間接部門はいらない?そう言われる理由と、抱えずに機能させる方法

「間接部門のコストが重い。本当にこの人数が必要なのか」 「うちの仕事は不要だと思われているのだろうか」
このキーワードで検索する読者は、大きく2種類に分かれます。
コストを見ている経営者・事業部門側と、間接部門の当事者側です。
本記事は主に前者に向けて書きますが、当事者を否定する内容にはしません。
結論を先にお伝えすると、「いらないのではなく、抱え方の問題」です。
この記事では、①いらないと言われる理由、②データで見た実態、③本当に無くせるのか、④無くそうとして失敗するパターン、⑤AIで代替できるのか、⑥持たないという第三の選択肢、という流れで解説していきます。
読み終える頃には、自社にとって間接部門を「減らす」以外の選択肢が見えているはずです。
「間接部門はいらない」と言われるのはなぜか
「間接部門はいらない」という声は、なぜ生まれるのでしょうか。
ここではその問いを正面から引き受けます。
理由は主に3つの構造に整理できます。
- 売上に直結せず、成果が数字で見えないから
- 人件費が固定費として乗り続けるから
- 直接部門から「何をしているか分からない」と見えるから
関連記事:バックオフィス業務と事務の違いとは?効率化するための方法などを解説
売上に直結せず、成果が数字で見えないから
直接部門は売上という共通の指標で評価できますが、間接部門は「トラブルが起きなかったこと」が成果になるため、数値化しにくいという構造があります。
売上のように積み上がっていく数字がなく、問題が起きなければ何も起きなかったように見えるだけです。
この非対称性が、評価する側とされる側の納得感の差を生み、「何をしているのか分からない」という印象につながっています。
成果が「マイナスを防いだこと」である以上、プラスの実績として語りにくいという根本的な課題があるのです。
直接部門が数字で語れる分、間接部門の存在は相対的に見えづらくなっているといえます。
人件費が固定費として乗り続けるから
業務量が減っても、人件費はそのまま固定費として乗り続けます。
給与に加えて、会社が負担する法定福利費は給与の15%を超えます(協会けんぽ・厚生年金・雇用保険・労災の合算、東京都・40歳未満・一般の事業/編集部試算)。
売上が伸び悩んでも下がらないこの固定費の重さが、「削減対象」として真っ先に名前が挙がる理由の一つになっています。
人を増やすときは慎重でも、いったん雇用すれば景気に関わらず費用が発生し続けるという性質が、経営側の警戒感を強めています(固定費と変動費)。
直接部門から「何をしているか分からない」と見えるから
間接部門の業務の多くは社内向けであり、外からは可視化されていません。
直接部門の社員が日常的に接点を持たない業務ほど、中身が見えず「何をしているのか分からない」という印象を持たれやすくなります。
ただしこれは組織構造上の問題であり、担当者個人の怠慢や能力の問題ではありません。
可視化されていないだけで、業務そのものは確かに存在しています。
この構造を理解しないまま「暇そうに見える」という印象だけで判断すると、実態とかけ離れた不要論につながってしまいます。
データで見ると、間接部門はむしろ増えている
「減らすべきだ」という言説がある一方で、実際のデータを見ると間接部門はむしろ増えています。
ここでは、公的統計と民間調査をもとに、「減らすべきだ」という言説と実際の企業データがどれだけズレているのかを確認していきます。
マクロ統計と現場実態から分かること
デロイト トーマツ グループ「要員・人件費の生産性に関するベンチマーク調査&診断 2025・2026年版」(2025年7月22日〜10月31日実施・回答147社)によれば、全社員に占める間接機能人員の比率(中位値)は、前回調査の11.3%から11.8%へと増加しています。
非製造業に限ると10.0%から14.3%へと大きく上昇しました。
非製造業では、全社員に占める情報システム機能の正社員比率も1.3%から1.8%へ上昇しており、同調査は生成AI活用を含むデジタル投資の強化が要因の一つと想定しています。
人手不足も続いており、日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)2026年6月調査」では、中小企業・非製造業の雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)が最近マイナス46、先行きマイナス49と、不足超の状態が続いています。
帝国データバンク「雇用過不足に関するアンケート調査」(2026年4月16日〜30日実施・有効回答1万538社)でも、正社員が不足していると回答した企業は50.6%にのぼります。
なお、デロイト トーマツの調査は回答147社と対象が限られ、大企業が中心である点に留意が必要です。
一方、日銀短観と帝国データバンクの調査は中小企業を含む幅広い企業を対象としています。
