を構築しています。
・参照事例: 創業1947年、福井の製麺所が“変わらない味”を守るために変えたこと。仕組みで支える新しい家業のかたち | キャスタービズオンラインアシスタント
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技能継承と働き方への対応
特定の担当者しか手順を知らないと、不在や退職の際に業務が止まりやすくなります。また、労働時間の規制や社会保険等の制度を踏まえて勤務を調整する必要があります。
制度を人手不足の唯一の原因とせず、実際の勤務時間、作業方法、配置に無理がないかを見直しましょう。
関連記事:残業削減はどう進める?効果的な方法7選と事例を紹介
人手不足を放置するリスク

人手不足が長引くと、残業やミスが増え、さらに離職が起こる循環に陥るおそれがあります。受注を断る、営業時間を短くするといった影響も考えられます。
すべての会社が同じ経過をたどるわけではありませんが、欠員の影響を数字と現場の声で把握しておくことが重要です。
残業や負担が集中する
欠員を残業や休日出勤だけで補い続けると、疲労や休暇の取りにくさが積み重なる場合があります。増員の検討と並行して、優先度の低い業務の延期、分担の見直し、応援体制の確保を進めましょう。
受注やサービス品質に影響する
人手不足による損失は、残業代だけでなく、断った受注や対応できなかった問い合わせにも表れます。受注を断った件数、納期遅延、時間外労働、ミスの修正時間を記録し、どの業務の不足を先に解消すべきか判断します。
関連記事:生産性向上を実現する具体的な方法と成功へのロードマップ
業種別の不足感を確認する

不足感は、正社員と非正社員でも異なります。先述の帝国データバンクの2026年7月調査では、次の業種が高い割合を示しています。
異なる調査の数値を混ぜた総合ランキングではありません。
|
調査の区分 |
不足していると回答した割合 |
|---|---|
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正社員 |
金融67.1%、建設66.0%、運輸・倉庫65.6% |
|
非正社員 |
飲食店57.7% |
業種名だけで対策を決めず、必要な資格、勤務時間帯、繁忙期、事務負担などを確認します。建設業の事務支援については建設業向けBPOサービスも参考になります。
業種の特徴に合わせて原因を点検する
業種を4つのタイプに分けると、業務の特徴を確認しやすくなります。以下は点検の視点であり、原因が一つに決まるわけではありません。
店舗型(小売・飲食・宿泊など):早朝・夜間や休日のシフト、来店数による繁閑差、短時間勤務との組み合わせ。
現場型(建設・製造・運送など):必要な資格や技能、作業の安全性、移動・待機時間、工程の偏り。
一次産業(農業・漁業・林業など):季節や天候による繁忙の変化、作業地域、技能継承。
対人サービス型(介護・保育・医療など):資格や配置の要件、対人業務に付随する記録・連絡・請求などの事務。
現場で必要な資格や配置要件は守りながら、事務や準備作業を分けられるかを検討します。外部活用の事例は後半で紹介します。
人手不足を解決する4つの対策
対策は、①採用の間口を広げる、②働き続けられる環境を整える、③業務量を減らす、④社外に任せる、の4つです。
採用人数を増やすことと、今いる人が働きやすくなることを一緒に考えましょう。
着手する順番は、欠員の緊急性、従業員の負担、業務上必要な資格や人数によって変わります。安全や法令上必要な配置の確保を優先しながら、業務改善と採用・定着策を並行して進めます。
アウトソーシングの種類と活用方法も選択肢を整理する際に参考になります。
1.採用の間口を広げる
求人媒体に加え、社員紹介、ハローワーク、採用サイトなど、職種に合う採用経路を検討します。経験・勤務時間の条件を見直し、育成できる業務と入社時に必要なスキルを分けましょう。
年齢や家族状況に一律の役割を当てはめず、本人の希望と能力に合わせて仕事内容を設計します。外国人を採用する場合は、在留資格や就労可能な業務の確認も必要です。
人材採用に力を入れて優秀な人材を確保すれば、人手不足の解消にもなります。自社に必要な人材を確保するには、自社が求める人物像や自社の魅力などを求職者へ正確に伝える必要があります。
2.定着を支える
定着を支えるには、評価・待遇への納得感、働き方、上司との対話を確認します。賃金水準だけでなく、仕事の配分やキャリアの希望、相談しやすさも点検しましょう。
制度を設けた後は、利用できているかを確認する必要があります。
人手不足に歯止めをかけるには、離職防止策も重要です。離職の要因を探り、必要な対策を講じましょう。たとえば、従業員同士のつながりを深めたり、キャリア形成をサポートしたりする対策が考えられます。
入社直後は定期的に面談し、期待していた仕事内容とのずれや困りごとを確認します。部署別・入社時期別の離職状況を見ながら、研修、業務配分、管理職の支援方法を見直します。
社内の仕事量と分担を見直す
社内の業務を見直し、不要な業務がないか確認しましょう。「ムリ」「ムダ」「ムラ」を省き、業務効率化を図ることが大切です。
具体的には、現在の業務フローを可視化したうえで、改善すべき箇所や方法を決めて実践してください。
関連記事:業務改善の方法と進め方
3.不要な業務を減らし、自動化する
業務名、頻度、所要時間、担当者を記録し、月次・年次業務も含めて棚卸しします。「やめる・減らす・自動化する・任せる」に分け、不要な会議や二重入力から見直しましょう。
自動化では、例外への対応、情報管理、AI出力の確認も設計します。削減時間の金額換算と、実際に減る支出は区別し、空いた時間の使い道まで決めます。
関連記事:【経営戦略】成長を阻害する「業務のムダ」をコスト視点で洗い出す手法
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4.外部に任せる

