間接部門の業務一覧|アウトソーシングできる業務と切り出しの手順を解説

「どの業務なら外に出せるのか、線引きが分からない」「外注を検討したいが、まず何から手をつければいいのか」――このような段階にいる管理部門の担当者や経営者の方に向けた記事です。
アウトソーシングの定義やメリット・デメリット、人材派遣との違いは「業務のアウトソーシングとは?派遣や外注との違い・種類・メリットやデメリットを解説」をご覧いただき、
本記事では部門別の業務洗い出しから判断基準、法律上出せない業務、切り出しの5ステップ、依頼先の使い分け、よくある失敗までを解説します。
間接部門の業務を部門別に洗い出す
間接部門にどのような業務があるかを部門別に洗い出します。
同じ業務でも発生頻度や判断の有無によって外に出しやすさは異なるため、以下の表を参考に自社の業務を当てはめてみてください。
| 部門 | 業務名 | 発生頻度 | 判断の有無 | 外に出しやすさ |
|---|---|---|---|---|
| 総務 | 備品管理・契約書管理・来客対応 | 高い | 少ない | 高い |
| 人事・労務 | 入退社手続き・勤怠集計 | 中程度 | 一部あり | 中程度 |
| 経理 | 請求書発行・支払処理 | 月次で波あり | 一部あり | 中程度 |
| 情報システム | アカウント発行・一次問い合わせ | 中程度 | 権限による | 業務による |
| 部門横断 | データ入力・資料作成・議事録 | 高い | ほぼなし | 高い |
総務|備品管理、契約書管理、社内問い合わせ、来客・郵便
総務は、備品管理、契約書管理、問い合わせ対応、来客・郵便対応など、一件あたりの所要時間は短いものの発生頻度が高い業務が中心です。
担当者が決まっていない「誰の仕事でもない業務」が最も溜まりやすい領域で、判断を伴う場面も少なく外に出しやすい業務が多いのが特徴です。
詳しくは「総務アウトソーシングとは?代行可能業務やおすすめサービスを徹底解説」をご覧ください。
人事・労務|入退社手続き、勤怠集計、社内アナウンス
人事・労務は、入退社手続き、勤怠集計、社内アナウンスといった定型手続きと個人情報を扱う業務が混在する領域です。
社会保険手続きの代理提出には法律上の制約があり、後段の「法律上、外に出せない業務がある」で扱います。
まずは定型的なデータ入力・集計と、有資格者でなければ行えない提出代行を分けて考えることが出発点です。
詳しくは【2026年版】人事労務アウトソーシングサービス10選!費用相場・選ぶポイントもご覧ください。
経理|請求書発行、支払処理、経費チェック
経理は、請求書発行、支払処理、経費チェックなど月次で業務量に波があるのが特徴です。
証憑(請求書や領収書などの証拠書類)の受け渡し方法をどう設計するかが論点になります。
税務申告や税務書類の作成は税理士の独占業務のため委託できませんが、その前後にある請求受発注データの突合や経理処理などの周辺業務は委託可能です。
実際に株式会社TVer様では、営業メンバーが月20時間費やしていた請求データの突合や資料作成などの事務業務を切り出したことで、商談数増加と売上倍増を実現しています。
・参照事例: 株式会社TVer様|オンラインアシスタント導入事例
経理特化の情報は、経理業務に特化した専門サイトをご覧ください。
情報システム|アカウント発行、資産管理、一次問い合わせ
情報システムは、アカウントの発行・停止、PCやライセンスの資産管理、一次問い合わせ対応などが中心です。
権限の付与範囲が広い業務ほど社内に残すべき度合いが高くなるため、「どこまでの権限を渡すか」が外注可否を分ける最大のポイントです。
まずは権限が不要な定型作業から検討するとよいでしょう。
部門横断|資料作成、データ入力、集計、日程調整、議事録
部門横断の業務には、資料作成、データ入力、集計、日程調整、議事録作成などがあります。
特定の部門の担当と決まっておらず、手が空いている人が引き受けているケースが多く、間接部門全体の負荷が読めなくなる主因になりがちです。
一方で担当が固定されていない分、切り出しへの社内の抵抗も少なく、最も外に出しやすい領域です。
例えばソルドアウト株式会社様では、全国拠点の営業サポートに伴う提案資料の集計・整形工数を外部へ切り出したことで、営業メンバーの提案数を大幅に拡大させることに成功しています。
・参照事例: ソルドアウト株式会社様|オンラインアシスタント導入事例
外に出せる業務・出せない業務の判断基準

業務を洗い出したら、実際に外に出せるかを判断します。