「人を減らせ」という掛け声の一方で、実際には人手が足りず、間接機能への依存度が高まっているというのが、データが示す実態です。
こうした数字の背景には、現場のコア人材がバックオフィス作業を抱え込み、本来の業務が圧迫されている実態があります。
株式会社TVer様では、営業メンバーが本来の営業活動ではなく、請求データの突合や資料作成に月20時間を費やしていた実態があり、事務代行の導入によりこの時間を営業活動に振り向け、商談数を増やして売上倍増を達成しています。
ベースフード株式会社様では、少数精鋭で急成長する中、新しく正社員を雇用せずにアシスタントを活用してリサーチや発注代行を担わせることで事業規模の拡大に対応しました。
株式会社ランサーズ様では、請求受発注データの突合・入稿作業を外部化し、月数十時間の工数削減を実現しています。
掛け声だけで負担が減ることはなく、実際に業務を切り出した企業だけが負担を軽くできています。
参考:深刻化する「人材不足」の原因と解消へのロードマップ【コア業務集中戦略】
では、本当に無くせるのか
ここからが記事の中核です。
実際のところ、間接部門は本当に無くせるのでしょうか。
無くせる業務と無くせない業務を切り分けて考えていきます。
- 無くせない業務:法令対応・契約・支払・労務など、止まると事業が止まるもの
- 減らせる業務:定型作業、転記、集計、一次対応
- 「いらない」のは部門ではなく、その機能を固定費として抱え続けること
無くせない業務|法令対応・契約・支払・労務など、止まると事業が止まるもの
給与支払い、社会保険手続き、税務申告、契約管理、支払処理といった業務は、遅延や誤りが法的リスクや信用の毀損に直結します。
担当する人数や体制の規模を減らすことはできても、機能そのものを消すことはできません。
これらは事業を止めないための最低限の土台です。
そのため効率化を検討する場合も、単純に人数を減らすのではなく、その機能を誰がどう担い続けるのかという実行体制とセットで考える必要があります。
もしこの領域を軽視すれば、罰則や取引停止といった形で、削減した以上の代償を払うことになります。
減らせる業務|定型作業、転記、集計、一次対応
一方で、手順があらかじめ決まっていて判断の余地が小さい業務、たとえば定型作業や転記、集計、一次対応といった業務は、自動化と外部化の両方が効きます。
無くせない業務と分けて考えることで、削減の議論を具体的に進められます。
参考:定型業務の見直し方
「いらない」のは部門ではなく、固定費として抱え続けること
ここまでを踏まえると、本記事の主張が見えてきます。
「いらない」のは部門ではなく、その機能を固定費として抱え続けることです。
必要なのは業務を遂行する機能であって、正社員を固定的に抱えるという形式そのものではありません。
この一文が、後半で解説する内容すべての土台になります。
間接部門を無くそうとして失敗する3つのパターン

間接部門を無くそう、減らそうとして、かえって組織が疲弊するケースが後を絶ちません。
よくある失敗パターンを3つ紹介します。
- 人員を削っただけで、業務が直接部門に流れる
- ツールを入れたが、運用する人がいない
- 兼務にした結果、属人化して誰も引き継げない
①人員を削っただけで、業務が直接部門に流れる
人員だけを削っても、業務そのものは残ります。
結果として、その業務は営業や現場の直接部門に流れ込みます。
売上を作るはずの時間が事務作業に奪われ、全社で見た生産性はむしろ下がってしまいます。
人員だけを削っても業務そのものは残るため、結果としてその作業は営業や現場の直接部門に流れ込みます。
実際にソウルドアウト株式会社様では、全国拠点の営業メンバーが提案資料の集計・整形作業に工数を取られていた課題に対し、データ集計代行を活用。
資料整形や集計を外部化することで営業がコア業務に専念できる環境を整え、提案数の拡大に成功しました。
人員のみを削減すると、売上を作るはずの時間が事務作業に奪われ、全社的な生産性低下を招いてしまいます。
・参照事例: ソウルドアウト株式会社様|オンラインアシスタント導入事例
人を減らすことと業務を減らすことは、まったく別の話です。
削減した人件費以上に、直接部門の生産性低下という形でコストが跳ね返ってくることも珍しくありません。
参考:コア業務とノンコア業務
②ツールを入れたが、運用する人がいない
クラウド会計やERPなどのツールを導入しても、運用する人がいなければ効果は出ません。
導入と初期設定、業務フローへの落とし込み、日々のメンテナンスを誰かが担う必要があります。
2018年版中小企業白書でも、クラウド会計を導入した企業のうち、月次処理の人日削減割合が0割以下(導入前と変わらなかった、またはむしろ増加した)だった企業が約17%存在すると報告されています(第2-4-27図)。
ツールは魔法の杖ではなく、運用する体制とセットで初めて機能するものです。
③兼務にした結果、属人化して誰も引き継げない
業務を1人の兼務に押し込めると、「片手間でやる」形になり、手順が言語化されないまま属人化が進みます。