社内で担う必要がない業務は、外部の専門性を活用する方法があります。
経理入力、請求書発行、採用事務、資料作成などが候補です。例えばIT業界の株式会社ソウルドアウト(101〜500人規模)では、月初に集中していた請求書発行業務(全体業務の50〜60%)を10名体制・120時間分アウトソースすることで完全に吸収し、営業担当が本来注力すべきコア業務に専念できる環境を実現しました。
・参照事例: 「月初3営業日」の壁を越える。貸与パソコン運用で実現した請求書発行の安定化 | キャスタービズオンラインアシスタント
業務委託では受託側が業務を管理し、派遣では派遣先が指揮命令するという違いにも注意が必要です。
関連記事:コア業務とノンコア業務の違いとは?分類の仕方を解説
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人手不足対策に使える4つの支援制度
中小企業が使える代表的な4制度です。
(1)キャリアアップ助成金:有期雇用労働者等の正社員化や処遇改善を支援する制度です。コースごとに対象者、取組、申請時期が異なり、原則として取組の前に計画の提出が必要です。
(2)業務改善助成金:事業場内最低賃金の引上げと、生産性向上につながる設備投資等を組み合わせて支援する制度です。
令和8年度の上限は条件により最大600万円です。地域ごとの申請期限があり、2026年10月21日時点ですでに期限を過ぎた地域もあります。
(3)デジタル化・AI導入補助金2026:業務ソフトやクラウドサービス等の導入を支援する制度です。対象となるツール、申請枠、登録された支援事業者、交付決定前に契約できるかなどを公募要領で確認します。
(4)中小企業省力化投資補助金:省力化投資を支援する制度で、カタログ注文型と一般型があります。目的や設備に合う類型を選び、対象経費、賃上げ等の要件、公募期間を確認します。
いずれも要件は年度で変わるため、公式サイトで最新の公募要領を確認してください。申請代行の選び方は、以下の記事も参考になります。
関連記事:補助金申請代行の厳選13選!メリットと選び方を徹底解説
まず30日で始める対策の例

次の30日間の進め方は一例です。緊急の欠員や過重労働への対応を先送りせず、採用と負担の軽減を並行して進めます。
第1〜7日:現状を数字にする 欠員ポジションの数、時間外労働の総時間、直近1年の離職者数と離職率、断った受注の件数を1枚にまとめます。
第8〜14日:業務を棚卸しする 全員の業務を洗い出し、「やめる/減らす/自動化する/任せる」に仕分けます。
第15〜21日:すぐ効く削減を実行する 廃止できる会議や帳票をなくし、外部に任せる業務を1つ決めて見積もりを取ります。
第22〜30日:試した対策を振り返る。負担が減ったか、品質を保てたかを確認します。求人条件と定着施策も見直し、利用できる支援制度は実施・発注前に申請条件を確認します。
期間を区切って進めることで、調査だけで止まらず、小さな対策を試せます。業務改善の手順は業務改善の方法と進め方を参考にしてください。
採用・定着策も継続し、短期の負担軽減と中長期の体制づくりを合わせて評価します。
オンラインアシスタントで事務を切り出す

CASTER BIZ assistantは、秘書・事務・経理などの業務をオンラインで支援するサービスです。
BASICプランは月30時間で、12か月契約が月額120,000円(税抜)・132,000円(税込)、6か月契約が月額132,000円(税抜)・145,200円(税込)です。
業務量に応じて設計するCUSTOMプランもあります。
対応範囲や稼働時間の数え方は、依頼内容を整理して相談しましょう。CASTER BIZ assistantの料金プランとCASTER BIZ assistantのサービス内容で条件を確認できます。
公開事例から、事務を切り出す方法を3つ紹介します。各社の取り組みと結果であり、同じ効果を保証するものではありません。
医療法人社団帰陽会では、会計入力や資料作成補助などを委託しました。退職した役職者2名分、合計月310時間の作業負担を、外部活用と業務の効率化・見直しによって内部補充なしでカバーした事例です。
保育の現場:保育施設を運営する特定非営利活動法人こどもコミュニティケアでは、経理の補助や手書き資料のデータ化などを任せました。
同法人の保育士の方は、時期によっては21時の帰宅になることもあったものの、取材時には閉園30分後の19時に帰宅できていると話しています。
医療法人愛ランド|デジタル化後に残る事務を切り出す
離島のクリニックである医療法人愛ランド(1〜10人規模)では、院長の業務負担が大きく、地方ゆえにマルチ対応できる事務人材の採用も困難でした。
そこで仕訳登録、シフト作成、リサーチ、ポスター制作等を外部へ切り出した結果、従業員数が14名から9名に減少した状況でも診療患者数は増加傾向となり、少人数で効率的に医療を提供する体制を実現しています。
・参照事例: 石垣島の医療現場DX——CASTER BIZで、医療現場の人手不足・人材流出に負けない体制づくり | キャスタービズオンラインアシスタント
ほかのオンラインアシスタントと比較して検討したい場合は、オンラインアシスタント比較30選も参考にしてください。
自社の不足を見える化し、対策を組み合わせる
多くの業界や会社で人手不足が問題になっています。しかし、さまざまな解決方法があるため、自社の状況に応じて取り入れることが大切です。
新しい人材の確保やITツールの導入も効果的ですが、業務の一部をアウトソーシングする方法もあります。