ここでは4つの判断軸を提示するので、前章の業務一覧に一つずつ当てはめてみてください。
コア業務とノンコア業務の切り分け方はこちらの記事でも解説しています。
判断軸①:意思決定を伴うか
1つ目は、意思決定を伴うかどうかです。
承認、金額や条件の決定、対外的な最終確認といった意思決定そのものは社内に残すべき業務です。
一方で、そのために情報を集めたり選択肢を整理したりする「作業」の部分は切り出せる可能性があります。
作業と判断を分けて考えることが重要です。
判断軸②:社外に出せない情報か
2つ目は、社外に出せない情報かどうかです。
未公表の経営情報、人事評価、機微な個人情報を扱う業務は慎重な判断が必要です。
NDA(秘密保持契約)を締結していれば安心と考えるのではなく、その情報を実際に誰が閲覧するのか、範囲がどこまで限定されているのかまで確認することが重要です。
判断軸③:手順書にできるか
3つ目は、手順書にできるかどうかです。
手順が言語化できない業務は、そのままでは他者に渡せません。
逆に言えば、手順を言語化する作業自体が外注の準備になります。
手順書がまだない業務は、まず自社の業務プロセスを標準化するところから着手しましょう。
進め方は効率的な業務標準化の進め方 | 成功事例も紹介で解説しています。
判断軸④:発生量が読めるか
4つ目は、発生量が読めるかどうかです。
月次で一定量が発生する業務は、外注した際のコストメリットが試算しやすく、依頼先も業務量を見積もりやすくなります。
反対に突発的で量が読めない業務は、個別に依頼先を探すより、まとめて相談できる窓口型サービスに依頼するほうが向いています。
法律上、外に出せない業務がある
業務を外に出す際、見落とされがちなのが「法律上、そもそも外部に委託できない業務がある」という点です。
以下の3つは、それぞれの資格者法で有資格者の独占業務と定められており、原則として資格を持たない事業者が報酬を得て業として行うことはできません。
ただし各法の制限規定にはただし書きがあり、他の法律に別段の定めがある場合など限られた例外は認められています。
- 社会保険・労働保険の書類作成と提出代行=社会保険労務士法上の独占業務(同法第2条第1項第1号・第1号の2、第27条)
- 税務代理、税務書類の作成、税務相談=税理士法上の独占業務(同法第2条第1項、第52条)
- 登記申請=司法書士法上の独占業務(同法第3条第1項第1号・第2号、第73条第1項)
ただし、独占業務そのものは委託できなくても、その前後にあるデータ整理・集計・突合・入力などの周辺業務は委託可能です。
実際に株式会社ランサーズ様は、請求受発注データの突合や入稿作業を外部委託し、月あたり数十時間の工数削減につなげています。
株式会社メルカリ様も、経理処理や慶弔手続きなどの雑務を委託し、社員がコア業務に集中できる体制を整えています。
個人情報や機密情報を扱う業務の切り出しでは、委託先のセキュリティ体制も要確認です。
年間100人規模の採用・組織拡大を推進する株式会社ユーザベース様は、ISMS認証を満たす高セキュリティな体制のもとでバックオフィス運用を維持し、安全かつスピーディな組織成長を実現しています。
・参照事例: 株式会社ユーザベース様|オンラインアシスタント導入事例
もう一点、偽装請負にも注意が必要です。
業務委託である以上、発注側が受託側スタッフへ直接的・日常的な指揮命令を行うと、契約形態と実態が食い違い問題になり得ます。
なお本記事は一般的な整理であり、個別業務の可否判断に迷う場合は社会保険労務士や税理士など専門家への確認をおすすめします。
切り出しの手順(5ステップ)

判断基準を理解したら、実際に業務を切り出す手順に移ります。
ここでは5つのステップに分けて解説します。
この5ステップが、読者が本記事から持ち帰る実務上の手順になります。
①1週間分の業務を書き出す
まず1週間分の業務をすべて書き出します。
記憶を頼りにせず、実際の1週間で発生した作業を記録することがポイントです。
メールやチャットの依頼だけでなく、口頭で頼まれた細かな作業もすべて拾い出しておきましょう。
②時間と発生頻度を記録する
次に、各業務の所要時間と発生頻度を記録します。
1件あたりの所要時間に月間の発生件数を掛け合わせれば月間工数が算出でき、外注した場合の削減時間を具体的に試算できるようになります。
③判断基準に当てはめて仕分ける
算出した工数をもとに、前章で示した4つの判断基準と法律上の制約を当てはめ、業務を「社内に残す」「外に出す」「自動化する」の3つに仕分けます。