担当者が異動・退職した瞬間に業務が止まってしまうのです。
業務を1人の兼務に押し込めると、「片手間でやる」形になり、手順が言語化されないまま属人化が進みます。
例えば三井不動産株式会社様では、営業におけるKintone運用やデータ処理の属人化が課題となっていました。
そこで外部アシスタントにマニュアル作成からデータ処理代行までを依頼することで属人化を解消し、スムーズなリモートワーク推進まで実現しています。
単に社内で兼務させるだけでは、担当者の異動・退職時に業務が停止するリスクを抱え続けることになります。
・参照事例: 三井不動産株式会社様|オンラインアシスタント導入事例
人員を削減した結果、次の停止リスクを自ら作ってしまうという構図になります。
目先の人件費を削ったつもりが、事業継続上のリスクという別のコストを抱え込むことになるのです。
AIを入れれば間接部門はいらなくなるのか

2026年時点で必ず聞かれる問いに答えます。
AIを導入すれば、間接部門はいらなくなるのでしょうか。
結論から言えば、業務の一部は圧縮できても、部門そのものが不要になるわけではありません。
- AIで圧縮できる業務:転記、集計、一次回答の下書き、要約
- AIでは消えない業務:ルール化されていない例外処理、社内外の関係者との調整、対外的な最終判断
- AIの出力を人が検証・修正する確認工数が新たに発生する
AIで消える業務/消えない業務
手順が明文化されていて判断の余地が小さい業務、たとえば転記、集計、一次回答の下書き、要約といった業務は、AIによって大きく圧縮できます。
一方で、あらかじめルール化されていない例外的な処理や、社内外の関係者との調整、対外的な最終判断は、依然として人の手に残ります。
参考:AIに代替できない仕事とは?AI導入でも工数が減らない理由と「使いこなす外注」という解決策
「判断・調整・例外処理」が残る理由
判断・調整・例外処理が残る理由は、ルールが定まっていない事象や、社内外の関係者との調整、誤りが直接リスクになる確認作業が、AIだけでは完結しないためです。
加えて、AIの出力を人が検証・修正する確認工数が新たに発生し、担当者の負担が期待したほど下がらないケースもあります。
参考:バックオフィス業務はAIと外注どっち?使い分けの判断基準と最適な運用方法
参考:ヒューマンインザループとは?業務のAI化で必要な理由・メリット・注意点・活用事例4選
「持たない」という第三の選択肢
ここまでの内容を踏まえると、着地点は一つに絞られます。
間接部門という部門そのものを社内で「持たない」という第三の選択肢です。
- 部門として抱えず、必要な分だけ外部の実務者に業務を持たせる
- 固定費から変動費へ切り替える(繁閑差が大きい業務ほど効果が大きい)
- AIの選定・設定から出力確認までを、AIを使いこなす前提の外部チームに任せる
部門として抱えず、必要な分だけ外部の実務者に持たせる
部門として社内に抱えるのではなく、必要な分だけ外部の実務者に業務を持たせるという考え方です。
例えば株式会社メルカリ様では、急成長に伴い増加する経理処理や慶弔手続などの庶務・経理雑務を外注化。
社内で固定的に人を増やして抱え込むのではなく、業務単位で外部に切り出すことで、正社員が本来のミッション(コア業務)に集中する組織体制と文化を構築しました。
・参照事例: 株式会社メルカリ様|オンラインアシスタントの導入事例
固定的な人員を抱える発想から、必要な機能だけを確保する発想への転換です。
固定費から変動費へ|繁閑差がある業務ほど効果が大きい
月ごとの業務量に応じて依頼する量を調整できるため、繁忙期と閑散期の差が大きい業務ほど効果が大きくなります。
閑散期にも同じ額の固定費を払い続ける状態を避けられ、コストの構造そのものを固定費から変動費へと変えられます。
AIを使いこなす前提の外部チームという考え方
自社でAI人材を採用・育成せず、AIの選定・設定・プロンプト調整から出力の確認までをまとめて外部化するという考え方もあります。
CASTER NEO Assistantは、AIフロントが24時間365日チャットで依頼を受け付け、AIコーディネーターが作業指示と納品前のダブルチェックを担う体制です。
幅広い業務を安定したチームに任せたい場合は、CASTER BIZ assistantが選択肢になります。
まとめ|いらないのは部門ではなく、固定費としての抱え方
本記事では、間接部門が「いらない」と言われる理由が、成果の見えにくさと固定費の構造にあることを整理しました。
その上で、データ上は間接部門の比率がむしろ増えていること、法令対応など無くせない機能が存在すること、AIを入れても判断・調整・例外処理は人に残ることを解説しました。
答えは「減らす」ことではなく、「抱え方を変える」ことです。
部門として固定費で抱え続けるのではなく、必要な機能だけを外部から調達する。
この発想の転換こそが、間接部門をめぐる不要論に対する、本当の意味での回答になります。