この段階で、外に出せる業務と社内に残すべき業務の境界線が見えてきます。
判断に迷う場合は、こちらの記事も参考にしてください。
④手順書を作る
外に出す業務が決まったら、その業務だけ手順書を作成します。
最初から完璧を目指す必要はなく、初回の依頼時に依頼先と一緒に整備していく前提で始めて問題ありません。
手順書作成の代行サービスもあるため、リソースが割けない場合は活用を検討してもよいでしょう。
⑤小さく1業務から渡す
最後に、いきなり全業務を渡すのではなく、量がまとまっていて手順が固まっている業務を1つだけ選んで依頼します。
レスポンスの速さや成果物の品質を確認したうえで、問題がなければ徐々に範囲を広げていきます。
依頼先の種類と使い分け
業務の切り出しが決まったら、どこに依頼するかを検討します。
ここでは依頼先の定義そのものの解説は行わず、間接部門の業務に依頼先を当てはめる観点で整理します。
派遣/BPO/オンラインアシスタント/フリーランス
依頼先には、派遣、BPO、オンラインアシスタント、フリーランスといった種類があります。
それぞれの違いを以下の表にまとめました。
| 依頼先 | 契約形態 | 指揮命令 | 業務範囲の決め方 | 費用の考え方 | 向いている業務量 |
|---|---|---|---|---|---|
| 派遣 | 労働者派遣契約 | 発注側が可能 | 都度指示できる | 時間単価 | 継続的にまとまった量 |
| BPO | 業務委託契約 | 受託側が保持 | 事前に範囲を決める | プロセス単位 | 業務プロセス全体 |
| オンラインアシスタント | 業務委託契約 | 受託側が保持 | 依頼ごとに調整可能 | 月額プラン制が中心 | 細かく多岐にわたる業務 |
| フリーランス | 業務委託契約 | 受託側が保持 | 個別に相談 | 案件単価 | 専門性の高い単発業務 |
派遣と業務委託(請負)で指揮命令の所在が分かれる根拠は、労働者派遣法と、いわゆる37号告示(「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」昭和61年労働省告示第37号、最終改正 平成24年厚生労働省告示第518号)です。
具体的な判断例は厚生労働省の資料(37号告示と、その疑義応答集 第1集〜第3集を掲載)にも整理されています。
詳しい違いは人材派遣との違い、アウトソーシングの基礎、AIを活用したBPOをご確認ください。
間接部門の「細かく雑多な業務」に向くのはどれか
間接部門の業務は、1件あたりは小さくても種類が多く、複数の部門にまたがります。
このような業務は依頼先の窓口を分けると、かえって管理コストが増えてしまいます。
そのため、複数領域をまとめて1つの窓口に依頼できるオンラインアシスタント型が向いています。
たとえばCASTER BIZ assistantは、秘書・事務・人事・経理サポート・翻訳・制作といった領域を1契約でカバーし、チーム体制で対応します(サービス利用は月30時間から)。
AIの運用ごと任せたい場合は、別サービスのCASTER NEO Assistantもあります。
よくある失敗
最後に、業務の切り出しでよくある失敗を紹介します。
ここまでの手順を踏んでいても、以下のような進め方をすると期待した効果が得られないことがあります。
手順書がないまま丸投げする
1つ目は、手順書がないまま丸投げしてしまうケースです。
手順が渡っていないため確認の連絡が増え、依頼した側の工数がかえって増えます。
切り出し手順の④「手順書を作る」を省略した場合に起きやすい失敗です。
窓口を決めずに複数人が指示を出す
2つ目は、社内の窓口を決めずに複数人が個別に指示を出してしまうケースです。
指示が重複・矛盾し、依頼先側で優先順位が崩れます。
社内の窓口を1人に決めておくことが前提条件になります。
いきなり全業務を渡す
3つ目は、立ち上げ段階でいきなり全業務を渡してしまうケースです。
依頼先が業務に慣れるまで時間がかかり、複数業務で同時に品質のばらつきが発生します。
切り出し手順⑤のとおり、1つの業務から始めることが失敗を避けるポイントです。
まとめ|まず1週間分を書き出すところから
本記事では、間接部門の業務を外に出すための実務手順を解説しました。
ポイントは3つです。
1つ目は業務を部門別・部門横断の両方で洗い出すこと。
2つ目は4つの判断軸と法律上の制約を踏まえて仕分けること。
3つ目は手順書を作ったうえで1つの業務から渡してみることです。
まずは自社の1週間分の業務を書き出すところから始めてみてください。